しまづ幸広(日本共産党元衆議院議員)-浜岡原発廃炉、静岡から政治を変えよう
国会質問

質問日:2016年 1月 13日 第190国会 内閣委員会

国家公務員の給与法に関する質問

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島津委員 日本共産党の島津幸広です。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、野党が憲法五十三条の規定で要求した臨時国会の開会を政府・与党が拒否しました。そのために、人事院勧告に基づく本法案の審議が大幅にずれ込んだわけです。

 本来なら昨年中に審議し、年末のボーナスにも反映できたわけですけれども、年明けの通常国会になったわけです。しかも、補正予算とは直接関係のない本法案の審議を予算委員会の審議日程に合わすために、短時間の非常に窮屈な審議になりました。国家公務員の給与の改定とともに、フレックスタイムの問題も含まれています。当然しっかり時間をとって審議すべきところをわずか二時間、与党は質問を放棄しました。これで当委員会の責務が果たせるんでしょうか。

 我が党はこうしたやり方に強く抗議して、質問に入ります。

 今回、人事院は、民間賃金よりも低いとして、国家公務員の月給を〇・三六%、ボーナスを〇・一カ月分引き上げるよう勧告しました。これを受け入れて本法案が出されたわけですけれども、これで全ての職員の月給が上がるわけじゃありません。実際に手取りとして上がる職員は行政(一)でどれほどいるんでしょうか。

古屋政府参考人 今お尋ねの行政職俸給表(一)の適用職員について見ますと、今回の俸給表水準の引き上げにより俸給の実支給額がふえる職員というのは一万九千六百六十四人、割合では一四%でございます。また、地域手当の改定によりまして支給割合が上がる職員は七万三千五百七十二人となっておりまして、割合では五二%。今の二つ、今回の俸給と地域手当の改定により実支給額がふえる職員ということで見ますと八万一千五百十二人ということで、割合では五八%となっております。

島津委員 公務員給与を平均二%引き下げる給与制度の総合的見直しが昨年から実施された結果、大幅な賃下げとなる、そのための緩和措置として三年間は現在の給与を保障する、こういう措置がとられているわけです。ですから、多少の賃上げがあっても、そこに吸収されるために上がらない職員も出てくる、賃上げにはつながらないということも生まれる。

 給与というのは、生活する上で必要な生計費です。その生計費の引き上げが必要と勧告されているにもかかわらず、上がらない職員が多数出てくる。俸給で見るなら、行政(一)で、今御答弁あったように一四%しか上がらない。地域手当が上がるといいますけれども、これは地域間格差が拡大するということで、問題です。全国知事会なども、給与制度の総合的見直しの際、この地域手当が配分されることに対して、「地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等が多いことも踏まえると、結果として、官民を通じて地域間格差が拡大することとなりかねない。」、こう懸念を表明しているわけです。実際に地域間格差も拡大しています。

 それでは、給与の引き上げがあった二〇一四年と一五年、行政(一)の年収はそれぞれ何%上がったんでしょうか。

古屋政府参考人 平成二十六年勧告、二十七年勧告での平均給与の変化ということで、二十六年勧告におきましては、同じく行政職俸給表(一)の適用職員で見た場合には、月例給は平均で〇・二七%、千九十円の引き上げ、特別給が年間〇・一五月分の引き上げとなっておりまして、これらを合わせた年間給与では平均一・二%、七万九千円の引き上げとなっております。

 また、二十七年勧告においては、月例給は平均〇・三六%、千四百六十九円の引き上げ、特別給は年間〇・一月分の引き上げとなっておりまして、これらを合わせた年間給与は平均〇・九%、五万九千円の引き上げとなっております。

 また、職員個々人について見ると、このほか、個別の昇給等により給与が上昇する職員もあるということでございます。

島津委員 二〇一四年度の消費者物価指数は対前年度比で二・九%上昇しています。物価上昇にも追いついていない、消費税分も吸収できない、実質賃金は目減りしているわけです。生活水準にはほど遠い状態だと言わなければいけません。

