しまづ幸広(日本共産党元衆議院議員)-浜岡原発廃炉、静岡から政治を変えよう
国会質問

質問日:2015年 6月 9日 第189国会 環境委員会

災害廃棄物の処理について

―島津議員発言部分抜粋―

 

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○島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 私からも幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案提案趣旨説明では、東日本大震災を初めとする最近の災害の教訓を踏まえたとしています。しかし、最大の教訓の一つである原子力災害を受けた対策が触れられていません。大規模災害の場合、当然、原発事故も想定しなくてはなりません。

 これまでの質疑の中でも、福島第一原発事故に伴う放射性物質に汚染された廃棄物の処理はまだ途上だ、ですから今回はそれは脇に置いて、今やっている処理を見きわめて、教訓、問題点を踏まえて対策を講じるという旨の答弁がありました。

 見きわめた上で、この問題については別法をつくるのか、あるいは、今回審議している法制に加えていくということで理解してよろしいですね。大臣、どうですか。

○望月国務大臣 まず、原発事故由来の放射性物質に汚染された廃棄物の処理については、こういった事故を再び起こさないようにしっかりと規制が行われることが重要である。

 ただ、それは、万が一といいますか万々が一、万が一というのは百年に一度、万々が一は千年に一度だという話がございますけれども、そういう対応については、災害対策基本法に基づく防災基本計画に、環境省を初めとした関係省庁が必要な措置を講ずることと位置づけられております。

 環境省としては、東日本大震災の経験も踏まえて適切に対応してまいりたい、このように思っております。

○島津委員 適切にこれからもやっていかれると思うんですけれども、今やっている福島原発での処理が完全に終わらなくても、教訓、問題点というのは明らかにできると思うんです。

 大規模災害での原発事故に伴う廃棄物処理に対応するための法整備というのは早い方がいいと思うわけですけれども、大臣が答弁されている、見きわめて、教訓、問題点を踏まえるということなんですけれども、その見きわめるというのは、処理がどこまで進んだときというふうに考えているんでしょうか。お考えをお聞かせください。

○望月国務大臣 これはなかなか、はっきり言って難しい問題で、要するに、災害瓦れきといいますかそういうものについては、この三年間、四年間の間に処理が進みまして、ほとんど減ってきて、大体こういう形でやればいいなというような形でございます。

 しかし、先ほどからさまざまな先生方から御質問がございましたように、放射性のものについては、なかなか進んでいるという状況にない、努力はしてもそんな簡単に進むものではないということもわかっておりますし、若干時間の経過も必要だということでございます。

 こういった結果を見きわめることが可能な時期については、一定の、ですから、そういった意味では道筋がついた段階と考えておりまして、この処理の途上にある今、一概に申し上げることはなかなか困難かな、こんなふうに思っています。

 まずは、原子力発電所の事故によって生じた放射性物質に汚染された廃棄物の処理、これは引き続き尽力をしていきたいな、こんなふうに思っております。

○島津委員 そういうことだと、非常に長い時間がかかるというふうに思われるんですけれども。

 けさも地震が起きました。南海トラフ巨大地震など、いつ起きてもおかしくないということなんですけれども、そして、福島第一原発のような重大事故に至らない場合でも放射性物質は放出されます。

 今度、新規制基準がつくられましたけれども、その中には、原子炉建屋の水素爆発を防ぐためにベントをする、そのためのフィルターつきの装置の設置を義務づけているわけですけれども、ベントによる放射性物質の放出基準というのはどのぐらいになっているんでしょうか。

○清水政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会が策定した新規制基準においては、まず炉心損傷を起こさないこと、また、万一炉心損傷が発生した場合でも、格納容器の破損を防止し、かつ、放射性物質が異常な水準で敷地外へ放出されることを防止することを目的として、各種の対策を要求しております。

 これら各種の対策の中で、格納容器の破損を防止するための対策においてフィルターベントを用いる場合、放射性物質による環境への影響をできるだけ小さくとどめる観点から、その有効性を評価するための基準として、セシウム137の放出量が百テラベクレルを下回ることを要求しております。

