○島津委員 日本共産党の島津幸広です。
きょうは、地域間格差と最低賃金の問題について質問いたします。
初めに厚労大臣に確認したいんですけれども、最低賃金の本来の役割というのは、貧困をなくして格差を是正する、そのことによって地域の雇用や経済の活性化を図る、このように理解しているんですけれども、大臣の認識はどうでしょうか。
〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕
○塩崎国務大臣 最低賃金につきましてのお尋ねがございましたが、最低賃金法につきましては、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低限を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的としているところでございまして、役割がこういうことだというふうに理解をしております。
地域別最低賃金、これにつきましては、決定に当たって、労働者の生計費や賃金あるいは企業の支払い能力について、各都道府県ごとに実情を考慮して定められておりまして、各都道府県ごとに差があることについては、各都道府県の実情が適切に反映された結果と考えているところでございます。
○島津委員 地域的な問題についてはこの後質問いたしますけれども、最低賃金の引き上げが必要だということは、認識は一致すると思うんです。
二〇一〇年六月に、政府、労働界、経済界の代表などでつくる政府の雇用戦略対話においての合意で、最賃引き上げの二〇二〇年までの目標と達成に向けた施策を取りまとめました。この中で、最賃をできる限り早期に全国最低八百円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均千円を目指すことが明記されました。
今の安倍内閣のもとで、最低賃金を年率三%程度を目途として引き上げていくとしていますけれども、このベースでいきますと、全国加重平均千円になるのはいつになるんでしょうか。
○塩崎国務大臣 最低賃金につきましては、昨年の十一月に、一億総活躍の緊急対策において、名目GDPを二〇二〇年ごろに向けて六百兆円に増加をさせていく中で、年率三%程度をめどとして、名目GDPの成長率にも配慮をしつつ引き上げていく、これによって、全国加重平均が千円となることを目指すとしたわけでございます。
今お尋ねの達成時期についてでございますけれども、仮に毎年三%ずつ引き上げることとした場合に、試算をいたしますと、二〇二三年度に最低賃金は全国加重平均千円を超えることになります。このような意味で、二〇二〇年代半ばには千円に到達するものと考えているわけでございます。
これは、先ほど申し上げた名目GDP六百兆円を目指す中で実現をしていくものでありますので、我々としては、この生産性革命とともにやっていかなければならないということで、今、金融機関とも連携をしながら、厚労省としても努力を重ねて、同時にやっていくということにしているところでございます。
○島津委員 二〇二三年までということですけれども、余りにも遅いということを言わざるを得ないと思うんです。
最賃が地域別になっているという話が先ほどありました。そのことで今、地域格差がどうなっているのか。
最低賃金の全国加重平均は、今、七百九十八円です。神奈川県が九百五円、愛知県が八百二十円、静岡県は七百八十三円です。私は静岡県出身なんですけれども、静岡県の最賃は、今言ったように、全国平均よりも低いだけじゃなくて、隣の愛知県と比べると、時給で三十七円、神奈川県とでは百二十二円も低いんです。百二十二円というと、フルタイムで働くと年収二十二万円もの差が出てきます。
静岡県の熱海市と神奈川県の湯河原町の間に千歳川という川が流れています。大変小さな川で、国道にかかっている橋でも五十メートル程度、小さな子供でも歩いて渡れる橋です。その川を挟んで最低賃金に大きな差がある。
議員会館にもあるコンビニのチェーン店の求人情報を調べてみました。静岡県熱海市のコンビニは、時給八百円から、高い店でも八百五十円。一方、湯河原町は九百五円から九百二十円でした。同じ時間帯で同じ仕事をする、にもかかわらずこれだけ時給が違う。
大臣、こうした実態をどうお考えになりますか。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、最賃の決め方というのは、それぞれの地域ごとに、生計費、あるいは賃金、企業の支払い能力などを勘案した上で都道府県ごとにお決めをいただいているという、最賃の審議会は都道府県ごとに設けられているわけでありまして、そういうことに基づいて決められているということになりますので、各都道府県の実情、私も愛媛県松山市に住んでおりまして、物価水準とかいろいろな意味で、賃金も含めて、それぞれやはり少し違うということがあるので、そういうことでございます。