 今、アベノミクスで日本経済と国民生活は深刻な状況に陥っています。二〇一四年度は、国内総生産はマイナスだったにもかかわらず、大企業の収益がふえるというかつてなかったことが起きています。大企業の内部留保は三百兆円を突破しました。一方、国民の所得や消費は実質で三年前を下回ったまま。こういう状況のもとで、国民の所得をふやし、消費を拡大し、税収も上げるという好循環をつくり出すことが、日本経済を健全な発展に導く鍵となります。

 政府も賃上げの必要性を認めて、経済界も今、賃上げを言い出しています。人事院で二年連続のベースアップが勧告されながら、多くの職員が賃上げにつながらない。その大もとにあるのが、給与制度の総合的見直しです。

 賃上げは官民ともに進めていかなければなりません。そのために、政府自身が人件費抑制の手段と言ってはばからないこの給与制度の総合的見直しは中止すべきじゃないんでしょうか。どうでしょう。

河野国務大臣 平成二十六年度の人事院勧告におきまして、人事院が、地域の民間給与の実態を調査した上で、地域間の適正な給与配分の実現を図るため、俸給表と地域手当の見直しなどを内容とする給与制度の総合的見直しが勧告され、それに従って、給与法の改正によりこの勧告を実施したところでございます。

 国家公務員の給与については民間準拠を基本として改定を行ってきておりまして、その際、地域ごとの民間給与水準をより的確に公務員給与に反映させることが公務員給与に対する国民からの理解を得る上でも重要であると考えておりまして、今後とも、給与制度の総合的見直しを着実に実施してまいりたいと考えております。

島津委員 民間に準拠して、民間を調べてということですけれども、民間と公務が賃下げを競い合っていたのでは、日本の経済は一向によくなりません。

 公務員給与は、地方公務員の給与にも民間給与にも影響するわけです。それがこの総合的な見直しで賃下げとなる、地域間格差も広げる、二年連続でベースアップがあっても多くが賃上げにならない、これでいいんでしょうか。

 人事院は、労働基本権が制約された公務員の代償機関です。公務員全体の利益を守る機能を発揮することが必要なのに、その役割を果たしていない。また、政府にも使用者として職員の暮らしを守る責任がある。これも果たしていない。このことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

 本法案に含まれているフレックスタイム制の問題にかかわってお聞きしたいと思います。

 まず聞きたいのは、何のためのフレックスタイム制なのか、端的にお答えください。

三輪政府参考人 職場において、男女ともに、ワーク・ライフ・バランスを推進して、柔軟で多様な働き方によって、育児、介護を抱える方も含めて、全ての人がそれぞれの状況に応じて働き続けられるような仕組みへの転換を図ることは官民共通の課題であるというふうに認識をいたしております。

 今般、フレックスタイム制を拡充することによりまして、柔軟で多様な勤務形態の選択肢を用意して、職員がその能力を十分に発揮し、高い意識を持って効率的に勤務できる環境を整備して、公務能率の向上、人材の確保にも資するということを目指すものでございます。

島津委員 確認しておきたいんですけれども、法案では、フレックス制度の導入によって、勤務時間の割り振りの際に、希望者本人の申告に基づいて個人単位に適用される、こうなっています。

 そうすると、本人の意思に反してフレックス勤務時間の割り振りを押しつけることはないという理解でいいんでしょうね。これは確認です。

三輪政府参考人 フレックスタイム制は、公務の運営に支障がないと認める場合に、職員の申告を経て勤務時間を割り振るという制度でございます。職員が申告を行わないのに、各省各庁の長が一方的に割り振りを行うということはできないものでございます。

