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○島津委員 日本共産党の島津幸広です。
COP21が終わったわけですけれども、百九十六の国が参加し、そろって温室効果ガスの削減に取り組むことを確認したわけです。これは一九九七年の京都議定書以来の成果だと言えると思うんです。
丸川大臣も会議に参加されて、いろいろな思いを持ったと思うんですけれども、改めて、このCOP21の成果、意義について、報告でもこれまでの答弁でもありましたけれども、簡潔にお聞かせください。
○丸川国務大臣 御質問ありがとうございます。
先進国と途上国の間に、当初、議論を始めたころは深い溝がありましたけれども、この立場を、最後には、違いを乗り越えて、大変歴史的な意義深い合意ができた。特に、全ての国が参加する合意となったこと、それから公平な合意で実効性を担保する仕組みをそこに埋め込めたことは非常によかったと思っております。
ありがとうございます。
○島津委員 パリ協定の具体的な内容にかかわってお聞きしたいと思うんですけれども、何より、パリ協定では、法的拘束力を伴う国際条約として合意されました。今も答弁があったわけですけれども。京都議定書以来さまざまな経緯があったわけなんですけれども、ここに至った背景についてはどういうふうに捉えているんでしょうか。
○北川委員長 では、まず事務方が答えて。
○梶原政府参考人 大変恐縮でございます。私の方から。
一番大きな理由の一つが、これまで、先進国、途上国の別なく、実際に気候変動の影響、地球温暖化の影響が及んでいるということで、今直ちに対策をとらなければならないといったような意識が先進国そして途上国双方にしっかりと根づいたというのが一番大きい背景だと思います。
さらには、昨年の国連総会のときから、首脳の方々が参加された気候サミットでありますとか、G7でありますとか、首脳レベルでの、新たな協定をしっかりと結んでいかなくちゃいけないといったような共通の理解があったものと考えております。
○丸川国務大臣 今局長からもありましたけれども、実際現場にいて、やはり、先進国、途上国の差なく、もう既に気候変動の影響を我々は受け始めているということが共有された危機感であったと思います。どういう形であれ、全ての国がこれにかかわって、そして一つの枠組みをつくっていかなければいけないという非常に強い意志を感じました。
ありがとうございます。
○島津委員 やはり、今のお話を聞きましても、非常に重みのあることだというふうに思います。
関連して、二度目標についてお聞きしたいと思うんです。
今回の会議で日本が果たした役割についてはこれまでもいろいろな議論がありましたけれども、二度を十分下回ると厳格にした上で、一・五度に抑える努力をする、こういうふうにしています。今回の会議の成果のかなめをなす一つだと思うんですけれども、この点で日本の政府はどんな主張をしてきたんでしょうか。
○丸川国務大臣 私たちの立場としては、この法的合意が二〇二〇年以降永続的に続いていくということが非常に重要だという観点から、長期目標を必ず入れ込むべきだということを言っておりました。
既にカンクンの合意の時点で二度及び一・五度への言及があったわけでして、閣僚級のステートメントや交渉会合でも我々長期目標、長期目標と言い続けてきたのはまさにこれでありまして、それがこうした形で協定に入ったということは、我々も一つ長期目標を入れるべきだと申し上げたことの中に入っていると思っております。
○島津委員 長期目標ということで、具体的に二度を十分下回るだとか一・五度という主張はしてこなかったけれども、長期目標に入っているということですね。
いずれにしても、パリ協定は、長期的には今世紀末までに温室効果ガスの排出を実質ゼロに抑える目標を明記しています。そのためにも、各国の努力を促す重要なものです。
そこで、問われているのが日本国内での取り組みです。
大臣に聞きますけれども、削減目標について、丸川大臣は、長期目標の設定や目標の提出、見直しのサイクル、レビューの仕組みを法的合意に位置づけることを主張してきたということで、今もあったわけですけれども、パリ協定は、目標達成の義務化こそ見送られましたけれども、五年ごとの見直しを義務づけ、その際、目標を前向きにするということを促しているわけです。