今、先生の御地元ということで東海地方のお話をいただきましたが、若干、都市がずっと連続的に続いているような、市街地が続いているようなところとそうじゃないところでは、今御指摘になったようなことは確かにあるかもわかりませんが、基本的な決め方は、それぞれの地域の実情に合わせて最賃をそれぞれ決めていただくということになっているということでございます。
○島津委員 歩いて渡れる川一つ隔てて物価水準の地域差を持ち出すというのは、余りにも現実とかけ離れた話だと思うんです。
大分駅のあるファストフード店は、時給六百九十五円で募集していました。同じチェーン店の東京の店は、時給千円だったんです。むしろ、客は大分の方が多かった。年収だと五十五万も差がある。こんなことが今現実としてあるわけです。
私は、議員になってこちらに来ました。物価の話が出ましたけれども、静岡市も東京も物価はそんなに違いません。スーパーでも、東京は確かに高級店はあります、でも、庶民的な店もあるんです。首都圏は家賃が高い、こういう議論もあります。でも、一方で公共交通が発達していますから交通費は安くて済む、そんなにかからない。一方、地方の方では、公共交通が便が悪くて運賃も高い、必然、車を持たざるを得ないということでその経費がかかる。
資料として、総務省の統計の勤労者世帯の消費者支出の結果、これを出しました。これを見ていただくとわかるように、全国どこに住んでいてもそんなに大きな差はないんです。静岡市よりも最賃が高い横浜市の方が、むしろ消費支出が少なくなっている。
生計費に大きな差がない一方で、最低賃金の格差は広がっています。これは資料二で示してありますけれども、最低と最高が年々広がっていく。むしろ、地方に住んでいる方が生計費がかかる、こういう声もあります。
厚労大臣、この最賃の地域格差が地域を疲弊させている要因の一つになっていると思わないんでしょうか、どうでしょう。
○塩崎国務大臣 それぞれの地域で若干実感が違うのかもわかりませんが、今、地方の方が生計費が高い場合もあるかもわからないという御指摘がありましたけれども、私が、今、愛媛県の松山市に住んでいる限り、ほぼ、やはり全般にわたって、時間距離とかそういうことも含めて考えてみると、生活コストというのは、東京で暮らすよりやはり、暮らし方にもよりますが、物価の面から見て安いのかなと。それから、賃金などを見てもそうでありますので、全体的に、かかるコストというものが必ずしも地方の方が高いという感じは私は持っておりません。
最低賃金についても、決め方は先ほど申し上げたとおりで、さまざまな、地域地域の諸要件を受けて決めていただいているということでございますので、今御指摘のあったような点について、必ずしも、どうかなという感じがいたすわけでありまして、今お示しをいただいているものについては、さあ、果たしてどこまでを最賃の中にカウントすべき考慮項目として入れるべきかということは、また少し考えてみなければいけないのかなというふうに思いました。
○島津委員 私が住んでいる松山市は違うと言うんですけれども、そんなことを言っていましたら松山市の皆さんは怒りますよ。今、総務省の資料でもあるように、松山は確かにちょっと低くなっていますけれども、全国どこでも同じなんです。
もう一つ、人口の流出、社会減の問題についてお聞きします。
今、静岡県の人口の流れ、流出、転出が県内で大きな話題になっています。流出、転出、人口のいわゆる社会減が、二〇一四年は、静岡県は全国で二番目に多かったんです。直近の数字でも、北海道などに次いで、全国で五番目に多い。
静岡県の分析によりますと、転出超過数が最も多い階層、年代は、二十歳から二十四歳が二九・五%、次いで多かったのが十五歳から十九歳、二五・六%、合計五五・一%。県外への転出の半分以上が若年層、若者の層なんです。これは二〇一三年の分析で、ちなみに、二〇一〇年から一三年では、二十歳から五十四歳までの階層で、全て転出超過になっています。若者層、働き盛りの人が県外に出ていっているということなんです。転出先で最も多いのが東京圏、次いで名古屋圏です。
静岡県の中でも、伊豆半島地域の人口減少率が、県内の中で比べても最も高くなっています。
