しまづ幸広(日本共産党衆議院議員)-浜岡原発廃炉、静岡から政治を変えよう
国会質問

質問日:2017年 2月 23日 第193国会 予算委員会

原発災害の避難計画問題と、原発企業の経営難について

予算委員会第七分科会

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島津分科員 日本共産党の島津幸広です。

 東日本大震災での福島第一原発事故から既に、もうすぐ丸六年がたとうとしています。

 もともと技術的に未完成な原発が地震が多発する日本の各地に建設されていますが、その中で、二〇一五年八月に鹿児島の川内原発が再稼働する、そして現在は愛媛伊方原発、合わせて二基の原発が稼働しています。加えて、佐賀県にある玄海原発、福井県の大飯原発も再稼働に向けて動き出しています。

 まず大臣にお聞きしますが、なぜ原発再稼働なんでしょうか。

世耕国務大臣 現在、政府は、原子力規制委員会によって定められた新規制基準をクリアするということを、原子力規制委員会が判断した原発については再稼働するという方針で臨んでいます。

 なぜなのかということでありますが、資源に乏しい我が国は、安全性の確保を大前提に、経済性、そして気候変動の問題にも配慮をしながら、エネルギーの供給の安定性を確保していかなければなりません。

 現在、我が国の電力供給は、化石燃料に八割以上も依存する構造となっています。エネルギー安全保障、そして地球温暖化対策、発電コストの上昇といった面で大きな問題を抱えていると言わざるを得ません。

 国内にある燃料だけで数年にわたって発電を続けることができて、そして運転時にCO2を全く排出せず、経済性の高い電源である原発の活用は、こうした問題に対処する上で引き続き重要だというふうに考えています。

 ただし、運転に当たっては、安全性が最優先であります。そのため、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発のみ、地元の御理解もいただきながら、再稼働を進めることとしております。

島津分科員 今るる述べられましたけれども、コストの問題については後で議論したいと思うんですけれども、安全性の問題一つとってみても、福島の事故が示すように、万一事故が起きたときには本当に取り返しのつかないことになるわけですし、また、今、世界的には再エネへの転換というのが流れになっています。そういう中で資源の問題も解決するわけです。

 あの福島の事故を体験して、多くの国民が原発の安全性に不安を抱えているわけですけれども、大臣、規制委員会が新基準で適合と判断を下したからといって、原発の安全性が担保されたと言えるんでしょうか。

世耕国務大臣 原発については、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査をして、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるということであります。

 私が安全かどうかということを判断するというよりは、これは、原子力規制委員会が、厳しい基準に適合するかどうか、そう判断されるということが重要だと思っております。

島津分科員 規制委員会の田中委員長は、規制委員会はあくまでも新基準に適合するかどうかを判断するだけで、原発の安全性を判断するものではない、このように言っています。

 伊方原発は、国内最大級の活断層、中央構造線から六から八キロの至近距離にあります。再稼働は無謀だ、こう指摘する専門家も少なくありません。川内原発も多くの課題を抱えています。

 私は、静岡県に生まれ育ち、今も家族と静岡に住んでいるわけなんですけれども、御承知のように、静岡には浜岡原発があります。浜岡原発は、東海地震の震源域の真ん中に建ち、南海トラフ巨大地震の震源域の中にも位置する、世界一危険な原発と言われています。

 今、地元の皆さんが一番心配しているのは、巨大地震が起こり、大津波が来る、そのもとで原発の重大事故が起こる複合災害です。そのとき、自分や家族の命をどのように守るのか、本当に心配、不安が広がっています。

 実効性のある避難計画の作成が問われているわけですけれども、そこで確認したいんですけれども、全国で、現時点で原発の避難計画が作成されている自治体、これはどのぐらいあるんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、全国の原子力発電所が所在する地域における避難計画でございます。平成二十九年一月末現在におきましては、百三十五の市町村のうち、百二の市町村において策定が完了してございます。

 具体的には、全国の原子力発電所が所在いたします十三の地域のうち、泊、東通、柏崎刈羽、志賀、福井、島根、伊方、玄海、川内の九地域の市町村においては全て策定済みでございますが、一方で、女川、東海、浜岡、福島の四地域の市町村では、引き続き、避難計画の策定が現在進められているところでございます。

