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○島津委員 日本共産党の島津幸広です。
きょうは、初めに成年後見制度についてお聞きしたいと思います。
初めに加藤大臣にお聞きしますが、所信で大臣は、成年後見制度の利用促進をお述べになりました。なぜこれは促進なのか、成年後見制度の利用促進の意義は何なのか、簡潔にお答えください。
○加藤国務大臣 成年後見制度は、認知症、知的障害その他の精神上の障害がある方の財産管理、身上監護についての本人の意思を尊重しつつ支援する仕組みであります。高齢化社会への対応、また知的障害者、精神障害者等の福祉の充実の観点から大変重要だというふうに位置づけております。
他方で、我が国の成年後見制度の利用の現状というのを見ますと、認知症高齢者等の数などと比較しても、その利用が残念ながら進んでいない、こういう指摘をいただいているところでございます。また、今後、認知症高齢者が増加をしていくことが見込まれる上に、例えば知的障害者等についても、親御さんが亡くなってしまう、こういった問題等もございます。したがって、成年後見制度に対するニーズは今後ますます増大するものと思っております。
このため、成年後見制度の利用者がよりメリットを実感できる必要な運用の見直しを行いつつその利用促進を図る、これが大変重要だというふうに考えております。
○島津委員 今お答えがありましたように、判断能力が不十分な高齢者や障害者の皆さん、これは虐待を受けていたり、あるいは財産管理の被害、守っていく、こういう権利を守る上で、この制度というのはこれまで役割を果たしてきたと思うんです。
そこで、この制度を利用している件数についてお答えください。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
成年後見制度の利用者につきましては、近年増加を続けておりまして、後見、保佐、補助、任意後見の各類型の利用者の合計は、平成二十七年十二月末日時点で合計十九万一千三百三十五人となっております。
○島津委員 先ほど大臣もお答えがありましたように、今後もふえていくわけです。いわゆる団塊世代が後期高齢者になっていく。二〇二五年には認知症有病者数が約七百万人という推計もされています。成年後見制度の利用は今後ますます増加していくと予想されているわけなんですけれども、役割はますます大きくなってくる。それだけに、この制度が本来の趣旨、目的に沿って被後見人等の権利をしっかり守っていけるのか、これが大事なわけです。
昨年、成年後見制度の利用促進の法案が当委員会で可決された際、私は、現行制度のもとで生じているさまざまな問題を示して、そうしたことが解決されないままこの利用促進だけを進めていくのは拙速じゃないか、こういう御指摘をしました。この検証がやはり必要だと思うんです。
そこで、後見等監督処分事件の現状についてお聞きしたいと思うんです。
後見人の事務を監督するのは後見監督人ですけれども、監督人がいない場合は、家庭裁判所は、いつでも後見人に対して後見事務の報告や財産目録の提出、財産状況の調査をすることができる、こうされています。これは民法です。
事前に最高裁判所からお聞きしているので紹介しますと、後見等監督処分事件と報酬の当否の審査を合わせると、後見制度が実施された二〇〇〇年当時は三千九百三件だったのが、直近の二〇一五年では二十一万三百三十七件、急増しています。昨年の内閣委員会のときにお聞きしたら、二〇一四年の件数は十七万七十八件でしたから、一年間で四万件もふえているわけです。これは配付資料でふえている数を示しました。
この背景には、高齢者人口の増加、これに伴う認知症の増加などがあるわけですけれども、この中で明らかになった不正事件、この件数、直近の五年間でいいですので、数字だけで構いませんから、お示しください。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
平成二十三年から二十七年までの五年間についてお答えを申し上げますが、平成二十三年一月から十二月までの一年間に成年後見人等の不正について対応を終えたとして全国の家庭裁判所から最高裁判所が報告を受けた件数は三百十一件、被害総額約三十三億四千万円でございました。平成二十四年は、不正の件数は六百二十四件、被害総額約四十八億一千万円、平成二十五年は、不正の件数が六百六十二件、被害総額は約四十四億九千万円、平成二十六年は、不正件数が八百三十一件、被害総額は約五十六億七千万円でございまして、平成二十七年は、件数、被害総額ともに減少いたしまして、不正の件数は五百二十一件、被害総額は約二十九億七千万円でございました。