私は、伊豆半島の先端の下田市で市長さんからお話を伺ってきました。市長さんは、こう話していました。子供を大学に進学させる場合に、近くに大学はない、自宅からは通えない、都市部でも遠い大学に行く場合はあるんだけれども、自宅から通える大学もある、地方にはその選択肢がないんだ、このように言っていました。下田市では、子供が進学で首都圏などに出ていくと帰ってこない、観光不況で仕事も少ない上に給料も安い、人口はピーク時の三万二千人から一万人も減っていると言いました。
市長さんは、若者の流出がとまらない、地域の経済も落ち込むという深刻な状況に心を痛めていました。地方には選択権がない、市長さんのこの言葉は、本当に実感がこもった重い言葉だと思います。これが地方の実態なんです。
地域格差の問題は地方の活性化とも大いにかかわるので、所轄である石破大臣にもお越しいただいています。
石破大臣は、地方の人口の偏った流出、社会減の要因はどこにあると考えていますか。
○石破国務大臣 私も、人口五十八万人を切っている鳥取県が選挙区で、そこへ住まっておるわけでありますが、それは一概に言えないと思っています。
今委員が御指摘の、例えば、今、高校を出て大学に進学する方々が六割強とか七割弱とかいらっしゃるわけですが、それぞれの地域にそれを受け入れるだけの大学の数がない。定員割れしているという問題もございますが、そういうこともあります。そうすると、ひっきょう、そこから出ていかざるを得ないということもございますでしょう。あるいは、東京や大阪で学んでも、帰っても働くところがないということがあることは、それもまた事実だと思っております。
今、地方で起こっておりますのは、人手不足というのが地方の方が顕著であるということであります。そうであるからして、労働生産性を上げたとしても、そこにおいて失業というものが生じるというのは、今までとは違う局面なんだろうというふうに考えておりまして、いかにして地方における生産性というものを、上げる余地が多くございます、そこへ上げ、高い収入、そして、よい雇用条件、雇用環境というものをつくっていくということ。あるいは、地方において学びの場をさらに充実させていく。それが文科省が今進めておられるCOCプラスという事業だと思っております。
政府として、今委員が御指摘のようないろいろな問題をよく認識しながら、きちんとした対応をしていくことが喫緊の課題であると認識しておるところでございます。
○島津委員 今いろいろ述べられました。そういうさまざまな要因等もあると思いますけれども、今、各地で最賃の引き上げを求める意見書が議会で上がっています。
静岡県でも、先ほど紹介した伊豆やあるいは東部の地域を中心に意見書が上がっているんですけれども、秋田県では、県内の八割に当たる市町村で、この最賃の問題で意見書が上がっているんです。
二〇一四年に採択された男鹿市議会の意見書はこう言っています。地域間格差も大きく、秋田県と東京では時間額で二百四円もの格差があるため、青年の流出を促していますということを挙げて、ワーキングプアをなくすため、最低賃金の大幅引き上げを行うこと、全国一律の最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めること、中小企業への支援策を拡充すること、中小企業負担を軽減するための直接支援として、中小企業とそこで働く労働者の社会保険料負担の引き下げを支援することなどを求めています。
石破大臣は、昨年の参議院の地方・消費者問題に関する特別委員会、六月十日ですけれども、我が党の大門議員の最低賃金の質問に答えて、賃金の格差ほど物価に格差があるわけではない、こう答弁し、地方の雇用者、特に若い雇用者、若い労働者も含めて、高齢者の方もそうですが、賃金を押し上げていくということは地方創生のために必要不可欠なことだと承知しておりますと述べています。
この考えに変わりはないと思うんですけれども、石破大臣、今紹介しました意見書で求められていることを実現して、真の地方創生、地域の活性化を進めていくべきじゃないんでしょうか。どうでしょう。
○石破国務大臣 最賃の決め方につきましては、先ほど来厚生労働大臣がるる答弁をしておるところであります。
私は、デフレでがんがんと物の値段が下がっておるというときに、売り上げも伸びない、物の値段も下がる、そういう状況において最低賃金だけ上げるということは、それは政策の整合性としていかがなものかなというふうにデフレの真っ最中のころは思っておりました。
今は、今の有効求人倍率等々から考えまして、いかにして地方の労働生産性を上げていくか。高い給与と、そしてよい就労条件というものを確保して、少なくとも雇用という状況において都会の求心力というものを弱め、地方において働く場をきちんと確保するということは極めて重要なことであって、賃金を上げていくというのはそういうことだと思っております。