島津分科員 今御答弁あったように、浜岡原発の場合はまだ計画が決まっていないわけなんですけれども、これは何でなんでしょうか。

山本政府参考人 浜岡地域につきましては、三十キロ圏内、計画を策定すべき市町村として十一の市町がございますけれども、現在、避難計画が策定中で、まだ策定が完了はしてございません。

 その理由でございますけれども、この避難計画の対象となります原子力災害対策重点区域、これはおおむね三十キロ圏でございますけれども、その中に約八十四万人の住民の方が住んでおられます。さらに、発電所からおおむね五キロ圏、PAZと呼んでおりますけれども、その中でも約四万八千人の住民の方々が住んでおられます。

 このように、極めて人口が非常に多く、それらの方々の受け入れ先として十二の都県を避難先として検討しているところでございますけれども、その避難先での具体的な避難所をどこにするのか、あるいは、その収容人数が可能であるかどうか、あるいは、その移動ルートをどうするか、こういった点について課題がございますので、引き続き、今現在検討が進められているというところでございます。

島津分科員 今御答弁あったように、非常に多くの人口を抱えているというわけです。

 私も現地に行って話を聞いてきましたけれども、この広域避難計画作成に当たって、県や市の担当者の方は本当に苦労されていました。今あったように、浜岡原発の場合は、避難対象となる十一の市町には約九十四万人の方が住んでいらっしゃいます。

 昨年三月、静岡県が公表した広域避難計画によると、複合災害のときには、今おっしゃったように十二都県、三百五十自治体ということが今報道されていますけれども、福井や石川、富山の北陸から、遠くは、埼玉、群馬など北関東にも避難することになります。

 問題は、そこから先の話なんです。ある市の担当者はこう話してくれました。今一番困っているのは、避難する場所が決められない。避難場所が決まらないから、避難経路も決まらない。受け入れる側にすれば、駐車場の確保や宿泊場所の用意など、実に細かな対応が必要になっている。現状は、県を仲介して相手先とやりとりしている場合が多く、なかなか詰まり切れない。こういう話を聞きました。

 こういう問題に対して国としてどういう対策をとっているんでしょうか。

山本政府参考人 ただいま御指摘ありましたように、浜岡地域につきましては、避難先として十二の都県、これが候補として、今御指摘ありましたような、避難所をどこに設けるのか、あるいは、そのルートをどうするかという具体化に向けての協議が現在進められているところでございます。

 それで、避難先の受け入れの協議、これは静岡県とそれから相手の都県と協議しておるわけでございますが、その協議に際しましては、私ども内閣府の国の職員も、静岡県と一緒になりまして、受け入れ自治体との調整を現在行っているところでございます。

 それから、受け入れいただくためには、受け入れ側においても、受け入れのためのさまざまな資機材の整備が必要でございますので、そういったことについては、私ども内閣府、国の交付金という予算によりまして支援の対象とするということを予定してございます。

 いずれにしましても、国としても、浜岡地域の避難計画の具体化、充実化、強化、これらに一緒になって取り組んでいるところでございます。

島津分科員 実際には、県も市町の担当者も、もっと国にしっかりかかわってもらいたいという声が出ていますので、ぜひ受けとめてほしいと思うんですけれども、避難先が決まっても、次から次へと解決しなきゃいけない問題が生まれてくるわけです。ですから、それこそ担当者の皆さんは悲鳴を上げている状況なんです。

 もう一つ確認したいんですけれども、避難する際の交通渋滞の問題があると思うんです。全面緊急事態になったらすぐに避難が必要な地域は、五キロ圏内、いわゆるPAZ、御前崎市は市民全員、三万三千人が対象になります。隣の牧之原市は、人口の四分の一ほど、一万三千六百人余です。これはすぐに避難が必要だと。それ以外のUPZ、三十一キロ圏内の住民の皆さんは、屋内に一時避難し、放射性物質の広がりを見ながら段階的に避難する、こうなっているわけです。

 この人たちの避難手段というのはどうなっているんでしょうか。

山本政府参考人 静岡県としまして、昨年三月に広域避難計画を策定してございますけれども、そこにおきます避難手段は、原則としまして、住民の方々の自家用車を基本としてございますが、ただ、自家用車によります避難が困難な住民もいらっしゃいますので、その場合は、一時集合場所に集まっていただいて、バスによる避難などを行う、こういう計画になっているところでございます。

