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○島津委員 日本共産党の島津幸広です。
初めに、大臣に伺いたいんですけれども、保育というのは単に子供を預かるだけではないと思うんですけれども、保育とは何かということについて、大臣の見識をお聞かせください。
○加藤国務大臣 児童福祉法上、養護及び教育を行うことと定義されておりまして、特に人間形成にとって極めて重要な乳幼児期において、生命の保持及び情緒の安定を図り、心身の健康の基礎を養うこと、同時に、自然や社会の事象や言葉への興味、関心を育てることによって創造力への芽生えを養うといったことを目指して行われているということだと思います。
○島津委員 全く同感なんです。
保育所というのは、単に子供を預けるだけじゃなくて、社会福祉のための施設でありまして、全ての子供が健やかに育つ権利を満たす、そして働く保護者の権利や保育士の皆さんの権利も満たす、いわゆる国民の生存権を定めた憲法二十五条だとか、働く権利を定めた憲法二十七条に基づいて、国がつくることを決めた施設なわけです。
それでは、今回の企業主導型保育とはどういうものか、これまでの質問と重複することもありますけれども、具体的に確認したいと思います。
まず、企業主導型保育はどこが運営するんでしょうか。
○武川政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源として実施するものでございますから、事業の実施主体についても、拠出金を負担している事業者を対象とするものと想定しております。
具体的には、拠出金を負担している事業者みずからが企業主導型保育事業を実施する場合、事業者が保育事業者に運営を委託するような場合、複数の事業者が施設を共同設置するような場合が考えられると思います。
○島津委員 事業者が運営するということでよろしいですね。
そうしますと、委託会社が保育する場合もあるんですけれども、今回の企業主導型保育は認可外なので災害共済給付金制度の対象になりません。
そうすると、子供がけがをした場合には誰が責任を負うんでしょうか。
○武川政府参考人 お答えいたします。
保育施設におきまして、子供が安心、安全で健やかに育つことが重要であり、事故はあってはならないと認識しております。
企業主導型保育事業において不幸にもけが等の事故が生じた場合には、一口に言って、いろいろなケースがあると思われますが、一義的には保育施設の設置運営者が責任を負うものと考えております。
ただ、例外といたしまして、例えば保育士等に重大な過失や故意がある場合とか、あるいは外部から不法侵入があった場合とか、そういった場合は例外的なものだと考えております。
○島津委員 次に、地域型事業による事業所内保育所は、市町村が指導監督します。一方、雇用保険事業による事業所内保育所は、都道府県の労働局男女雇用均等室が年一回点検に入るわけです。
それでは、今回の企業主導型保育は、どこが指導監督し、どのような監査をしていくんでしょうか。
○武川政府参考人 お答えいたします。
今回の企業主導型保育事業は、子ども・子育て支援法に基づく仕事・子育て両立支援事業の一環として行われるものであると同時に、児童福祉法の認可外保育施設としての位置づけがございます。このため、子ども・子育て支援法に基づき、内閣府におきましては、事業主拠出金に基づく補助金を一元管理し、事業費の適切な執行を監督することになります。
また、二点目の、児童福祉法に基づき、企業主導型保育施設は、認可外保育施設として都道府県による指導監督を受け、設置に当たっては、都道府県知事への届け出義務、施設の運営の報告義務、また都道府県による改善等、勧告、閉鎖等の命令、虚偽報告等や閉鎖等命令違反への罰則が科されております。
さらに、児童の利益を保護する緊急の必要があると認められる場合におきましては、厚生労働大臣により報告徴収等、改善等、閉鎖命令等を行う権限が付与されております。
児童福祉法を所管する厚生労働省と緊密に連携をとりつつ、適切な運営を図ってまいりたいと思っております。
○島津委員 具体的に例えば年一回監査に入るだとか、そういう点ではどうなんでしょうか。
○武川政府参考人 そこにつきましては、今後の制度設計で考えてまいりたいと思っております。
○島津委員 次に、保育の基準です。これはどうなっているのか、お答えください。
○武川政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業の設置基準につきましては、認可外保育施設の指導監督基準や、現行の子ども・子育て支援新制度による事業所内保育事業や小規模保育事業の基準を参考にいたしまして、一定の保育の質が担保されるような基準を定める予定でございます。