最低賃金につきましては、これはもう決め方が決められておるわけでございまして、そのことについて、最低賃金について私がどうこう申し上げる立場にはございませんが、地方における給与を上げていく、給与のみならずそこにおいて安定した就業がなされる、社会保障等々ですね、そういうものの充実を図っていくことは極めて重要な課題であるという認識は委員と共有をしておるところでございます。
〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕
○島津委員 最低賃金も含めた賃金の引き上げが必要だということだと思います。
今、ここに資料を用意したんですけれども、都道府県別の人口の転入転出と最低賃金との関連を示したグラフがあります。
最賃の全国最高は、東京都の九百七円。低い県は、高知県や宮崎県など四県が六百九十三円。その差は二百十四円です。この場合、年収だと三十八万五千円も格差が出るんです。しかも、その格差が年々広がっている。
最低賃金の差は実際の賃金の差となり、最賃が低いところから高いところへの移動が見てとれます。賃金が低いところから高いところへと人が流れている、一目瞭然だと思いますけれども、厚労大臣、どうでしょう、どう読み取りますか。
○塩崎国務大臣 これはまさに、石破大臣が御担当していただいている地方創生のもともとの問題点の一つのスタートラインは、人口が大都市、特に東京に集中をし続けて、市町村がこのままいくと崩壊するんじゃないか、こんな問題意識だったと思います。
それは、最賃で全てこれが起きているわけでは決してないわけでありまして、むしろ、最賃を決めるようなさまざまな生活条件あるいは経済条件というものがあって最賃はこういうふうになっているわけでありますから、大もとの、なぜ人が東京を初めとした大都会に集中をしていくのかということについて、きちっとした分析をしながら、あるいは逆に、地方でなぜ人が離れる要因があるのかということを考えていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
先ほど、十五歳から十九歳、それから二十歳から二十四歳というのは、やはり大学進学とそれから就職が象徴的にそこに集中して、行ったきり帰ってこないということになっているわけでありますから、むしろそうすると、大学も地方で十分学べるし、楽しいし、豊かな学生生活ができる、あるいは就職も地方でできるようにするためにはどうしたらいいのかということを、今、石破大臣を中心にお考えをいただいているんだろうというふうに思います。
したがって、お配りをいただいたのは、かなりの相関関係を読み取ることが可能なふうになってはおりますけれども、それは直接の原因ではなく、さまざまな要因の中で最低賃金は決まっている、それが、人口が集中しているところが最低賃金が高くなるような条件が整っているというような感じが私はいたすところでございますので、やはり根本的なことを考えて、地方が本当にどうやったら元気になるのかということを考えていくべきではないかというふうに思います。
○島津委員 いろいろ答弁されましたけれども、私が聞いたのは、この表にあるように、最低賃金が低いところから高いところへ人口が流れているのではないか、事実としてはっきりしているわけですけれども、そのことを否定はされないですね。
○塩崎国務大臣 今申し上げたように、相関関係はあるようなふうな感じはいたすわけでありますが、原因はそこだけではなくて、では、地方の最賃を上げれば東京から人がどんどん地方に戻るかということには、私は多分ならないんだろうというふうに思います。
○島津委員 そんなことを言っているわけじゃなくて、現に、だけれども、下田の市長が言っているように、行ったら、向こうの方が賃金が高いから帰ってこない、帰ってこられないと言うわけですよ、仕事がないという問題もありますけれども。確実に、最低賃金が低いところから高いところへ人が流れているということなんです。
本来一律であるべき最低賃金に格差が持ち込まれて、このように、若者の流出、地域経済の衰退を初めとした深刻な問題が生まれているのは事実です。同一労働同一賃金の実現に踏み込むというなら、全国一律の最低賃金制に踏み込むべきではないでしょうか。このことを強く求めたいと思います。
さて、冒頭にも指摘しましたけれども、最低賃金を引き上げなければならないという点では一致しているはずです。