島津分科員 バスの必要な方がどのぐらいいらっしゃるのかというのが、私も聞いてきて、まだ今これからだという話だったんですけれども、相当これも苦労する話なんです。

 ただ、それを決めたとしても、自家用車で避難するというふうに決めていても、地震が来て当然自家用車も壊れる、こういう場合はどうするのか、こういう問題があります。

 それから、先ほど述べたように、PAZの圏内、四万六千人ほどいるんですけれども、一斉に避難したらどうするか、こういうことがあります。こういうことなんかは想定しているんでしょうか。

山本政府参考人 今御指摘ありましたPAZ内の御前崎市それから牧之原市の住民の方々、約四万八千人ほどおられます。この方々が一斉に同じ方向で避難しますと渋滞などの混乱を生じる可能性がございますので、まず、避難先を東西二方向に分けてございます。

 具体的には、御前崎市の方は浜松方面、西方面、それから牧之原市の方は、東の方面、さらには山梨県まで移動していくという形で、一部の経路に住民の方々の移動が集中しないように対策をしているということでございます。

 さらに避難経路につきましても、複数設定する、あるいは、渋滞が予想される箇所につきましては、交通対策、交通誘導、そういった対策を講じることを現在検討しているところでございます。

島津分科員 二方向だと言うわけです。今は四万八千人ということですけれども、単純に計算しても二万四千人、それが一つの道路に殺到したら、当然大渋滞が起きるわけですよ。この問題なんかはどうするのか。また、地震が起きれば、道路が当然無事じゃなくて、陥没したり崩壊したり、橋の問題もあります。いろいろな問題があるわけですよ。そういうのなんかはきちんと想定しているんでしょうか。

山本政府参考人 多くの方々がPAZの場合は一斉に避難いただきますので、その場合は、一つの経路ではなくて、渋滞しないように、多くの、複数の経路を用意するというのがまず基本になります。

 その上で、今御指摘がありましたように、自然災害によって予定していた避難経路が使えない可能性もございますので、その場合は、代替の避難経路をあらかじめ複数設定をしておきまして、その状態に応じて適切に選択をするというのが基本的な考え方になろうと思います。

 さらに加えては、その自然災害の程度にもよりますけれども、被災した道路の復旧のための道路啓開、これを地元の建設業者初め道路管理者がしっかり対応するということも、計画上考えていくことが必要であろうというふうに考えておるところでございます。

島津分科員 答弁を聞いただけでは本当に不安は解消しないんですけれども、すぐに避難する方と一時的に屋内退避するというのは、境界線があるわけですよ。道路一本挟んで、この皆さんはすぐ避難する、この皆さんは屋内退避してくれと。ある市の担当者に聞きましたら、あなたのところはすぐ逃げてください、あなたは待ってくださいととても言えないと言う。当然、市民の皆さんも、福島の事故を見ていますから、そういうふうに言われても、避難しなきゃいけない、避難するんじゃないか、こういう心配もあります。

 時間が限られていますので多く取り上げることはできませんけれども、ほかにも、病院や福祉施設の利用者のいわゆる要配慮者の避難等々、本当に実効性のある避難計画をつくるというのは至難のわざだ。しかし、市や町の担当者の皆さんは、住民、市民への責任だということで、実効性ある避難計画にするために本当に御苦労をされているわけです。先ほど言ったように、国ももっと責任を果たしてもらいたい、こう言っているわけです。

 大臣、大臣は避難計画などについては直接の所管でありませんけれども、今までの議論を聞いていて、国策である原発推進のもとで、万一のときに確実に避難することのできる避難計画の作成、これは政治の責任です。ところが、実際には事実上市町村に丸投げ、市町村任せになっています。本当に住民の命と生活、安全を守る気持ちがあるんだったら、もっと国が直接しっかりとかかわるべきだと思うんですけれども、どうでしょう、かかわるべきじゃないんでしょうか。

世耕国務大臣 避難計画については、住民の方々の避難ルート、避難先といった地域の実情を熟知している地元の自治体が中心となって策定するのが適切だと考えます。しかし、これは決して地元の自治体任せにするという意味ではありません。今、内閣府が答弁しているように、国もしっかりと関与をしていくわけであります。