具体的には今後定めます実施要綱等において定めていきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、しっかりと保育の質が確保できるようなものを考えていきたいと思っております。
○島津委員 そうしますと、これまでの既存の基準でも定員二十人以上と小規模とは格差があるんですけれども、厚い方の基準でそろえていただいて、しっかり質を確保していただけるということですね。今後検討しますけれども、そういう方向で検討しているわけですね。
○武川政府参考人 お答えいたします。
現在検討しておりますのは、子ども・子育て支援新制度の事業所内保育事業の小規模型と言われるものに準じて考えております。
○島津委員 小規模はA型、B型とあるんですけれども、どちらなんでしょうか。
○武川政府参考人 お答えいたします。
定員十九人以下の小規模型と申しまして、いわゆるB型でございます。
○島津委員 B型といいますと、保育に携わる職員は、全員が保育士である必要はなくて、半分以上でいい、園庭もなくてもいい、こういう基準です。しかも、この基準というのはゼロ歳から二歳の基準で、今回は五歳児まで入所を前提にしているわけです。ゼロから二歳児にとっても低い水準を三歳―五歳にまで当てはめるということであり、保育の質の水準低下というのは避けられないと思うんです。
次に、具体的に、保育サービスも二十四時間可能というふうになっています。
二十四時間保育というと、子供にとってどういう保育なのか。私、どうもいま一つイメージが湧かないんですけれども、具体的にはどんな保育を想定しているんでしょうか。
○武川政府参考人 お答えいたします。
二十四時間保育と申しますのは、二十四時間預けっ放しとか、ずっと一人の子供さんがいるということではなくて、一応、企業主導型保育事業は、夜間、休日勤務もございますし、短時間の非正規社員なども預けることができますので、多様な働き方に応じたきめ細やかな保育サービスを提供するとしております。その中で、二十四時間保育も一つの形態として考えられております。
このような二十四時間保育につきましても、保育施設の中での生活のリズムは、あくまで子供の健康に配慮して、子供さんの通常の一日の流れ、例えば朝には朝御飯を食べ、昼御飯を食べ、夕食を食べ、睡眠をとるというようなことを考えております。
○島津委員 夜勤の保護者の場合、夜預けますよね。当然それは、起こして遊ばせたりお散歩に行くわけではありませんから、寝かせると思うんですよ。そうしますと、保護者が夜勤を終えて朝迎えに行く、家に連れて帰って、保護者は寝るわけなんだけれども、では、そのお子さんはどうするのか。一緒に寝るのか、それとも起きているのか。それとも、寝るから子供を見られないから預けっ放しにするのか。その辺がわからない。
子供にとって二十四時間保育というのはどうなるのか。
○武川政府参考人 先生のおっしゃるようにお母さんが家に帰って寝られることもあるかもしれませんが、子供さんにとっては、通常の同年代の子供さんが送るような一日の生活スケジュールで保育され、また家庭でも育てられるということだと思っております。
○島津委員 通常に生活と言いましたけれども、親御、保護者が見られないからやはり保育所が必要なわけで、子供さんのリズムが崩れるということはなかなか否定し切れないと思うんです。
そもそも育児休業法などでは、乳幼児を持つ親については深夜労働の免除などが申請できることになっています。深夜でも預けられることを売り物にしていく保育所をつくること自体がやはり本末転倒と言わざるを得ないと思うんです。
それでは、一時預かりというのは、子供にとってはどういう保育になるんでしょうか。
○武川政府参考人 お答えいたします。
今回の企業保育事業は、夜間、休日勤務や、また短時間の非正規社員などの多様な働き方に応じたきめ細やかな保育サービスを提供することとしております。
今おっしゃった一時預かりということでございますが、例えば短時間のパートタイムで働く場合の父兄にとりましては、短時間の一時の保育ということも一つの形態と考えております。
このように、一時預かり、一時保育についても、子供の心身の状況に配慮しつつ、例えば他の標準保育時間を受けている子供さんと一緒の園内の一日のスケジュールでその該当する保育の時間を過ごすことになると思います。
○島津委員 その該当する時間を過ごすと言うわけですけれども、保育というのは、冒頭大臣もおっしゃったように、やはり子供の健やかな成長ということで系統的にしっかり見ていかなきゃいけないわけで、なかなか子供にとっては大変なことだと思うんです。
時間がありませんので幾つか質問を省きますけれども、既存の事業所内保育は、先ほどから議論がありましたけれども、七万人が利用しています。しかし、ここは、事業主の経費削減によって、委託された保育会社が撤退する、あるいは保育士が不足する、保育の質が低下するなどの問題が起きています。義務づけられている避難訓練もやられていない、こういう事態も生まれています。