しかし、こうした問われていることに対して、国内の現状を見ると、COP21の到達点とやはり乖離があるんじゃないかと言わざるを得ないんです。
先ほども議論がありましたけれども、日本の削減目標です。二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%減。これは、一九九〇年比にすると一八%減です。この目標でふさわしいと思うのか。確実にできる目標という答弁もありました。
しかし、実際に、客観的に見て、例えばEUの場合は、一九九〇年比で四〇%減なわけです。日本の場合はこれまでしっかり対策をやってきたからということの、前回、望月大臣のときの議論もあったんですけれども、京都議定書の基準年の一九九〇年から二〇一三年の間に、日本は一〇・八%温室効果ガスの排出量をふやしています。しかし一方で、EUは、同じ時期に二〇%以上の削減を達成しているんです。
一人当たりの排出量を見ても、一九九〇年のときには、確かに日本はEUよりも少なくなっている。しかし、日本はその後横ばいで、むしろ五%ふえている。一方、EUの方は努力を続けて、二〇〇五年には、一人当たりの排出量はほぼ日本と並んでいます。今では逆転している。これは二〇一二年の数字ですけれども、一人当たりの排出量、日本の十・五トンに対してEUは八・九三トン。EUでやれて日本でやれないわけがないわけです。
目標について、客観的に見て、やはり低い、ふさわしくないんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○丸川国務大臣 交渉の過程の中で、ファビウス議長とお話をしたときに、技術が進んでいくんだ、衛星が打ち上がって、どこの国も、自分たちがどれだけの温室効果ガスを排出しているか、もう隠し立てができない世の中になる。まさに我々もこれから衛星を打ち上げようという考えを持っているわけですけれども、今までよりもずっと細かいメッシュで、どの都市がどんなふうに排出しているかということまでわかるようになってくる。まさにそれが、今後私たちが排出削減目標を野心的に引き上げていく上で、非常に重要な鍵になると思っております。
技術の革新、そして社会経済構造の変化ということは、中長期的に見て、私たちが温室効果ガスの排出を削減していく上で非常に重要な鍵でございます。と同時に、二度目標を達成していく道のりというものも、それによって複数存在するというふうに考えております。
一方で、今回私たちが示した二〇三〇年、二〇一三年度比で二六%減という目標でございますけれども、これは、私たちが将来にわたって、申し上げたような低炭素技術の開発や普及、あるいは社会経済構造の低炭素化などの施策をとっていくことによって、二度目標達成のための二〇五〇年までの長期的な温室効果ガス排出削減の達成に支障を来すものではないというふうに考えております。
長期目標の達成に向かっては、技術開発に力を入れるということは我々の主張もあって協定に入りましたけれども、これはもちろんですけれども、ライフスタイルの変換、こういうことも実はこの協定のデシジョンの方に入っているかと思います。
このパリ協定を、我々も強力な後押しとして、これから長期的に、戦略的に取り組んでいきたいと思っております。
○島津委員 技術ができるのを待つとまでは言いませんでしたけれども、そういう趣旨のことなんですよね。
今ある技術で対策を進めていくのがいいのか、それとも将来もっといい技術が出てくるからということで、これは議論があると思うんです。ただ、今やはり急いでやらなきゃいけないわけで、将来できるかできないか、いつできるかわからない、でも、そういう技術を待っていたのでは取り返しのつかないことになるわけです。
実際に、今各国が出している目標を全部合わせても二度にはできないという現実があるわけです。そういう、世界全体の中から見ても、さらに数字的には日本は不十分だということなわけですね。ですから、これから見直しの機会があるわけですけれども、ぜひ野心的な、積極的な目標に抜本的に見直していってほしいと思うんです。
ところで、次の質問ですけれども、大臣は、このCOP21に先立って経団連と懇談しています。そこで、COP21で合意されるべき国際的枠組みのあり方について、経済界と認識を共有していることを表明、これが十一月十九日号の経団連タイムスに報道されているんですけれども、認識を共有している、この認識とはどういうものなんでしょうか。