 避難計画の策定においては、国としても、原子力規制委員会が作成した原子力災害対策指針に基づいて、初期段階からきめ細やかに関与をしていきます。

 具体的には、規制委員会も参加する地域原子力防災会議において議論をしながら、関係自治体と一体となって策定した避難計画について、原子力防災会議において確認、了承することとしています。さらに、継続的に充実強化にも取り組んでいきます。

 こうした仕組みは、世界的に見ても、イギリスやフランスでも同様となっていると承知をしております。

島津分科員 今は御答弁ありましたから、しっかりかかわっていってほしいと思うんですけれども、ただ、現状では、いろいろ今大臣はおっしゃいましたけれども、実際には、内閣府の皆さんも御苦労されていますけれども、人数が余りにも少ない、こういうことも聞いています。ぜひそこは今後課題としてやっていただきたいと思うんです。原発を推進すると言うのなら、やはり、こうした地元の声に応えるのは最低限のことです。

 冒頭、大臣になぜ再稼働かとお尋ねしたわけですけれども、それは、原発が本当に必要なのかということをただしたいからなんです。

 今の議論でも明らかなように、避難計画一つとってみても問題が山積しています。そもそも原発再稼働は本当に必要なのか。原発がなくても日本の電気は足りている、これが国民の皆さんの実感です。

 そこでお聞きしますけれども、電気事業者と自家発電を合わせた総発電量、東日本大震災の直前と直近の状況がどうなっているかを示してください。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 電力の調査統計に基づきますれば、二〇一〇年度の総発電電力量は一兆一千五百六十九億キロワットアワー、二〇一五年度は一兆二百四十億キロワットアワーでありまして、千三百二十八億キロワットアワーの減少ということになっております。

島津分科員 配付資料をお配りしました。一に示しましたけれども、私たちが調べたらちょっと今の御答弁と違うんですけれども、いずれにしても、総発電量、供給は減っています。

 では、最大発電量、需要の推移はどうなっているか、調べてみました。日本の歴史上、最大の発電量は一兆一千九百五十億キロワット時を記録したのが二〇〇七年度です。このときの最大電力は一億七千九百二十八万キロワット。このピーク時から見ると、二〇一五年度は一四・三%も減少しています。二〇一〇年度から一五年度で見ても、一三・五%も減っています。

 大臣、発電量そして最大電力、つまり供給も需要も大幅に減っています。この原因をどう見ていらっしゃるんでしょうか。

世耕国務大臣 なぜ減っているかということは、よく分析はしなきゃいけないと思います。省エネが進んでいるという点もあるというふうに思いますし、一方で、原発が長期にとまっているという影響で、家庭向けの電気料金あるいは産業向けの電気料金、それぞれ二割、三割、私の関西では産業用は四割が実感だと言われますけれども、それだけ上昇している中で、逆に、本来は電気を使いたいんだけれども、そこを意に反して節電をしているという面もあろうかと思います。あるいは、暖冬とか冷夏とか、そういった気候の影響もいろいろとあるというふうに思っております。

 その辺はよく総合的に分析をしていく必要があるだろうと思っております。

島津分科員 企業にとってみても省エネというのは非常に大切なことで、我慢しているというよりも、やはり、これを機会に省エネにシフトしていくという流れだと思うんですよ。

 いずれにしても、経済の低成長もありますし、企業や家庭の節電の定着、これが要因なわけです。

 私、電力需要、この減少を大手電力会社別に見てみました。これは資料二です。大変興味深い傾向が出ていました。沖縄電力はほぼ横ばいですけれども、それ以外は軒並み減少しています。特に、福島原発を起こした東京電力、高浜、大飯など多くの原発を抱えた関西電力の減少は、減少率約一六%に上ります。浜岡原発を抱えている中部電力も一一・三%の減少です。この背景には、節電や太陽光発電、再エネですね、企業での自家発電、こういうものがあるわけです。

 発電量に占める原発の割合はどうか。資料一に戻って見てほしいんですけれども、二〇一〇年度、この年度は、東日本大震災があったとはいえ、原発が二千八百八十二億キロワット時の発電量、それ以前の〇七年度から〇九年度の実績を上回っていた。これが、二〇一四年度は丸々一年間ゼロになったわけです。二〇一五年度は再稼働によって九十四億キロワットの発電量となっています。しかし、これでも、二〇一〇年度と一五年度を比べると、原発の発電、二千七百八十億キロワット時の減少になっているわけです。