日本の最低賃金制は、地域別とともに、先進国でも最低という賃金水準が大きな問題です。最賃が最も高い東京の時給九百七円でフルに働いても、年間は百六十三万円。ワーキングプアの二百万円にも届きません。最低の六百九十三円では、年収二百万円にするためには、二千八百八十六時間、過労死ラインに近い働き方をしなきゃならないんです。働いても働いても貧困から抜け出せない。この最低賃金の低さは一刻も早く改善しなくてはなりません。
最賃法の趣旨でもある健康で文化的な最低限度の生活、これはどのような生活でしょうか。
もう一つ資料をおつけしました。全国労働組合総連合が全国各地の最低生計費調査を行った資料です。
これを見ましても、全国どこでも生計費は変わらないことを示しているんですけれども、ここでモデルになっているのは、二十五歳の独身男性。中古の小型車で通勤し、昼はコンビニ弁当。仕事帰りに同僚と飲みに行くのは月に二回ほどで、一回に使うお金は三千円。家にある家電は、量販店で最低価格帯で売っているもの。帰宅した後はインターネットか携帯ゲームで遊んで、恋人とのデートは月に二回。こんな設定で算定しているんです。
このような生活がぜいたくと言えるのか。むしろつましい。まさに健康で文化的な最低限度の生活です。その生活に必要な賃金は、時給千二百円台から千三百円台なんです。中小企業の支援とあわせて、早急に千円以上にすべきじゃないんでしょうか。厚生労働大臣、どうでしょう。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、一律というのは、今、この最低賃金の決め方の根本と少し異なるかなという感じがいたすわけでありまして、やはりそれぞれの生活水準、あるいは物価、あるいは賃金などに合わせて決めるということが必要なのではないかというふうに思います。
今、先生から資料をお配りいただきましたけれども、最低賃金の水準というのは、やはり生活保護の水準を下回ることは、労働者の最低限度の生活を保障する観点や、あるいはモラルハザードの観点からして問題があるということから、平成十九年の法改正で、このような趣旨を踏まえて、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」という規定を入れ込んだわけでございます。
この法改正を踏まえて、最低賃金と生活保護水準との乖離解消を図ってきた結果、平成二十六年度には全ての都道府県で乖離が解消されるというところまで来たわけでございまして、さっき申し上げたように、一億総活躍会議の緊急対策に基づいて、最低賃金は二〇二〇年代半ばに向けて千円を目指すということで図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
なお、生活保護水準との兼ね合いからいきますと、今お配りをいただいているもののどこまでをカバーすべきなのかということはまだよく議論をしなければいけないのかな、そういうふうに思います。
○島津委員 生活保護の乖離の問題が出ましたけれども、今、生活保護バッシングを利用して、生活保護給付を三年間で約一〇%も引き下げる。さらなる引き下げも計画しています。生活保護基準を低くしておいて、さらに基準を引き下げる。
そして、最賃との乖離が解消されたといっても、労働者の暮らしは改善されません。支払い能力という議論もあります。
もう時間がありませんから簡単にしますけれども、最低賃金を引き上げて雇用が減ったというデータは国際的には存在しません。むしろ、実際、二〇一五年から全国一律の最低賃金制度が導入されたドイツでは、一年間に正規雇用が約六十九万人ふえています。アメリカなどでも同様なんです。
下田市長は、若者の流出を抑えるためにも、地域の経済が活性化するためにも、最低賃金を引き上げてほしい、しかし、市内の主な働き場所は旅館やホテル、引き上げと中小企業、小規模事業者の支援とセットでやってほしい、こう話されていました。もっともだと思います。
しかし、いろいろ、今、最低賃金のための中小企業、小規模事業者の直接支援は限られていますけれども、今の状況で求められている引き上げ、全国一律ができるかどうか、本当に不安です。
フランスでは、社会保険料の使用者負担分を三年間にわたって日本円で二兆二千八百億円出しました。日本でも思い切って支援をして引き上げるべきじゃないんでしょうか。最後にこのことをお聞きしたいと思います。
○竹下委員長 塩崎大臣、短くお願いをいたします。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたことを繰り返して恐縮でございますけれども、二〇二〇年代半ばに向けておおむね三%ずつぐらいのめどで引き上げることによって、二〇二〇年代半ばに千円を達成するということを基本に、経済の再生を進めてまいりたいというふうに思います。
○島津委員 終わります。