事業所内保育所の財政基盤、事業所の財政基盤が弱いと保育の質が低下しているという問題、おそれがあるんです。運営がこのように大変になっていて、運営費の補助が求められているけれども、しかし、これらの既存の事業所内保育所は今回の補助事業を利用することができない。
もちろん、私、待機児童を解消する上で事業所内の保育所を否定するわけじゃありませんけれども、ここまで聞いてきて、見た限りでも、市町村が関与しない企業主導型保育では保育の質が低下するという不安はやはりあります。拭い切れない。柔軟で多様なサービスの実施を従来以上に打ち出しているわけですけれども、労働者に、企業に都合のいい柔軟で多様な働き方を強いて、子供たちの健やかな育成が犠牲にされる、こんなことで本当にいいんでしょうか。
冒頭確認した保育所の役割を果たすために、児童福祉法第二十四条一項には、市町村の保育実施の責任が明記されています。これは先ほど大臣に確認しました。どのような保育施設でも、公的な責任を貫く必要があることを指摘したいと思います。
次に、このように保育への公的責任が求められるのは、子供の命を預かる施設でもあるからです。
保育施設における事故はどれぐらい発生しているのか、とりわけ死亡事故の件数を、認可と認可外の別でお示しください。
○吉本政府参考人 保育施設におきます事故報告集計によりますと、平成二十六年に自治体から報告のありました保育施設における重大事故、これは死亡事故を含みます……(島津委員「死亡事故だけでいいです」と呼ぶ)死亡事故だけでよろしいですか。
死亡事故だけにいたしますと、十七件でございます。このうち認可保育所が五件、認可外保育施設で十二件といった状況でございます。
○島津委員 十七件で、認可五、認可外十二。認可外の死亡事故が多いわけなんですけれども、施設数、児童数では認可の方が桁違いに多いわけです。そういう割合で考えると、発生率は認可の八倍、認可外で死亡事故が起きている。
この事故原因、そしてその原因をつかんでどのような対策を立てているんでしょうか。
○吉本政府参考人 こうした死亡事故などの重篤な事故が発生いたしました場合には、これまでも、市町村におきまして再発防止の検証が行われるようにお願いをしてきたところでございます。
このたび、子ども・子育て新制度の施行に向けまして、内閣府を中心にいたしまして、教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会を一昨年より設置いたしまして、事故の発生や再発を防止する措置について議論をいただいてきたところでございます。
昨年十二月に最終取りまとめがなされまして、そこでは、一つには、事故の予防、発生時の対応に関するガイドラインを国が策定すること、再発防止のための地方自治体による事後的な検証の実施、また重大事故が発生した施設、事業所に対して事前通告なく指導監査を行うことなどについて提言をいただいたところでございます。
また、これらの取り組みに加えまして、国におきましても、事故報告の集約、傾向分析、再発防止の提言などを行うための有識者会議を設置することによりまして、こうした事故の発生、再発防止に努めてまいりたいと考えております。
○島津委員 先ほどの件数は直近の調査のものなんですけれども、死亡事故というのは、この年だけじゃなくて、さかのぼってずっとあるわけです。
この事故に対して、今いろいろ答弁がありましたが、実際に国として、当然事故の原因もつかんで、死亡事故が起きないように対策を立てなきゃいけないわけですから、それを掌握してどういう対策を立ててきたのか。これまでやってこなかったんですか。どうでしょうか。
○吉本政府参考人 これまでも、自治体からの報告をいただきまして、それを取りまとめまして課題の分析、再発防止に役立てていたところでございますが、それがきちんとシステムとして、地方公共団体も含めた形になっておりませんでしたので、ただいま申し上げましたとおり、新制度の施行を踏まえまして、きちんとした仕組みづくりをして徹底してまいりたいということでございます。
○島津委員 やはり死亡事故の場合には、原因不明というのもありましたけれども、いろいろ難しいということで、どうしてその子供が死亡したのか、どういう事例なのかというのを国がきちんと掌握して初めて対策が出るわけですから、やってこなかったんですよ。それで、新制度になって検討会を立ち上げて、そこで議論してやっとまとめた、こういう状況なんですよ。
二〇一〇年三月の衆議院厚生労働委員会で、我が党の高橋千鶴子議員が保育所施設の死亡事故を取り上げました。当時は民主党政権だったんですけれども、厚労大臣は、今後発生する事例については今までより詳細な報告を都道府県に求めていって実態掌握に努める、安全性の向上の推進を全力で進めていくと答弁していました。