 大臣、原発が減っているこの状況というのはお認めになりますよね。

村瀬政府参考人 二〇一〇年度時点で原子力が二千八百八十二億キロワットアワー、二〇一四年度でそれがゼロになり、二〇一五年度で九十億キロワットアワーということは、我々の統計でも確認できるところでございます。

 以上です。

島津分科員 節電などによる発電量の減少が原発の何基分に相当するのか、計算してみました。発電能力百万キロワットの原発、これは原発といってもずっと稼働しているわけじゃありませんから、これまでの設備利用率から一基当たりの発電量を年間六十一億キロワット時として計算すると、原発約二十二基分にもなります。

 一方で、太陽光や風力など再生可能エネルギーがふえて、まだまだ伸びしろがあります。先ほど同様の計算だと、二〇一〇年度から一五年度で再生可能エネルギーによる発電量は三百九十三億キロワット時増加しています。原発約六基分に相当します。

 つまり、節電などによる発電量の減少、再生可能エネルギーなどによる発電量によって、発電能力百万キロワットの原発の二十八基分をカバーしたことになるわけです。

 このように、原発がないとやっていけないわけではない。むしろ、原発のリスクによる弊害が生まれている。これが今注目されています。

 福島原発、この事故を境に世界の原発に対するスタンスが大きく変わっています。台湾は先月、二〇二五年までに原発をゼロにする脱原発の電気事業法の改正を行いました。アメリカ・ニューヨーク州では、市の郊外にあるインディアンポイント原発の廃炉を十四年前倒しで行う。アメリカは、電力自由化に伴う価格競争が激しくなる中、シェール革命で火力発電のコストが安くなり、再生可能エネルギーの普及もあって、原発の廃炉が相次いでいます。ベトナムも、日本とロシアがかかわっている原発計画を白紙撤回しました。

 こうした流れの中で、日本の原発メーカーも大きな影響を受けています。昨日の財政金融委員会で我が党の宮本岳志議員も取り上げましたけれども、原発御三家と言われる中の一社、東芝が今、巨額の損失を出しています。この最大の要因というのは政府はどのように見ているんでしょうか、簡潔にお答えください。

世耕国務大臣 まだ、東芝の第三・四半期決算については正式に確定したものは公表されていませんので、今、同社の状況について確定的なことは申し上げられませんが、その上で、東芝がこれまで発表していることによれば、今回見込まれている損失は、アメリカにおける原子力発電所の建設に当たって、現地企業を買収した際には認識をしていなかった建設コストの増加に伴って損失が生じたというものだと承知しております。

島津分科員 今お答えあったように、福島第一原発の事故を受けて、安全対策のコストが急増しているんです。建設費は当初の予定の三倍近くに膨らむ。工期もおくれる。リスクが非常に高くなっているのが現状です。

 東芝は、二〇〇六年に、今あったように、アメリカの子会社ウェスチングハウス社、これを買収しました。世界じゅうで原発建設を進めようとしたけれども、しかしこれが、福島の事故でもくろみが崩れたわけです。原発をめぐる状況を見誤った結果、企業の存続も危ぶまれる、こういう状況になってきました。経営陣の責任とともに、原発を重要電源と位置づけ、原発の輸出を成長戦略としてきた安倍政権の責任も重大です。

 東芝は新たに、アメリカでも原発事業から撤退する動きもあると聞きます。原発の推進、輸出の政策のもとで苦境に立たされているのは東芝だけではありません。三菱重工は、アメリカの原発の蒸気発生装置の故障による廃炉の責任を問われて、七千億円もの損害賠償を請求されています。もう一つの原発御三家、日立も、アメリカのウラン燃料濃縮事業から撤退を余儀なくされて、七百億円の損失を出しています。

 こうした中で、世耕大臣は昨年末、イギリスのクラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相と、原子力分野で包括的に協力する覚書を結びました。その中で、日立と東芝がイギリスで手がける原発の新規建設を具体的な協力対象として明記しています。これは間違いありませんね。事実関係だけ。

世耕国務大臣 今御指摘の協力覚書は、廃炉等の分野で協力関係が日英で深化をしていることから、原子力に係る活動全般における両国の協力を確認したものであります。

 英国においては日立及び東芝の新規原発建設計画がありますけれども、この覚書においては、この両事業者の提案の進展を議論することを継続する機会を歓迎するという旨を記載しています。