島津委員 できないということでした。

 ただ、職場で強制がある、こういうことが今後出てくる可能性もあるんですけれども、その場合には、違法だから厳しく是正していただきたいと思います。

 本人が希望してということで適用されるわけですけれども、今答弁にあったように、公務の運営に支障がある場合、希望どおりの勤務時間にはならないわけです。法案の趣旨から見て、なるべく希望がかなえられることが望ましいんですけれども、現実にはやはり厳しい状況があると思うんです。なぜなら、長時間労働をしなければ業務をこなせない、こういう実態があるからです。

 政府は、二〇一四年の新成長戦略で、雇用制度改革の中心に「働き方改革の実現」を位置づけています。その項目の一番目に「働き過ぎ防止のための取組強化」を掲げています。政府自身も働き過ぎを認めているわけです。

 では、国家公務員の働き過ぎの現状はどうなっているのでしょうか。年平均の残業時間、その時間別の割合がわかったら教えてください。

江畑政府参考人 国家公務員の平均年間超過勤務時間数は、業務の繁閑に応じまして年ごとに多少の増減があるところではございますが、平成二十七年国家公務員給与等実態調査によりますと、平成二十六年は全体平均で二百二十九時間となっておりまして、組織区分別に見ますと、本府省が平均三百六十四時間……(島津委員「全体でいいです」と呼ぶ)以上でございます。

 時間区分ごとの分布は把握をしておりません。

島津委員 前年よりも減っているのは確かなんですけれども、しかし、今お答えがあったように、これだけ多くの残業があるわけです。

 超過勤務の縮減に関する指針で定められた超過勤務の上限目安時間三百六十時間を超えた職員は、私の調べでいくと、職員の割合は二一・八%、五人に一人がこれを超えている。

 しかも、この時間というのは時間外手当が払われた数字です。実際には、数字にあらわれない残業が横行しています。たとえ仕事をしていても勤務時間とは認められず、一定のみなし規定はあるものの、働いた時間全てが超過勤務手当の対象になるわけじゃありません。

 私が聞いたある職員は、そういうことで、ただ働きの超過勤務があるわけですから、しかし、実際に働いた金額ともらった超勤を見てみたら、時間当たりで計算したら、忙しいときには時給五百円になる、こういうときがあったそうです。家族からは、その辺のコンビニでバイトをした方がいい、こういうふうに言われたといいます。霞が関不夜城はブラックバイトよりむごい、こういう訴えをされました。

 こうした不払い残業を含めた時間外労働の実態を調査したアンケートがあるんです。霞が関国家公務員労働組合共闘会議が二〇一四年の残業実施アンケートを行いました。ここで、月三十時間以上の残業をした割合は三二・八%、三人に一人です。月八十時間以上は九・六%です。厚生労働省が労働災害認定の過労死ラインにしているのがこの月八十時間以上残業。十人に一人が過労死ラインを超えて仕事をしているんです。

 ある職員は、午前二時、三時にタクシーで帰宅しても睡眠時間を確保できない、一年間で五十日も職場に泊まり込んだことがあると言っていました。深夜帰宅も五十日ぐらいあったといいます。別の職員も、月八十時間ほどの残業になると、家にはただ寝に帰るだけ、真夜中に夕食を食べてすぐ寝て、すぐ起きて仕事に行く毎日、本当に毎日がつらいと話していました。

 大臣、こういう働き方は異常だと思いますが、どうでしょうか。

河野国務大臣 おっしゃるとおり、大きな問題があると思います。

 長時間労働が当たり前になっているかの今の霞が関の風潮をやはり根本から、価値観から変えていかなければならないというふうに思います。

 政府といたしましても、働き方の見直しを総合的に進めようということで、ゆう活をやったり、ワーク・ライフ・バランスの推進強化月間を設けてみたり、あるいはそうしたことを施行させた職場ごとに大臣表彰をやってみたり、テレワークの推進といったことを入れたり、人事評価への反映を徹底しよう、いろいろなことをやっておりますので、超過勤務時間を縮減するために一生懸命頑張ってまいりたいと思います。