にもかかわらず、死亡事故は減らない。この質問をした翌年、二〇一一年から一四年まで六十八人もお亡くなりになっている。その毎年の死亡事故の件数というのは、この十年間だけを見ても変わらない。そして、認可よりも認可外が多い。こういう分析をしてこない。余りにも無責任じゃないですか。
これは通告していませんけれども、大臣、担当大臣として、なぜこういう原因を掌握してこなかったのか。どうでしょうか。
○加藤国務大臣 預けられている親御さんの立場から、元気な姿で送った子供さんが変わり果てた姿で帰ってくる、やはりあってはならないことだというふうに思います。
今も、二十六年度も十七件ということでありました。今、厚労省からもお話がありましたように、新支援制度の中においては、それを分析し共有化していくという形でその防止に努めていく、また努めていきたい、こういうふうに思っております。
○島津委員 やはりこれまでの取り組みは不十分だということを率直に反省して、きちんと対策をとっていく必要があると思うんです。
私は、今回の法案審議に先立って、静岡県の浜松市と静岡市で認可保育園の保育士さんたちから話を聞いてきました。子供たちを寝かしつけた後、定期的に一人一人の状態を確認するという話でした。子供が昼寝するときには保育士さんは忙しい中でも連絡帳を書いたり、そういう貴重な時間なんだけれども、しかし、実際にはそういうことをやらなきゃいけないから十分できないけれども、子供たちのことを考えてやっていると言うんです。
厚労省の死亡事故集計でも、死亡事故の事例と留意すべき点として「睡眠に当たっては、子どもの確認、点検、仰向けに寝かせるなど、一人一人を確実に観察する配慮が必要。」、こう書いてあります。
認可外は、専門職である保育士の基準が認可よりも少ない。もちろん全てがそうだと言いませんけれども、こうしたケアが不十分にならざるを得ない。これは死亡事故の件数を見たって歴然としているんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
○吉本政府参考人 死亡事故の発生件数につきましては、先ほど来お話があるとおりでございます。
その原因と施設の類型、その関係を分析することは難しいというふうに思っておりますけれども、認可保育所と認可外保育施設におきましては、御承知のとおり、職員とか設備等の基準が異なっておりますので、一般的に申し上げれば質の確保の点での差というのはあるというふうに思いますが、それ以外にもさまざまな要因があるのではないかというふうに考えております。
○島津委員 質の差があるということなんです。
先ほど紹介した高橋議員の質問でも、そしてまたその翌年、参議院の予算委員会で我が党の田村智子議員が同じ質問をしているんです。待機児童を減らすということで、保育施設の基準を緩めて子供を詰め込む、そして公立保育所を減らして株式会社の参入を進めるなどの規制緩和をしていった、こういう中で保育施設の死亡事故がふえていることを指摘したのに対して、当時の総理も厚労大臣も、保育の質の確保が必要と繰り返し答弁していました。
今回の企業主導型保育は、こういう痛ましい死亡事故をなくすためにも、保育の質をしっかりと確保すべきだと思うんです。具体的には、子供たちのケアが十分できる、こういう保育士の配置をすべきだと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○加藤国務大臣 今回の企業主導型保育事業においても、提供される保育の質というのをしっかり担保していくことは、委員御指摘のとおり、大変重要だというふうに思っております。
具体的には、保育士等の職員の人員配置については、現行の子ども・子育て支援新制度における事業所内保育事業やあるいは小規模保育事業の基準を参考に基準を定めていきたい、こういうふうに思っております。
○島津委員 先ほどの確認ではB型を基準ということですが、やはり質の問題では、大変低いというか十分でないものにならざるを得ないと思うんです。
死亡事故の防止はもちろん、冒頭大臣が述べた保育の理念を実践するためにも保育士の役割は大きいわけです。保育所を整備しても保育士が集まらず開園を延期した、保育士がやめたために定員どおりの子供を受け入れられない、こういう話を聞きました。
待機児童解消に向けてこれから多くの保育士が必要になるわけなんですけれども、しかし、保育士の平均勤続年数は、全ての産業に比べて短くなっています。全産業が十二・一年に対して、保育士は七・六年です。やめていく理由というのは、賃金が低い、忙しくしているが圧倒的に多いわけです。
新卒の保育士さんというのは、意欲、希望を持ってやってくる、仕事に来る。しかし、現場では、人手不足で忙しい、子供にきちんと向かい合えない。先ほどからもありましたけれども、日々の保育とともに記録をつける、保護者との連絡帳を記入する。朝夕は、保護者とも会話して子供たちのことを伝えたりする。教材の準備、休日も会議とか研修とか、本当に忙しいんです。
