しまづ幸広(日本共産党元衆議院議員)-浜岡原発廃炉、静岡から政治を変えよう
国会質問

質問日:2015年 9月 1日 第189国会 環境委員会

琵琶湖の保全に関する質問

*島津議員の発言部分のみ抜粋

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○島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 先日委員会で視察いたしました琵琶湖の問題について、私も質問させていただきたいと思います。

 これまで議論があったように、琵琶湖は、国際的にも学術的にも貴重な湖です。また、水資源という意味でも重要な役割を果たしています。

 そこで、望月大臣にお聞きしたいんですけれども、将来、どのような琵琶湖にするのか、どういう琵琶湖を残していくのか、その理念についてお考えをお聞きしたいと思います。あわせて、近年、琵琶湖が変貌しつつあるわけで、自然環境、景観の破壊、生態系の変化、水質汚濁、漁業への影響等々、琵琶湖の現状の認識ですね。別々に通告してあったんですけれども、時間の関係で、二つあわせて簡潔に、済みませんが、お答え願いたいと思います。

○望月国務大臣 それでは、なるべく簡潔にお答えしたいと思います。

 先ほどからお話ししましたように、まず第一に、琵琶湖は日本最大の湖で、近畿圏の約千四百五十万人の社会経済活動を支える貴重な水源であるということ。

 それから、歴史的にも四百万年以上の歴史を有する、我が国の最大で、そしてまた世界的に希少な湖である。それから、多くの固有種が存在する豊かな生態系を持っておる。あるいはまた、自然環境及び水産資源の宝庫として、その重要性は高い。

 これをやはり、豊かな環境を守って、次の世代の人たちも享受できるようにする、その保全と再生、再生もしていかなくてはならない、こういったことを念頭に置いていきたいと思います。

 先ほど、真山先生、猪苗代湖の大切さというのをおっしゃいましたけれども、島津先生は私と同じ静岡県ですから、浜名湖がいかに県民にとって大切かということは島津先生ももう十分に御存じのことだということで、私とそういったものを共有できるのではないかな、こんなふうに思っております。

 それから、水質及び生態系のことでございますけれども、工場及び事業場からの排水の規制、下水道や浄化槽の整備による汚濁負荷の削減などの取り組みによって、琵琶湖に流入する汚濁負荷は着実に削減はされておりますが、いまだ環境基準を満たすには至っておりません。

 これは、やはり多様な動植物が生息するなど、生態系の保全上重要な湖沼の一つであると認識をしておりますが、そういった意味でも、さまざまこれからしっかりと研究をして原因を突きとめて、それでいち早くそれを取り除くことができるようにしていかなくてはいけないと思っております。

 それから、カワウによる漁業被害。近年、新たな外来種の侵入等によって被害が生じている。こういったことも、例えばカワウだけでも、実は、それでも、前には八万羽いたのが今は八千羽ぐらいになっている。まだこの半分ぐらいにしたいなというような話も聞いています。どの程度が適正かということも含めて、これからしっかりと対応してまいりたい、このように思います。

○島津委員 ありがとうございました。

 今いろいろ答弁があったわけですけれども、多少の改善があっても、全体として見ると琵琶湖は疲弊してきたというのが現実だと思うんです。個々の問題については後で触れたいと思いますけれども、この基本認識は、私は非常に大事だと思うんです。

 私は、この間、当委員会の視察とともに、独自にも足を運んで、現場を見て、滋賀県の担当者を初めそれぞれの立場の人からいろいろな話を聞いてきました。県の担当者も、どこかで生態系のバランスが崩れている、こういうふうに話していました。

 大臣、こうした認識の上に立って改めて聞きますけれども、なぜ琵琶湖が疲弊し、環境が悪化してきているのかという点について、もう少し立ち入ってお話しいただきたいと思います。

○望月国務大臣 琵琶湖については、先ほど私お話ししましたが、さまざまな法律あるいはまた努力によって、流入する汚濁負荷は着実に削減されてきた。確実にそれはわかっておりますが、湖内の植物プランクトンによる生産などによって環境基準の達成に至っていない、こんなふうに考えられます。

 こういった問題につきましては、まだまだ研究をしっかりして、それを取り除いていかなくてはならないというものがございます。CODだとか、あるいは全燐、全窒素、そういったものが本当に中で減っているかというと、これもまた非常に微妙なところがございますので、こういったものについてもしっかりと対応してまいりたいと思っております。