島津委員 働き方の見直しやワーク・ライフ・バランスだけにとどまらない問題もあると思うんですけれども、それはまた後で議論します。

 政府は、今お話もありましたけれども、昨年夏、いわゆるゆう活を実施しました。国家公務員が率先して朝型勤務を実践することを求めてきたわけですけれども、この試みはフレックスタイム拡充の一環でもあり、その目的の一つに長時間過密労働の是正があるとも思います。

 その後、ゆう活等に係る職員アンケートが行われています。その結果を見て私は驚いたんですけれども、「定時以降の業務を縮減できたと感じますか?」という設問に対して、「変わらない」「増加した」と答えた人が五六・五%に上っていました。中でも、「増加した」と答えた人は、ゆう活を実施しなかった人が五・五%なのに対して、ゆう活を実施した人は七%、ゆう活をやった人の方が多いわけです。「休暇が取得しやすくなったと感じますか?」の設問にも、六三%が「あまり感じない」「まったく感じない」というふうに答えています。何でこんな結果が出たと考えているんでしょうか。

三輪政府参考人 御指摘のゆう活についての職員アンケートでございますけれども、ワークライフバランス推進強化月間、昨年の七月、八月の期間でありますけれども、定時以降の業務について削減できたというのが約四割、変わらないというのが約五割、増加したというのが六・七%、こういう回答結果でございました。

 その期間中に定時退庁あるいは二十時の退庁ができなかったという理由を各省庁の人事担当課の方に伺ってみたのでございますけれども、返ってきた回答といたしましては、国会関連業務、予算等の要求業務、あるいは異動や採用に係る人事関連業務、こういったものが事由として多く寄せられたという状況でございます。

島津委員 やはり働き方だけでは解決できない問題があるわけです。

 異常な残業、長時間労働というのは健康もむしばんでいます。先ほど紹介した労働組合の実態調査、残業実態アンケートでも、不調を訴えたり通院治療をしているなど、三五%が不健康な状態だと回答しています。過労死の危険を過去に感じた、現在も感じているが三割にも上っています。

 不合理な仕事の進め方、人員配置の問題も要因の一つですけれども、やはり業務量そのものが多いことが大きな要因だと思うんです。長時間残業をなくすには、業務量を減らすか、業務量に見合う職員数が必要になるんです。

 そこで、聞きたいと思います。

 政府は、「国の行政機関の定員の純減について」を閣議決定し、二〇〇六年から定員の削減を進めてきました。この結果が出ていると思うんですが、どうなっているんでしょうか。数字でお示しください。

若生政府参考人 御指摘の、平成十八年六月三十日に閣議決定されました「国の行政機関の定員の純減について」、いわゆる定員の純減計画でございます。これは平成十八年度から二十二年度までの五年間の計画でございますけれども、これに基づきます純減数、全体で一万七千四百七十三人でございます。

 また、この純減計画に盛り込まれなかった……(島津委員「それだけでいいです」と呼ぶ)はい。失礼しました。

島津委員 五年間で一万七千以上もの職員が減らされているわけです。

 それでは、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針に基づいて、二〇一五年度から五年間の定員の合理化目標も決められていると思うんです。その目標がどうなっているかも教えてください。

若生政府参考人 今御指摘のありました現行の定員合理化計画でございますけれども、これは、一昨年七月に閣議決定しました国の行政機関の機構・定員管理に関する方針に基づきまして、平成二十七年度以降、行政機関全体で毎年二%、五年で一〇%以上の合理化をするということを基本として取り組むこととされております。

 なお、この合理化数でございますが、これは、この合理化を原資としまして新たな行政課題に対して必要な増員を行う、こういうことを前提としたものでございまして、先ほどの純減数とは別のものでございます。(島津委員「目標の人数があるでしょう」と呼ぶ)