○丸川国務大臣 COP21に先立って、経団連等の産業界、また労働組合の皆様、NGOの皆様とも意見交換を行わせていただきました。
経団連との意見交換において我々が認識の一致を見たというのは、これまで主張してきた、全ての国が参加をする公平かつ実効的な法的枠組みの構築を目指すという点でございます。
○島津委員 経団連が出している低炭素計画、ここでどう言っているか。「わが国のエネルギー効率はすでに世界最高水準で、CO2排出量の削減余地は小さい。」こう言っているんです。
この姿勢が実際に経団連の中で、各産業、企業の中にどうあらわれているのか。経団連が出している二〇三〇年に向けた低炭素社会実行計画、これはことしの九月十一日に改定していますけれども、ここで部門別のCO2削減計画を出しています。
製造業では、エネルギー消費量の約七割を占めているのが鉄鋼、セメント、化学、紙パルプです。この中で、セメント協会は、目標をつくるに当たって、会員会社に対して対策の調査を実施し、その積み上げから削減目標を求めた、こういうふうにしています。日本ゴム工業会なども、会員会社の削減努力を精査し、積み上げた目標にしている。また、日本鉄鋼連盟は、目標年次までの期間が長期にわたり、その間の経済情勢、社会構造の変化が見通せないので、目標内容を適宜見直すというふうにしています。生産量が大幅に変動した場合は、想定の範囲外である可能性があり、その場合には実態を踏まえて見直す、こうも書いているんです。生産量がふえれば削減目標を低くするということなんですね。
CO2削減というのは、まさに人類的な課題です。やれるだけやる、場合によっては当初目標もできないかもしれない、こんな姿勢で責任を果たせるんでしょうか。ここにやはりきちんと切り込む必要があると思うんです。大臣、経団連にもっと努力すべき、こういうことで要請すべきじゃないんでしょうか。どうですか。
○丸川国務大臣 まだまだ産業の中に組み込める温室効果ガス排出削減のための新しい投資というのはあり得ると私は思っておりまして、官民対話でもそのような議論に参加をさせていただきました。
エネルギー効率の改善だけではなくて、企業にとってもコストの改善につながるような技術というのでまだ導入が十分進んでいないものはございますので、そういう意味でいえば、むしろ企業の側にとってもインセンティブがあろうかと思います。しっかり後押しをしていきたいと思います。
○島津委員 ぜひその立場で頑張っていただきたいと思うんです。
日本の温室効果ガス排出の九五%を二酸化炭素が占めていて、その排出は、発電所などのエネルギー転換部門が四割、工場などの産業と合わせると四分の三近くを出しているわけなんですね。つまり、わずかな数の大口発電所と工場に排出量が集中しているわけです。この対策がやはり鍵を握っているわけです。ぜひしっかり大臣として必要なことを言っていただいて、強く要請していただきたいと思います。
次に、この議論に先立って、私は静岡県の温暖化対策計画を聞いてきました。ふじのくに地球温暖化対策実行計画というのをつくって努力しています。
ここでは、二〇二〇年までに二〇〇五年比で二〇%削減を目標にして頑張ると。これは、一九九〇年比にすると二〇二〇年までに一八・六%の削減です。政府の出している、二〇三〇年までに一九九〇年比では一八%削減ですから、国よりも十年前倒しで、積極的な目標で頑張っているんです。
ここで聞きましたら、ふじのくにエコチャレンジということで県民運動をやったり、いろいろなことをやっているんです。産業部門の方は、乾いたタオルだ、これ以上対策の余地がないということもよく言われているんですけれどもどうですかと聞いたら、いや、そんなことはない、静岡県では省エネ診断というのをやっていて、それをやってみると、まだまだやはり各工場などに削減の余地があると。今も大臣おっしゃいましたけれども。
この静岡県は、省エネ診断の実施で、環境省認定の環境マネジメント、エコアクション21の導入を支援して、ことし三月時点ですけれども、九百七十六の事業所が取得。これは全国一位で、全国の約一二%だというふうに伺いました。省エネを進めると効率もよくなり、生産も上がってくるということを言っていました。