 それから、先ほど私お話ししましたように、外来種対策、カワウの広域管理が進められております、その効果もあらわれ始めてきてはおりますが、琵琶湖の生態系保全を進めていくためには、これらの取り組みをなお一層推進していくことが必要である、我々はこんなふうに認識をしております。

 環境省としては、関係地方公共団体及び関係省庁と連携して、水質汚濁のメカニズムの一層の解明に努め、これまでの取り組みを検証して、そして適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

 また、滋賀県における外来種対策においても引き続きしっかりと支援をしてまいりたい、こんなふうに思っております。

○島津委員 琵琶湖の環境悪化はさまざまな要因が重なっていると思うんです。

 私は、一九七二年から二十五年かけて取り組まれた琵琶湖総合開発事業、いわゆる琵琶総の影響が大きいと考えます。

 この琵琶総についての成果、残された課題については議論があったわけなんですけれども、改めて、琵琶総をどう検証、総括しているのかという点について、お答え願いたいと思います。

○高橋政府参考人 琵琶湖総合開発計画につきましては、当時、琵琶湖の水質が悪化して、琵琶湖を水源とする国民生活、経済活動に支障が生じていたことから、琵琶湖の自然環境保全及び水質改善を図るなどを含めた総合的な計画として策定されたものであるというふうに認識してございます。

 その結果、琵琶湖の水質につきましては一定の改善が見られたところでございますけれども、さらなる水質改善と、自然環境の保全と再生に関する取り組みをさらに実施していく必要があるというふうに認識をしてございます。

○島津委員 環境面からの検証、総括というのはどうなんでしょうか。これは環境省、ぜひお答えください。

○北川委員長 今は環境省が答えて、先ほどの件については、では国土交通省石塚大臣官房審議官。

○石塚政府参考人 お答えいたします。

 琵琶湖総合開発特別措置法全般にわたった検証、総括につきまして、まず御説明をいたしたいと思います。少々重複いたしますが……(島津委員「簡単でいいです」と呼ぶ)はい。

 治水面それから利水上の効果につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、水害による琵琶湖沿岸の被害の軽減等、大きな治水上の効果が得られ、かつ、利水上の効果といたしましても、渇水時においても被害がほとんど生じなくなった、安定的な水供給が図られるようになったという効果がございました。

○島津委員 同時に、水質向上の効果としては、下水道、し尿処理整備率の向上等によりまして、流入河川の水質、特に南湖に流入する河川の水質改善が図られたところは事実でございます。

 一方で、琵琶湖自体の平均的な水質につきましては、水質汚濁の指標となりますCODが漸増傾向にあるなどの水質保全についての課題が残されておりました。

 さらには、森林、農地等の減少によります水源涵養機能の低下でありますとか、生物多様性、琵琶湖固有の景観保全といった、自然的な環境あるいは景観の保全に関しても必要性を認識していたところでございます。

 二十五年かけて一兆九千億円投入した大規模プロジェクトですから、それなりの効果があるわけですけれども、同時にいろいろなマイナス面もあると思うんです。

 琵琶総とは何だったかということなんですけれども、簡単に言えば、近畿圏一千四百万人の水需要に応えるためとして、自然豊かな琵琶湖をダム化して、琵琶湖から新たに毎秒四十トンの水を下流域に供給する、そのかわりに、滋賀県内の利水、治水、湖岸道路の建設、河川改修などをどんどん推し進める、こういうものだったわけです。

 その結果どうなったかといいますと、一九七七年には赤潮が大発生する、八三年には初めてアオコが発生する、最近では、繁殖力が非常に強い外来種の水草、オオバナミズキンバイが急速に広がり、漁業にとっても死活問題になるなど、影響を与えています。

 琵琶総について具体的に聞きたいと思うんです。

 一つは水位操作です。水位の操作。

 琵琶湖を丸ごとダム化したことによって、水位の変化を人為的に調整することになったわけですけれども、これによる弊害というのはどのようにあらわれているんでしょうか。

○野村政府参考人 お答え申し上げます。

 ダムのお話がございましたけれども、琵琶湖の水位は、瀬田川洗堰によって行っております。この洗堰ですけれども、これは、淀川流域の治水、利水上極めて重要な役割を持つ施設でございまして、琵琶湖周辺の洪水防御、琵琶湖の水位維持、それから洗堰下流の淀川の洪水流量の低減、流水の正常な機能の維持、そして都市用水の供給、これらを行うことを目的とする重要な施設になってございます。

 それで、琵琶湖の水位ですけれども、非洪水期には、都市用水を補給するために、高い水位で維持しております。それを、洪水期には、洪水を貯留する容量を確保するために水位を低下させる、こういう操作になります。