○島津委員 そのうち、専門職はどうでしょうか。
○村田最高裁判所長官代理者 今お答えいたしました不正件数及び被害総額のうち、専門職による五年分の件数、総額を申し上げますと、平成二十三年は、不正件数は六件、被害総額は約一億三千万円、平成二十四年は、不正件数が十八件、被害総額約三億一千万円、平成二十五年は、不正件数は十四件、被害総額は約九千万円、平成二十六年は、不正件数は二十二件、被害総額約五億六千万円、平成二十七年は、不正の件数は三十七件、被害総額は約一億一千万円でございました。
○島津委員 専門職、被害額は減ったとはいえ、件数は二〇一四年の二十二件から三十七件とふえています。いろいろな原因があるんですけれども。
そこで、冒頭指摘したように、後見人の本来のあり方に照らして、現状のままでいいのかというのがやはり今問われていると思うんです。
後見事務の内容、つまり後見人の仕事というのは、大きく分けて、一つは財産管理、二つは身上監護、こう言われています。
ある家庭裁判所の調査官経験者は、次のように述べています。後見人の仕事は実に労力を要するという印象が強い。認知症高齢者の後見人は、まず財産の保全、活用に神経を使う。不動産会社、銀行、証券会社等との交渉には緻密さ、粘り強さが要求される。不動産や先祖の墓が遠方にあって、争い事があればその地まで出向いて関係者と折衝する必要も出てくる。そして、何よりも高齢者の福祉を考えて、資産、収入に見合った、より快適な環境を整備することが主要な業務である。このように話しています。
通告していませんけれども、最高裁に確認したいんですけれども、今紹介した調査官経験者の方の話、これは一般的な後見人の仕事、業務だと思いますけれども、どうでしょうか。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
後見人は、財産管理とともに、被後見人の身上監護についても配慮するということが民法にも規定をされておるとおりでございますので、今御紹介のありましたような努力を各後見人の方がされている例は非常に多いものと思います。
○島津委員 後見人の仕事は、今紹介したように非常に多岐にわたり、何よりも労力が必要だと。多くの後見人の方は、このように御苦労されていると思うんですけれども、一方で、先ほど統計的に紹介していただきましたけれども、不正がある、トラブルも少なくない、改善しなければならない問題点、たくさんあるのも事実です。
私が聞いた中でもさまざまなことを訴えられました。
例えば、親が元気なうちに、生活費は出すからと言われて同居した。ところが、制度を利用した途端に、生活費は全て半分ずつ、こういうふうに後見人から請求される。介護が必要になって収入が減っていたのにそういう請求をされて本当に困っている。こういう話です。
また、被後見人が毎年取り寄せていた正月のお節、これを買ったら、財産を管理している後見人から、そんなものは払えない、こういうふうに言われた。この後見人は、裁判所から選任されて、最初に一回面接に来ただけで、事情を知らないのでこういうことになるんじゃないかということで非常に憤っている。家族が、現金、通帳を見せてほしいと言っても応じてくれない。
また、被後見人となった親が、後見人によって施設に入ることになった。これは、自宅にいると悪徳商法などにひっかかるのが心配だ、こういう理由で施設に入る。しかし、家族が会いに行っても会えない。会っても五分ぐらいしか会えない。なぜかといって調べてみたら、後見人が面接させないように施設に指示をしていた。本人が会いたくないと言っている、こういう理由だというんです。ところが、実際に本人は、その後、あんなところ、施設はもう二度と嫌だと話している。いろいろ、症状によっても、まだらの状況もあると思うんですけれども。
この後見人は、被後見人が自宅に戻った途端にみずから後見人を辞任したといいます。自宅にいると、さまざまな生活面での実務が生じます。施設に入ってもらえば、月々の利用料だけで済む。施設に入ってもらえば楽だし、報酬の単価、時給も高くなるわけです。こういう不信の声が家族から上がっている。
一人の後見人が五十人も受け持っている、こういう例も聞きました。後見人が被後見人にほとんど会わない、月に一度、二月に一度、それも本当に短時間、中には、十年間一度も会っていない、こういう話も聞きました。これでは、身上監護というのは名ばかりだと思うんです。こういう話は切りがありません。