 なお、両計画とも、二〇二〇年代半ばの運転開始を目指しているものでありまして、この覚書によって両国政府の対応について何らかの決定がなされたというものではありません。

島津分科員 決定がないと言いますけれども、協力していこうということで、具体的な名前も挙げて確認しているわけです。

 安倍政権は、インフラ輸出を成長戦略の柱に位置づけて原発の輸出を進めていますけれども、今、原発輸出に対する逆風が強いんです。その中で、政府は、官民連帯でイギリスで突破を図ろうとしているんじゃないんでしょうか。

 報道によれば、国際協力銀行、JBICや日本政策銀行を活用した、日立の英国の子会社ホライズンへの投融資の検討を進めるとしています。その支援総額は一兆円規模だといいます。

 この道は余りにも危険過ぎる。原発で事故を起こさないようにと安全対策をとればとるほどコストがかかり、採算がとれない。事故を起こせば、損失は破格。これは福島原発事故が示しています。

 大臣、原発の輸出を成長戦略にする、決して未来は明るいものじゃないと思うんですが、どうでしょう。

世耕国務大臣 いろいろな見方があると思いますが、今、一つの世界のトレンドとしては、パリ協定が発効したということを踏まえて、ゼロエミッションの電源である原発というものをやはり推進をしていこうという国、これは英国などがそうですが、もあるわけであります。そうした国からは、我が国の原子力発電技術に関する期待の声も寄せられているという現状があります。

 東芝はアメリカでは大変残念な状況になっていますが、これは、米国で原発の建設費増加の要因としては、AP1000という建設実績のない新型炉の建設であったことに加えて、三十年間アメリカでは原発の新設がなかったことによって、建設作業に係るノウハウや人材を喪失していたということ、あるいは、現地の部品サプライヤーの技術力や習熟度の低さなどによって大幅な建設遅延が発生した、こういう原因が挙げられると思っています。

 我が国としては、相手国の意向や地理的状況も踏まえながら、特に福島の知見や教訓を生かしながら、安全最優先で世界からの期待に応えていく責務があるというふうに考えています。

島津分科員 世界は原発から撤退する流れなんですよ。先ほども幾つかの国を紹介しました。原発大国フランスでも、原子力依存度を現在の七五%から二〇二五年までに五〇%に減らす、こういう流れです。

 それから、COP21の問題も出ましたけれども、日本原子力産業協会の服部フェロー、前理事長、新聞でこういうふうに報道されています。温暖化ガス抑制に役立つ原子力に追い風になると期待してCOP21の会場を回ったが、当て外れだった。どの国も再生可能エネルギー一色で、原子力関係はわずか。再エネはイノベーティブだが、原子力は現在型技術とみなされて関心が薄かった。

 このように、世界ではもう原子力の流れではないんですよ。

 原発の推進、輸出に固執することで巨大企業のかじ取りを誤らせる。ひいては、日本経済の基盤も掘り崩しています。

 原発を動かそうとするために、原発の地元が、避難計画の作成という無理難題を解決するために、本当に相当なエネルギーを割いて御苦労されている。こんなことはもうやめにすべきじゃないんでしょうか。

 大臣、原発の推進、輸出を見直して、原発ゼロにかじを切るべきだと思うんですけれども、どうでしょう。

世耕国務大臣 いろいろな見解があると思いますが、イギリスは七基の原発の新設を決定している。それはまさに、CO2排出をしない電源として着目をされているということであります。

 世界でそういう動きもあって、そして、我が国の技術に対する期待の声が寄せられているというのも事実であります。そして、我々の経験した福島での知見、教訓といったものを生かしながら、安全最優先で期待に応えていく必要はあると思っております。

島津分科員 時間がありませんからもう議論できませんけれども、安倍政権は福島に対しては、賠償の打ち切りや除染のおくれ、不徹底など、切り捨てが本当に目に余ります。一方で、原発メーカーに対しては巨額の支援もいとわない。本末転倒じゃありませんか。

 原発の推進、輸出に固執することは、原発をなくすという世界の流れに逆行するものであり、日本の経済、財政にとっても深刻なゆがみを生み出します。

 直ちに原発ゼロへの政治決断を行い、再生可能エネルギーの普及などに本格的に取り組むべきことを求めて、質問を終わります。

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