 一方で、例えば春の水位が高い時期に魚類が産卵しまして、その後、瀬田川洗堰の操作により水位を低下させると魚類の卵が干上がるなどの影響が懸念されているところでもございます。

 この魚類産卵への影響に対して、私どもは、専門家により構成されるワーキンググループを設置して、水位調節やその分析を行ってきておりまして、その結果を踏まえて、平成二十六年度、昨年度から、春における魚類の産卵後の卵の干上がりを抑制するための、水位の低下を弾力的に行う洗堰の操作を行っております。

 引き続き、専門家の意見を踏まえて、自然環境の保全に向けて丁寧な対応を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

○島津委員 今お答えがあったように、魚類の産卵期に水位が低下して産卵ができなくなる、また、それ以外にも、ヨシの刈り取り時期、三月、ここに水位が上昇して刈り取りができなくなる、こういう事態が生まれています。こういう事態を解消して生態系を保存するためにも、水位操作の見直しが必要だということを改めて指摘しておきたいと思います。

 二つ目に、湖周道路、湖岸道路の問題です。

 これは、湖周道路ができまして、湖、琵琶湖を一周できるということで、便利になったという意見がある一方で、かつて湖だったところに道路ができて、七カ所の人工の内湖もつくられる。これに伴う生態系の破壊が今日大きな問題になっています。

 この湖周道路の生態系への影響についてどのように見ているんでしょうか。

○奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、琵琶湖において定点を設けまして、生態系の指標となる生物相の調査を行いまして、琵琶湖全体の生物相がどのような状況になっているか、推移しているかというのを把握しております、調査しておりますけれども、先生御指摘のように、湖周道路の整備による生態系への影響につきまして的を絞った調査というものは行っておりませんので、環境省といたしましては、その影響につきまして把握はしておりません。

○島津委員 これは大きな問題だと思うんです。

 例えば、元湖南漁業組合長の方はこう言っているんです。外来種と固有の藻が絡み合って、どうしようもない事態になっている。昔はマコモやヨシ、柳が群生したが、全ての湖岸の道路のために潰された、ヨシ破壊道路である。琵琶湖の自然を生かしてやってくれればよかった。一九七五年までは漁としては成り立っていたけれども、六五年から七五年は全盛期だったけれども、衰退した。どのように再生したらいいのか。今までの悪いことは全部やめなきゃならない。こういうふうに指摘しています。

 この湖周道路でヨシ群がなくなったりヨシが後退したりするんですけれども、このヨシは面積がどのようになっているかというのは承知しているんでしょうか。

○奥主政府参考人 湖周道路の影響によるものであるかどうかは今不分明でございますけれども、滋賀県によりますと、昭和二十八年には二百六十一ヘクタールのヨシ群落が存在していました。その後の埋め立てや湖岸堤の整備等によりまして、平成三年度には百二十八ヘクタールにまで減少したとのことでございます。

 その後、滋賀県によるヨシ群落の保全、再生に向けた取り組みが進められまして、平成二十六年度は百八十三ヘクタールまで回復したというふうに聞いております。

○島津委員 湖岸道路で、湖周道路で、やはりヨシ初めいろいろな影響が出ているわけですから、しっかりそこを見て、これからの事業は、反省の上に事業を進めていかなきゃいけないと思うんです。

 この琵琶湖の問題で、ちょっと時間がありませんので、幾つか質問を飛ばさせていただきたいんですけれども、緊急な対策を求められている具体的な問題についてお聞きしたいと思うんです。

 一つは、水草の異常繁茂の対策です。

 御承知のように、最近、水草が異常に繁茂し、滋賀県も積極的に取り組んでいるわけですけれども、一向になかなか対策が進まない。特に外来種であるオオバナミズキンバイは、二〇〇九年に確認されて以来、毎年三倍の勢いで拡大しているわけです。私も実際に見てきましたけれども、船のスクリューに絡みついて、水深の浅いところでは船が入れない。

 これまでこのオオバナミズキンバイは、ボランティアなど多くのマンパワーで除去作業が進められているわけなんですけれども、繁殖の勢いにはとても追いつかないというのが現状です。このオオバナミズキンバイで、漁業の問題も非常に大きな影響を受けているわけなんです。