大臣、制度はつくっても、本来の理念、目的から見ると、現状はこのようにほど遠いわけです。こういうことを改善するためには何が必要なんでしょうか。
○加藤国務大臣 今、一つ一つ具体的な事例がありましたけれども、昨年施行されました利用促進法に基づき、内閣府に利用促進委員会が設置され、成年後見制度を利用する当事者の関係者、また、成年後見人として活動する士業の方、学識経験者等により構成されているわけでありますけれども、同委員会から意見をいただいております。
その中でも、利用者にとってメリットを実感できる、本当に利用価値があるということですね、そういった制度にするためには、財産管理のみならず、成年後見人の、意思決定の支援や身上の保護、その被後見人の方がよりよい暮らしができる、そういったことを重視した運用とすべきであるという御指摘をいただいているところでございまして、こうした指摘を踏まえて、この成年後見制度の、今、御指摘も含めた課題も含めて、その解決に取り組んでいきたいと思っております。
○島津委員 これから解決していくということなんですけれども、具体的に幾つか聞きたいと思うんです。
例えば、後見人の事務の報告について、これは東京家庭裁判所の運用なんですけれども、収支報告書を撤廃して、十万円以下の領収書の添付は不要だ、こういうふうになっている。ですから、これでは私的流用などを見抜けないんじゃないか、こういう声が上がっているんです。
これは事実なんでしょうか。事実だとしたら、どのように改善する必要があるんでしょうか。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
東京家庭裁判所におきましては、成年後見人の方に対して、原則として年に一回、あらかじめ定められた時期に、一年間の後見事務について報告するよう求めておりますが、その際には、毎年御報告いただく成年後見人の御負担という観点と、不正の実効的な防止という観点の二つ、これを考慮いたしまして、全ての後見人に対して一律に提出していただく資料、これは必要なものに絞りつつも、その資料から不正がうかがわれるようなものがあれば、追加書類の提出を指示したり、裁判官による審問を行ったりしてさらなる調査を行う、こうした運用が行われているものと承知をしております。
具体的に申し上げますと、全ての後見人に対して求めるものとしては、本人の生活状況や収支状況の変動を含む財産状況について記載していただく後見事務報告書、それから御本人の財産目録、これを提出していただきますが、その裏づけとして、報告していただく期間に対応した取引履歴の記載された通帳の写しを提出していただき、加えて、十万円を超える臨時支出等がある場合には、領収書などの支出のあったことの裏づけとなる資料もあわせて提出していただくようお願いしているものと承知しております。
したがいまして、委員の御指摘のありました収支状況報告書というような形ですとか、あるいは十万円以下の支出に関する領収書を全ての後見人について一律に求めるという運用はしておらないというふうに承知をしておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、提出を求めている資料の中から仮に不審な点がうかがわれれば、裁判官の判断によって必要な調査をさらに実施し、事案によっては、追加的に収支状況報告書や十万円以下の支出に関する領収書についても提出を求める場合もあるというふうに承知をしておりまして、今後も、後見監督事件の運用の確保に向けた家庭裁判所の取り組みを、最高裁としても支援してまいりたいと思っております。
○島津委員 先ほども紹介しましたけれども、無理やり施設に入れられてしまう、こういう事例を私は聞いているんですけれども、こうしたことを掌握しているんでしょうか。掌握しているなら、どういう対策をとるか、これをお聞きしたいと思うんです。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
私どもとしましては、個々の事案の、議員おっしゃったような詳細についてまでは把握はできておりませんけれども、ただやはり、意思決定支援が十分になされていないものがあるとの御指摘は承知をしております。