 具体的な人数でございますけれども、純減数とは性格が異なることを前提としまして、五年間での数でございますが、二万九千六百七十二人でございます。

島津委員 補充があるとはいえ、二〇一五年度からの五年間でさらに一割もの人員削減が行われるわけです。

 国家公務員の定数は、一九六九年に成立した行政機関の職員の定数に関する法律、いわゆる総定員法によって定員の最高限度が決められています。その上で、今も答弁があったように定員削減計画が策定され、毎年総定員が減少しています。

 定員は、一九六七年度から、郵政民営化や独法化などを除いて、九万二千人も減っています。業務の複雑化、多様化など、業務量に見合う人員に改善していく必要があると思うんですけれども、どうでしょう、大臣。

河野国務大臣 国家公務員の定員については、財政健全化の観点も踏まえつつ定員の合理化を行ってきたところでございます。

 その一方で、各府省から業務量を踏まえて増員要求が内閣人事局に提出され、これを審査する中で、必要なところには増員を措置してまいりました。例えば、二十八年度の審査ではテロ対策やサイバーセキュリティー対策、火山防災、入国審査、税関、検疫、こうしたところに、人件費予算の配分の方針に基づいて、内閣の重要政策に係るものとして重点的に増員を措置いたしました。

 今後も、切り込むところは切り込みながら、内閣の重要課題に適切に対応する体制を整備しつつ、めり張りをつけて審査してまいりたいと思っております。

島津委員 めり張りと言いますけれども、実際には各省庁の云々という答弁が今あったわけですけれども、政府全体が削減していくという方針のもとで、今議論してきたように、相当の人数が減っているわけです。

 この定員削減をしてきた結果、人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較を見てみますと、千人当たり、フランスでは八十九・一人、イギリスでは六十九・三人、アメリカは六十四・一人、これに対して日本は三十六・二人なんです。中央政府の職員に限っても、フランスは二十四・六人、イギリスは五・五人、アメリカ四・四人に対して、日本は二・七人です。

 それでは、給料が高いのかというと、公務員、公的部門職員の人件費の対GDP比でも、OECD三十三カ国平均が一〇・五%なのに対して、日本は五・九%で最低なんです。

 これ以上の定員削減は、行政機関の機能を脆弱にして、憲法で保障された国民の権利保障機能の低下を招くおそれがあります。それぞれの国の機関の需要に見合った体制を再検討し、国民の求める公務公共サービスの効率化、効果的な運営を図るべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。改善が必要です。

 次に、今見たように定員が減らされているわけですけれども、同時に、一方でふえているのが非正規職員です。この非正規職員への依存度、一般職の常勤の国家公務員と非常勤職員の割合はどうなっているんでしょうか。

三輪政府参考人 私ども内閣人事局で取りまとめをいたしました一般職の国家公務員在職状況統計表というのがございますが、これによりますと、平成二十七年の七月一日時点で、非常勤職員の総数は約十四万人という状況でございます。

島津委員 十四万というお答えだったんですけれども、そのうち委員、顧問、参与職員、保護司を除くとどのぐらいになるんでしょう。

三輪政府参考人 御指摘の、委員、顧問、参与約二万人、無報酬の保護司約五万人等、そういったものが含まれておりまして、それを除きました事務補助職員約二万人、職業相談員等約二万人、統計調査員約八千人等を合わせますと、約七万人という数字でございます。

島津委員 七万人が非常勤で実質的には働いている。その大部分は、今お答えがあったように、事務補助、技術補助、技能、労務職員、医療、教育、専門職員、職業相談員などです。常勤の国家公務員と仕事内容が重なっています。実際には、非常勤、非正規の職員がいないと業務が回らないというのが現状なんです。

 定型的な業務を行う職務とされている行政職俸給表(一)一級適用の常勤者数と事務補助の期間業務員数を見ると、常勤が一万十四人に対して期間業務員は八千六百四十一人、常勤の八六%に上っています。

 これを省庁別に見てみますと、国土交通省の事務補助職員は常勤の二・二倍以上、厚生労働省では、行(一)一級だけでなく、二級適用の職員を加えた常勤職員より、事務補助、職業相談員などの期間業務員が四・三倍にもなっています。ハローワークは非正規職員で維持されている、こう言われているいわれです。他の省庁も、全体として非常勤職員への依存度は極めて高くなっています。