そこで、国でもCO2削減ポテンシャル診断の制度がありますけれども、二〇一〇年度から始まっています。これまでにどれだけの実績があるんでしょうか。
○梶原政府参考人 環境省におきましては、平成二十二年度より、事業所等に対しますCO2削減ポテンシャル診断を実施してまいってございます。平成二十七年十月現在で千四百十八件の診断をしているところでございます。
この中では、先生がおっしゃられるように、短期間で投資の回収ができて、そして中小企業でも適用可能な低炭素技術があるということにもかかわらず、それが十分認識されていない状況にあるといったような実態がわかってまいりました。
そのために、CO2削減ポテンシャル診断ガイドラインといったようなものを策定しまして、診断機関の診断能力を上げるとともに、企業の方々により一層御活用していただけるように進めておるところでございます。
○島津委員 今お答えがあったように一千四百十八件ということなんですけれども、静岡県一県だけでも、二〇一一年度から三年間で百八十五件の診断を実施しています。国の制度としては余りにも不十分だと言わざるを得ません。各企業に任せておいただけでは、やはり目先のコストを考えて対策が消極的になります。そこで、行政が知恵も出し、支援もすることが必要になるわけです。そして、やれば成果も上がる。
排出削減の目標を無視したり逆行する企業は、社会の評価を得られず二十一世紀に生き残れない、こういう指摘もあります。対策を進めた場合の設備投資は、光熱費の削減などで回収できます。日本経済全体で見れば、対策投資が国内企業、地場産業にもたらされて多くの雇用を生み出す、環境対策が経済的な対策にもつながるわけです。
安倍首相は、今回のCOP21の談話で、気候変動対策を内閣の最重要課題として取り組む、こう述べています。対策を進めていく上で、企業に頑張ってもらう仕組みをより抜本的に強化する必要がある。もちろん、中小企業に対しては財政的な支援も必要だと思います。政府の本気度が示されると思うんですけれども、この対策を強めるということで、どうでしょう、大臣。
○丸川国務大臣 大変強い応援をいただいているという気持ちでございます。
やはり国民の行動変容というのがこの温暖化対策に大変重要であるわけですが、それは企業の投資行動においても同様でございます。私は今、企業の側にもインセンティブがあるというふうに申し上げましたが、企業なりあるいは資金の出し手においても、今、より地球環境に優しい資金の出し方をしようという意識がヨーロッパ中心に高まってきているところでございまして、先般、GPIFも国連の責任投資原則にコミットしたわけでございます。
ぜひこうした動きを私たちもより奨励するような形で、社会全体を温暖化ガス抑制の方向に向けるように努力をしていきたいと思っております。
○島津委員 当委員会の海外派遣の際、これはフィジーの国会の環境委員会に当たる天然資源常任委員会と懇談したわけですけれども、この席で北川委員長が、環境問題は与野党を問わず、地球のために、国民のために協力していかなければならない、こうおっしゃいました。本当に私はそのとおりだと思いました。とりわけ、地球温暖化対策というのは、まさに与党、野党はもとより、官も民も、今大臣もおっしゃいましたけれども、国民も経済界も一致して取り組む課題です。ぜひこれからも頑張ってやっていただきたいと思うんです。
この問題は、例えば脱炭素が世界の流れですけれども、石炭火力を温暖化対策にしているというのは世界に逆行している日本の象徴の一つですけれども、原発問題、さまざまな問題があります。その議論はまた次の機会に回し、きょうは残りの時間で地熱発電についてお伺いいたします。
再生可能エネルギーの普及は、もちろん力を注いでいかなければなりません。しかし、やみくもにふやせばいいということではないと思います。
政府は、長期エネルギー需給見通しの中で、再生可能エネルギーの地熱もベースロード電源として位置づけています。地熱発電の拡大のために、調査や開発への財政的支援や国立公園の規制の緩和をしています。しかし、それが今、問題を引き起こしつつあります。この点について伺いたいと思うんです。
九州電力の八丁原地熱発電所を見てきました。このセンター長は、地熱発電を再生可能エネルギーとして使うには、地下水のバランスを見きわめるための詳しいモニタリングと綿密な運営が必要だというふうにおっしゃっていました。そこで心配されるのが乱開発なんです。