そういったことで、私どもとしましても、認知症高齢者などの判断能力が不十分な方につきましても、成年後見人や家族の方が本人の意思をできるだけ丁寧に酌み取って、その生活を守り、権利を擁護していくという取り組みが重要だと思っておりますので、そういった取り組みを続けてまいりたいと思っております。
そういった形への対策という御質問もあわせてございましたので、お答えさせていただきますけれども、やはり、そういった問題への対応ということになりますと、成年後見人制度の利活用を進めていくこと、そしてその際には、やはり、後見人の方が、ノーマライゼーションや自己決定権の尊重を図りながら、身上の保護を重視して後見事務を行うということが求められると考えております。
そういったことから、私どもとしましては、そのような事務を遂行できる人材ということを育成してきておりまして、例えば、権利擁護人材育成事業というようなものにおいて、市民後見人等の養成研修を行ったり、あるいは、そういった市民後見人の方への適切な助言指導を行ったり、専門職との連絡会議を開催して、そういった方の事案解決能力を向上させるというような取り組みを実施してきているところでございます。
また、先ほど加藤大臣の方からもありましたけれども、成年後見人の利用促進委員会の取りまとめでも、地域のネットワークを構築するというようなことに努めるべしという御意見もいただいておりますので、そういったことも踏まえて、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○島津委員 いろいろ問題を挙げれば切りがないので、時間の関係でもうやめますけれども、この制度というのは、開始決定されれば、期間の制限や定期的な見直しもされない、基本的には死ぬまで継続する、こういう問題点もあります。
二〇〇〇年の施行当時は、自己決定権の尊重を重要な趣旨とした点では時宜にかなったものと評価されたんですけれども、その後、どのように本人の意思決定を尊重するのかについて、基準や指針が示されていない。実際には、後見人の裁量に委ねられているというのが現状になっているわけです。だから、いろいろな事例、トラブルなんかが続出しているわけです。
大臣に改めてお聞きします。
日本も批准した障害者権利条約、その第十二条で、精神上の障害があることをもって一律に行為能力を制限してはならない、誰もがみずからの意思を決定することができるよう必要な支援をすることを求めている。この精神に基づいて、直ちに運用の問題点を解決するとともに、認知症や障害のある人の自己決定権の実現を目指して、制度そのものの抜本的な改善、これに足を踏み出すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
○加藤国務大臣 まず一つは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、成年後見制度利用促進委員会の意見を本年一月にいただきました。それを踏まえまして、今年度末を目途に、成年後見制度利用促進基本計画、これは法律によって求められているものでございます、これをしっかり策定していきたいというふうに考えております。
その内容においても、利用促進委員会の意見を踏まえて、一つは、先ほど申しましたが、利用者がメリットを実感できる制度、運用の改善を図るため、財産管理のみならず、意思決定支援や身上保護も重視をしていく、二点目として、市町村が中心となり、権利擁護支援のための地域連携ネットワークを構築していく、三番目として、不正防止のための新たな方策を検討する、こういったことが具体的に提言されているわけでございますので、これを踏まえて、委員からも御指摘がありました、本人の意思決定を支援していく、また、身上保護、これを重視して、利用者に寄り添った成年後見制度への見直しが進められるよう、実効性のある基本計画をまずは策定していきたいと思っております。
○島津委員 ぜひ、そうした方向で改善していっていただきたいと思います。
残りの時間で、雇用促進住宅に関連して質問をさせていただきます。
昨年十月、国は、雇用促進住宅を東日本と西日本の二ブロックに分けて一括で売却する一般競争入札を行いました。結果、西ブロックは三百六十六億二千二百万円で落札され、ことし四月から、落札したアタミ合同会社、その後名前が変わって全国民間賃貸サービス合同会社となったんですけれども、ここが住宅の運営を行っていくと聞いています。
雇用促進住宅というのは、もともと国民の雇用保険を財源として、住宅の目的も、国の住宅政策の中で長年公的住宅とされてきました。それを国が民間に売却するということは、国民の貴重な財産を手放すことになるわけです。