 政府は昨年六月、オオバナミズキンバイを特定外来生物に指定したわけですけれども、根絶に向けた抜本的な対策というのはとっているんでしょうか。

○奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境省といたしましては、琵琶湖におきますオオバナミズキンバイの防除につきましては、まずは、環境省の交付金を活用いたしました支援と国直轄事業によりまして、オオバナミズキンバイの防除に現在取り組んでいるところでございます。

 その結果でございますけれども、現在、琵琶湖でのオオバナミズキンバイの生育面積でございますけれども、平成二十五年度末におきましては六千四百、八百八十平方メートルであったものが、平成二十六年度末では四万六千三百平方メートルまで減るというふうなことで、一定の成果は出ていると思いますけれども、引き続きその防除に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○島津委員 オオバナミズキンバイというのは、私も現地に行って驚いたんですけれども、このぐらいでも刈り残しがあって、そうしますと、それが流れていきまして湖岸に着きますと、そこからまた大繁殖していくんですよ。取っても取っても切りがないということで。ですから、これを駆除するのは、根こそぎやらなきゃいけないということなんです。ですから、大きな面積で、ぐわっと機械を使ってやるのももちろん必要なんですけれども、一本一本、やはり根を残さずに駆除していくということが大切なんです。

 そういう点では、今、学生の皆さんなどがボランティアで行きまして、そして、二泊三日ぐらいのあれで皆さんで駆除して、そういう話も聞いたんですけれども、こういうボランティアの作業など、こういうところの財政支援というのはあるんでしょうか。

○奥主政府参考人 滋賀県が事務局を担っております琵琶湖外来水生植物対策協議会が、今、実際の防除事業に取り組んでいるところでございます。それに対しまして、環境省としても事業交付金を交付しているところでございますけれども、大学生のボランティアによる防除等につきましても、協議会の事業の中に位置づけるということであれば支援も可能かというふうに考えております。

 あと、それと一点、訂正でございますが、先ほど数字で、オオバナミズキンバイのあれが、平成二十五年度末は六万四千でございますので、ちょっと改めて訂正させていただきたいと思います。

○島津委員 これは地元にとってみても非常に死活的な問題なんです。

 このオオバナミズキンバイの対策で、生物多様性保全推進支援事業というのがあって、これは二〇一六年度で事業期間が終わってしまうんですけれども、地元の皆さんは、これで終わっちゃって、その先どうなるのかというふうに心配しているんですけれども、これは、終わった後の見通しというのはどうなるんでしょうか。

○奥主政府参考人 お答えいたします。

 この事業につきましては、改めてまた申請が出された段階で、その事業に、予算の対象になるかどうか審査するということになろうかと思います。

○島津委員 オオバナミズキンバイ初め、この事業で推進する事業というのは非常に大切な事業ですから、ぜひ充実させて存続させていく方向で検討していただきたいと思います。

 最後に、もう時間がありませんから、農業の問題について一言聞きたいと思うんです。農業水利施設の老朽化対策の問題です。

 琵琶総の時代に、農作物、とりわけ水田ですね、近江は近江米で知られるように米づくりの中心地なんですけれども、これに水が必要だということで、農業水利施設を琵琶総当時につくられたんですけれども、四十年経過して、老朽化が著しくなっています。

 この問題について、更新する財政的支援、これが強く地元からも要望されているんですけれども、この点についてはどのように考えていくんでしょうか。

○印藤政府参考人 お答えいたします。

 基幹的水利施設の多くは戦後に建設され、全国的にも、既に標準耐用年数を超えた施設が全体の約二割に及ぶなど、老朽化が進んでおります。滋賀県におきましては、農業用ダムや揚排水機場などの施設が百九カ所、基幹的な水路だけでも七百八十四キロメートル存在し、これらの施設の約三割が耐用年数を超えるという状況でございます。

 このため、国、県等による機能診断に基づく施設の劣化状況に応じた補修、更新、土地改良区による適切な日常管理を通じた施設のさらなる長寿命化、そして、地域ぐるみの共同活動によって末端水路を保全する取り組みなどを組み合わせ、効率的かつ効果的な長寿命対策を行い、保全管理コストの低減を図ることとしております。

 今後とも、食料生産に不可欠な基本インフラであり、水循環等の公益的機能を発揮する農業水利施設について、適切な保全管理がなされるよう取り組んでまいりたいと思っております。

○島津委員 時間が来たので終わりますけれども、いずれにしても、琵琶湖、これからの保全、再生については、琵琶総の検証の上に、反省の上にしっかりとして、今度は開発優先ではなくて環境保全、これを優先に進めていってほしいということを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

 

質問の映像へのリンク

https://www.youtube.com/watch?v=cKym3HF7T20

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