実は私の妻も保育士で、民間の認可保育所で年長児を担任したときなどは、早出のときでも帰ってくるのは夜遅いですよ。毎日のように仕事を持ち帰って、卒園を控えた年度末なんかになると、いつ寝るかわからないぐらいに本当に忙しく働いていました。それなのに、給料は本当に低かった。
こういう状況ですから、新しく入った保育士さんは、一年たつと、踏みとどまるのか、それともやめていくのかという。ですから、一年で半分がやめるという話も伺いました。
大臣、保育士がやめていく、こういう状況を改善するためには何が必要なのか、改めて。
○加藤国務大臣 今委員から、奥様の話も交えて、保育士の方々の直面している問題の御指摘があったというふうに思っております。
今、保育士不足の要因としては、仕事に非常に責任がある中で、大変重労働である。御指摘の中にありましたように、保育園での勤務時間ではおさまらずに、家に帰って児童に対する書類を作成し、あるいはさまざまなイベントがあればそれに対する準備をする、それに応じて給与は決して高くないということでありまして、処遇、待遇の問題がそこにあるというふうに認識をしております。
○島津委員 浜松市で、四月に開園を控えた保育園で保育士を募集したら、保育士資格を持っている方が面接に来たそうです。その方は、以前保育所で働いていたそうなんですけれども、働くのはいいんだけれども担任は持ちたくない、八時間勤務でなくて、六時間だとか四時間、補佐的な仕事にしてほしいというふうに希望したと聞きました。子供が好きで、保育も嫌いな仕事でないけれども、責任を持って働くのは懲り懲りだということなんですね。
保育士資格を持っている人はたくさんいるんだけれども、職業としては選ばれなくなっている。賃金の引き上げとともに、今大臣がおっしゃいましたように、忙しいという長時間過重労働の解消がどうしても必要なんです。
しかし、今の保育基準のままでは問題は解決しません。例えば、四歳から五歳児は、子供三十人に一人という配置基準がありますよね。この基準で、現場はどうなっているのか。
先ほどの浜松市の保育園で聞きましたら、保育士の皆さんは口をそろえて言いました。十五人に一人でも足らない、一人一人に本当に目が届くためには十五人以下に必要だと。みんな一斉にトイレに行くわけじゃない、右向け右にという保育はできないと。もっともだと思うんです。散歩の際には、外での体験というのは子供たちの成長にとって非常に重要なことなんです。しかし、三十人に一人の保育士では、とても散歩にも行けない、保育の幅が限られてしまうと言うんです。
子供の排せつというのは健康のバロメーターなんです。この子はいつもなら何回おしっこをするんだけれども、きょうは全然出ていない、あるいはその逆もある。このように子供の状態はわかるんです。紙おむつを使用する保育所もありますけれども、布おむつにこだわる保育所もある。やはり排せつを掌握できないのは恐ろしいというふうに言っていました。
でも、紙おむつは捨てるだけですけれども、布おむつは洗濯が必要になる、その配置も必要になるんです。独自に配置するとどうなるのか。いい保育をしようと思ったら、配置基準を上回る保育士や職員が必要になる。そうしますと、公定価格が決まっているために、増員した分はその保育所の持ち出しになる、職員へのしわ寄せになる。結局、給料が下がるという話なんです。
大臣、いい保育をすると賃金が下がる、こんなおかしなことはないと思うんですが、どうでしょうか。
○加藤国務大臣 今回の予算の対応の中でも、補助的な方を入れているといった場合に対する対応等はいろいろと進めさせていただいているところでありますが、ただ、いずれにしても、処遇の改善についてはしっかり取り組んでいかなきゃならないというふうに思っておりまして、この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プラン、具体的で実効性のある待遇の改善策をしっかりと示していきたい、こう思っております。
○島津委員 配置基準の改善も公定価格の引き上げも、ぜひ早急に実施してほしいと思います。
多くの保護者は、できれば家の近くで就学前まで安心して預けられる保育所で保育を受けさせたいと願っているんです。認可外の保育所には、本当にひどい保育所があると聞いてきました。居酒屋の一角にある、たばこのにおいがする、コンビニの跡につくられた保育所で駐車場がないから、あけたらすぐ大通り、ドアの先はそういう状況。
都内だけで二万人以上もいる認可保育所に入れなかった児童の緊急対策を進めながら、地域の保育所の整備、認定保育所、とりわけ公立の保育所をふやすことが待機児童の解消の対策の中心にならなきゃいけないんです。そのことを求めて、時間ですから、質問を終わります。