今、全国に千百八十一住宅、十万八千八百六十七戸の住宅があります。入居者は、今後の生活がどうなるのか、こういう不安と心配の声が絶えません。
そこでお聞きしたいんですけれども、これまで公的住宅として、国と独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、これが管理運営等に責任を持っていたわけですけれども、民間会社が住宅の運営を行うことになれば、国やこの機構の責任というのはこれからどうなるんでしょうか。
○古屋副大臣 お答えいたします。
今回の売却におきましては、十年間の転売禁止や賃貸条件変更の禁止などの条件をつけておりまして、それらについては、売買契約書上で交わされた契約内容であるため、契約違反があれば、売却先の民間会社が独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に違約金を支払うこととしております。
売買契約上の条件につきまして、売却先の民間会社が契約違反をした場合には、売り主である機構で適切に対応するとともに、厚生労働省といたしましても、入居者の不安を招かないよう、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕
○島津委員 入居者の不安の要因の一つに、民間への移行後どうなるのか、その説明がない、これは私もいろいろなところから聞いています。
現在、入居者には、所有者変更に伴う賃貸契約の継承のお知らせという一枚のペーパーが入っているだけです。住宅によっては、それが張り出されているだけ、こういうこともお聞きします。これは、なぜきちんと説明しないんでしょうか。
○大西政府参考人 今回の売却条件につきましては、入居者の皆様に対しましては、平成二十七年度に各住宅において説明会を実施したところでございます。
その後、委員御指摘のとおり、高齢・障害・求職者雇用支援機構が民間業者と契約を締結して売却したわけでございますが、その内容につきましては、平成二十七年度に既に御説明したものと同様であったわけでございます。
その後の取り扱いにつきましては、先ほど委員御指摘のとおり、売却先につきましては各住宅に掲示をしているとともに、各入居者につきまして、売却後も現在の契約条件を引き継ぐということについては御連絡を差し上げている、そういうような取り扱いをしているところでございます。
○島津委員 既に説明会を終えたということなんですけれども、では、その説明会に入居者の何割の方が出席したのか。私が聞いているところによりますと、説明会の情報さえ知らされていなかった、こういう例があったり、あるいは、自治会があるところでは一部の代表だけに説明が行われた、こんな話も聞きました。情報がきちんと共有できたのか、ここが一番大事なわけです。
しかも、国会答弁では、丁寧な説明を行うと繰り返し述べてきました。昨年の当委員会の私の質問に対しても、職業安定局次長は、丁寧にやる、こう答弁しています。
入居者の多くが、不安でたまらないと私どもの事務所に頻繁に電話がかかってきます。この丁寧に説明を行う、これは責任を持つ必要があるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
○大西政府参考人 私どもといたしましては、まず、平成二十七年度に行われた説明会におきましては、先ほど申し上げたとおり、住宅ごとに説明を実施するとともに、入居者の皆様にはパンフレットをお配りしたところでございます。
また、今回、先ほども申し上げましたが、各入居者の皆様に、売却後も現在の契約条件等を引き継ぐ旨の御連絡をしたところでございますが、その中には新会社の連絡先のフリーダイヤル等もお知らせして、お問い合わせいただければ、当然のことですが丁寧に対応させていただきたいと考えておるところでございます。
○島津委員 ぜひ、皆さんが納得いくように説明を尽くしていただきたいと思うんです。
十年間は家賃等の変更はない、こういう保障です。十年は住み続けられる。では、十年が過ぎたらどうなるのか。今の入居者の皆さんは、十年後も住み続けたい、この願いは当然あるわけです。これはどのように担保されるんでしょうか、この願い。
○大西政府参考人 今回、御指摘のとおり、十年間ということで賃貸条件について維持することとしておるところでございます。売却後十年経過後の入居につきましては、基本的には売却先の民間会社と入居者との間で決められるというようなことと認識しております。