 つまり、政府が目標を掲げて定員を減らしているんですけれども、仕事量はそれほど減らずに人手不足になり、非正規で賄っている現状が恒常化しているわけです。

 大臣、正規職員の枠、定員をもっとふやすべきじゃないんでしょうか。

河野国務大臣 常勤職員がつく官職は、国の行政組織において所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職として、厳格に定員管理をしております。他方、非常勤職員がついている官職は、常勤的に置かれる官職ではなく、その時々の業務の状況に応じて臨時的に任用しているものでございます。

 このような業務の性質の違いがありますので、非常勤職員を直ちに常勤化するのは困難だと思っております。

島津委員 実際には、恒常的に同じような仕事をしている人がたくさんいるわけです。

 今、日本社会全体の働き方の問題が問われています。今、非正規雇用が四割を超えている、大企業などが正社員、正規労働者を非正規に置きかえる。これは、なぜそんなことをするかといえば、賃金が安い上に、いつでも首を切ることができるからなわけです。これによって、国民の所得が減り、消費が萎縮し、物が売れずに、またリストラをする、この経済の悪循環が今生まれています。政府が率先してこれを断ち切らなきゃいけないんです。

 一九六九年の総定員法の際に、参議院の内閣委員会で附帯決議がつけられています。そこでは、「行政需要に応じた人員を確保し、職員の労働が過重にならぬように努めること。」「定員外職員については、その実態について速やかに検討し、定員化を含めて合理的な処遇の改善を図ること。」としています。この立場で改善していくことを強く求めたいと思います。

 時間がありませんので簡単にしたいと思うんですけれども、同じ仕事をしていても、常勤と非常勤では、身分の不安定さ、処遇の格差などが長年続いています。

 法務省の資料によりますと、事務補助職員の一番低い時給は八百十九円になります。東京の最低賃金は九百七円、これより低い。地域手当を含めてやっと九百六十七円。期末手当を含めた年間の賃金は、ワーキングプアと言われている貧困層の年収二百万円を少し上回る程度。

 厚生労働省のハローワークの非常勤職員で見ると、年収百七十五万円から三百万円程度。常勤職員には支給される扶養手当、住宅手当、寒冷地手当も支給されません。昇給もない。ハローワークで聞いてきたんですけれども、一年目の非常勤の新人も十年働いている非常勤も同じ賃金、新人の指導もベテランの非常勤が行うのに同じ賃金なのでむなしくなる、こういう話を聞いてきました。

 常勤職員と同じ仕事をしていても格差がある。非常勤の間でも矛盾がある。職務給原則が守られず、均等待遇とはほど遠い状況です。賃金差別だという意見もあります。

 大臣、こうした正規と非正規の格差や経験が賃金に反映されない矛盾は改善する必要があると思うんですが、どうでしょう。

河野国務大臣 非常勤の国家公務員につきましては、各府省において、人事院の通知を踏まえ、常勤職員の給与との権衡を考慮して給与を支給することとされております。職務内容に応じて適切に処遇されることが重要だと思っております。

 内閣人事局としては、人事院が定めた通知を各府省に周知徹底を図り、人事院とも連携しつつ、非常勤職員の適切な処遇の確保に努めてまいりたいと存じます。

島津委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うんです。

 もう時間がありませんので、最後に、政府や人事院は、柔軟な働き方を選択するようにすることがワーク・ライフ・バランスや働き過ぎ防止に結びつくと強調しています。しかし、ワーク・ライフ・バランスなどを目的にするなら、まず、勤務時間の短縮や、超過勤務を初めとした職場の長時間超過密労働を是正するために、定員増を初め実効性ある措置を講ずるべきです。このことを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

質問の映像へのリンク

https://www.youtube.com/watch?v=66jHn4_R2gg

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