大分県九重町の観光協会の方にお話を伺いました。温泉を持っているところに、バイナリー発電をするから源泉と土地を貸してくれ、十七年契約ぐらいでいい、使用料を払うから、こういう話がいっぱい来るそうです。十七年というのはつくった後十五年ぐらい動かすということなんですけれども、固定価格買い取り制度で高く売れる期間だけしかやるつもりがない。
これをやっていきますと、地下から熱水、蒸気をくみ上げるんですけれども、温泉成分のスケールというのがたまって井戸が使い物にならなくなるんですよ。大体十五年ぐらいの期間でそれが詰まって使えなくなる。だから、その期間だけ発電できればいいという、後はかれてもいい、こういう姿勢なわけです。
十五年で発電が終わるというものは再生可能でも何でもない。このような、ただその期間だけもうければいい、こういう考え方ではいけないと思うんですけれども、これはどうでしょうか。
○奥主政府参考人 お答えいたします。
ただいま島津先生御指摘の件でございますけれども、環境省といたしましても、国立公園は、すぐれた自然の風景地を擁するものでございまして、その保護が必要であるということと、一方、温泉資源につきましても、温泉法を所管いたしまして、温泉資源の適切な利用が重要であるというようなことから、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
国立公園におきましては、有識者検討会を設置いたしまして、国立公園内の地熱開発に係ります掘削につきましては、自然環境や景観に十分配慮され、地元合意にのっとった優良事例について認めるというふうなことをやっておりますし、温泉につきましても、これは許可自体は都道府県知事でございますけれども、温泉利用ガイドラインをつくりまして、モニタリングをどういうふうにしたらいいとか、そういったような事例を集めて都道府県の方に示して、温泉の掘削につきまして適切な運用がされるようにというようなことを示しているところでございます。
環境省といたしましては、このような取り組みを通じまして、国立公園における自然景観の保護、あるいは温泉資源の保護について、適正な利用が図られていくように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○島津委員 地熱発電のあり方を聞いたわけじゃなくて、私が紹介したように、もうかればいい、その期間だけ発電して、後はもうどうでもいい、こういう姿勢はうまくないんじゃないかということなんですけれども、どうなんでしょう。
○梶原政府参考人 先生御指摘の点は、固定価格買い取り制度の運用等も関係しているかと思います。
本件につきましては、資源エネルギー調査会の中で見直しの議論が進められているところでございます。その中では、発電事業の実施可能性をしっかりと確認した上で認定をするとか、あるいは、先ほど先生御指摘の、発電事業者が持続的に発電を継続して、買い取り期間終了後も安定的な発電を継続することが促される、そういったような仕組みづくりといったようなことも検討されております。
いずれにしましても、再生可能エネルギーは非常に将来的にわたって重要なエネルギー源だと考えてございます。そういった系統の方に戻して使われていく再生可能エネルギーだけではなくて、例えば、そういった制約を受けない、地域でつくった再生可能エネルギー、電気が蓄えられ、蓄積され、そして地元で使われるといったようなシステムも積極的に進めていく必要があると考えております。
環境省といたしましても、そういったようなシステムの実証を進めまして、真に安定的なといいますか、将来的にも使われる再生可能エネルギーの定着を目指してまいりたいというふうに考えております。
○島津委員 九重町役場でもお話を伺いました。千キロワット、二千キロワットという小規模な発電をやりたいという相談がたくさん来るそうです。中には、今、別の業者や別の方が使っている地熱発電の資源になる貯留層、そこに、使っているところにまた新しく掘りたい。つまり、自分では何にも調査しないで、ここに出るのを一緒に使わせてほしい、こういう人もいるそうです。当然、資源のとり合いになります。