なお、機構といたしましては、賃貸条件の維持ということで、この十年間というのは相当長い期間をこういった入居者の方々の保護を強める観点から設定させていただいたということで、何とぞ御理解いただきたいと思います。
○島津委員 十年後は借地借家法の世界に入っていくわけなんですけれども、この借地借家法の精神というのは、居住者の権利をいかに守るのか、つまり居住権の保障にあります。普通契約者に適用されている借地借家法では、正当な事由がなければ家主による立ち退き請求は認められていない、こうありますから、十年後にもこの権利関係は生きているわけですから、これは十年先の保障も国としてもしっかり見守っていくことが必要だというふうに指摘したいと思うんです。
次に、保証人の問題についてお聞きしたいんですけれども、雇用促進住宅を賃貸物件として買って紹介しているビレッジハウス、そこでは物件案内を出しているんですけれども、その中で、次のことを売りにしています。
ビレッジハウスは、UR、公社、市町村が運営する公営住宅とは異なる低価格賃貸住宅です、その上で、抽せん、礼金、保証人不要、こうアピールしています。また別のところでも、礼金、手数料、更新料もゼロ、保証人も不要、このように繰り返しているんですけれども、この保証人不要というのは確かなことですね。
○大西政府参考人 民間会社の募集条件につきましては、一応、私どもとしては直接お答えする立場にはないということを御理解いただきたいと思うんですが、私どもとしまして、売り主である高齢・障害・求職者支援機構からは、売却先の民間会社が保証人不要という形で入居者の募集を開始していると聞いておるところでございます。
○島津委員 しっかり書いてありますから、そこのところは確認したいと思うんですけれども。
今最も心配されているのが、定期契約で入居している人たちです。私の事務所にも、定期契約の人が、次の契約更新のとき保証人を求められる、そうすると保証人が確保できない、こういう方が、たくさん心配の声が上がっています。
定期契約の人たち、家賃はきちんと払っている、しかし保証人の確保ができない、こういう場合にはどうなるのか。これは新しい家主との相談というふうになってしまうんでしょうか。
○大西政府参考人 現在の入居されている方につきましては、十年間を契約内容維持ということでお願いしておるところでございますので、今回の売買契約の条件となっておりますので、引き続き保証人については必要ということになっておるところでございます。
なお、委員御指摘のように、入居者の方と新しい家主の方が保証人を立てないで契約できるか、こういった条件の変更につきましては、やはり売却先の民間会社と御相談していただくことになると認識しているところでございます。
その際でございますが、先ほど、賃貸の契約内容の変更はできないというぐあいに申し上げましたが、契約の更新の際に、入居者に有利となる契約の変更は可能であるというようなこととなっておるところでございます。
○島津委員 新しい家主との交渉でそういう道も開かれる、保証人なしでもいいということで。実際に、募集のときには保証人なしでやっているわけですから、開かれるということだと思うんです。
一九九九年に、この雇用促進住宅問題の発端になったのが、雇用・能力開発機構法案の審議の際、このとき、我が党議員は次のように指摘しています。
居住する人たちは約三十八万人、生活そのものがかかる、同時に、資産としても、簿価だけでいっても土地で百数十億円、実勢価格でいえば数千億円、それ以上の資産になる。これは、中小企業を含む事業主の負担等によってそういうものが形成されてきたという性格から、間違っても、こういう土地が民間ディベロッパーなどの利潤追求に使われてはならない。これは、一九九九年三月の衆議院労働委員会での質問です。
今回、西日本ブロックは大手不動産投資会社に売却され、東日本ブロックの住宅も再度入札にかけられようとしています。
繰り返し言うまでもありませんけれども、雇用促進住宅は国民の大事な資産です。しかも、入居者ともども売却しようというなら、今後何十年たとうと、入居者の居住権を侵害するようなことは決してやってはならない。これは本当に、この経過からいっても国の責任だと思うんです。このことを強く指摘して、質問を終わりたいと思うんです。
ちょっと時間が余りましたので池内議員の方に譲りますので、よろしくお願いします。