そういうもうけ主義で来てもらっては困るというふうに町の担当者の方はおっしゃっていたんですけれども、しかし、町には許可、不許可、これを決める権限はないんです。温泉審議会でも、決められた間隔以上に掘る井戸が離れていたら不許可にできないということで、乱開発になることを非常に心配されていました。
静岡県の南伊豆町にも行ってきました。当初、緑の分権改革、温泉共生型地熱貯留層管理システム実証研究で調査したんですけれども、キャップロックが見つからないということで一度は結論を得たんです。町としては、地熱発電はやらない、こう結論を出したんですけれども、新しい町長が突然蒸し返して、今新たな事業をやっています。ところが、温泉関係者の理解も得られていない。源泉の脆弱性、既にもう湯量も温度も低下している。大掘削してやる地熱発電は反対だ、バイナリー発電ならともかく、こういうことをおっしゃっていたんです。
このように、ポテンシャルとしても余り期待ができないところでも、そして国立公園の中でも深度までの掘削を認める、こういうのは無謀な開発ではないかと思うんです。無駄に自然を傷つける。この南伊豆町も国立公園の地域です。無駄に自然を傷つけるだけじゃないんでしょうか。
長期的な見通しのない地熱発電、もうけ主義の地熱開発、地域を困らせるような開発を規制する、こういう仕組みをつくるべきじゃないんでしょうか。どうでしょう。
○奥主政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のように、まず、国立公園の関係でございます。
それにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、自然公園法に基づいて適切に許可を図っていく。その中におきまして、真に地元との合意形成がとれるでありますとか、あるいは発電等によって地元に還元するというような優良事例の場合、さらに、風致景観にも影響を与えないというような場合について地熱発電を認めていくというふうな取り組みをしているということでございます。
また、温泉資源につきましても、先ほど申し上げましたように、これは確かに、先生おっしゃいますように、井戸の掘削権限は都道府県知事の権限でございます。自治事務でございますので、国としてなかなか言えないところがございますけれども、掘削の許可をするに当たりまして、どのような中身であればやっていいのかどうか、先ほど申し上げましたようにガイドライン等をまとめまして、温泉の地層のある場合にはこういうモニタリングをする例があるとか、そういった優良事例等を整理いたしまして都道府県に提示する。そういったものを通じまして、都道府県の方で適切な運用がなされて温泉資源の保護がなされるというふうにしていきたいと考えているところでございます。
そのような取り組みを進めまして、温泉資源の保護、あるいは国立公園におけます風致景観、すぐれた自然の保護について図れるように取り組んでまいりたいと考えております。
○島津委員 今答弁がありましたけれども、現実に、私が紹介したこういう例は一例です。各地ではいろいろなことが起きています。そういう点では、現実にこういうことがあるわけですから、これまでの、規制緩和、開発を進めていく、あるいは補助金なんかでも支援していくという、これはこれで大事なんですけれども、しっかりとした規制の仕組みをつくるように、これは大臣もぜひお願いしたいと思います。
時間が来ましたので終わりますけれども、別府温泉に行って話を聞きましたら、別府の皆さんは温泉をなりわいにしているわけなんです。源泉を地獄と呼んでいましてね。ところが、地熱発電で業者がやってきて、とにかく掘らせてほしいと。その掘る場所というのは別府温泉街の山の手、上手にありまして、そこを掘っちゃうと下の地獄がやはり影響があるということで非常に心配しているんです。地獄のこともわからない業者が来てやられては困ると、もう本当に切実な問題でした。
このように、地域と共生を考えない地熱開発や短期的なもうけのための地熱開発、これを規制する仕組みが本当に弱いもとで規制緩和だけを進めていくことは、今ありましたけれども、国立公園の環境や温泉資源に重大な影響を及ぼす、影響が高いんです。規制緩和一辺倒、こういう進め方は、結果的に地域の再生可能エネルギーへの信頼を失ってしまう危険があります。再考していただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。