○島津委員 先ほども、重大事故が起こらないように取り組みを進めていることだという話があったんですけれども、重大事故が起こらなくてもこういう事態があるわけです。規制庁も、絶対安全とは言えないといって、事故に備えた対策をとっているわけです。

 こうしたベントによる汚染、これも当然あり得るわけですけれども、これから法整備していくべき放射性物質に汚染された廃棄物処理では、こうしたことも当然想定していますね。これは確認です。

○鎌形政府参考人 ベントにより放射性物質の放出がどの程度になるかというのは、条件によって大きく異なるというふうに想定されます。

 仮にでございますが、ベントによって放出された放射性物質により周辺環境の汚染が生じる、そういった事態が想定される場合には、先ほど申しましたように、災害対策基本法に基づく計画のもとで、関係者と連携し、東日本大震災の教訓も踏まえ、適切に対応していくということかと思っております。

○島津委員 高レベルに汚染されなくても、そうしたレベルの汚染された廃棄物が出てくるわけです。

 東日本大震災の特措法では、特別に管理が必要な指定廃棄物はセシウム134とセシウム137の濃度が合計で一キログラム当たり八千ベクレル以上のものと定めています。これを超えるものは国が処理する、こうなっているわけですけれども、では、それ以下のものはどのように処理され、そして今、どこまで処理が進んでいるんでしょうか。

○鎌形政府参考人 放射性濃度が一キログラム当たり八千ベクレル以下の廃棄物につきましては、周辺住民及び作業者のいずれの安全も確保した上での処理が十分可能であると確認をされております。このため、廃棄物処理法に基づき、従来と同様の処理方法による処理を行っていただいているというところでございます。

 地域の理解を得るのに苦慮する場合もあると聞いてございますが、多くの市町村や廃棄物処理業者等の努力により、着実に処理が進んできているというふうに考えてございます。

 例えばでございますが、環境省が事故由来の放射性物質の飛散のおそれのあった十六都県にアンケート調査を行いました。その結果、一キログラム当たり八千ベクレル以下の飛灰等を最終処分できずに一時保管していた廃棄物処理施設、この数でございますが、全体で、回答のあった二百八十三施設のうち、平成二十三年度は四十を超えてございましたが、平成二十六年度では十カ所以下ということになってございます。

 こういったように、少しずつ着実に処理が進んでいるということでございまして、こういった処理が進むように、市町村などへの支援に努めてまいりたいと考えております。

○島津委員 今お答えがあったように、指定廃棄物とされないため、一般廃棄物と同様の扱いとなっているということなんです。しかも今、着実に処理されているということでしたけれども、事実上まともな対策が講じられていない状況です。そのために、瓦れきの処理に当たって、焼却の際の排気によって放射性物質が拡散するんじゃないか、飛灰の処理をどうするのか、あるいは廃棄物や焼却灰の埋立処分場周辺の放射線量が高くなるんじゃないか、雨水や地下水などで漏れ出さないかという心配が多々出されています。各地で今でも、大きな混乱が生まれています。今でもさまざまな問題が発生しているわけです。

 そもそもこのキログラム当たり八千ベクレルという基準は、当時の原子力安全委員会が当面の考え方として示したものに準拠して審議されただけのものです。これは、政府の試算でも、廃棄物の処理に携わる作業者に年間一ミリシーベルトに近い被曝を容認するという数字です。住民の健康と安全を守る立場で、放射性物質で汚染された廃棄物の基準と放射線防護対策を抜本的に見直し、強化する必要があると思うんです。

 大規模災害で原発事故が起きる。放射性物質、いろいろなレベルで廃棄物が汚染されるわけです。その処理を円滑、迅速に進める上で、住民の納得を得ることは極めて重要な問題です。これも、これまで議論があったとおりです。

 東日本大震災の教訓、問題点を生かすためにも、これから備える大規模災害に伴う対応では、今、各地でいろいろな問題、混乱を生んでいるこの八千ベクレルという基準、あるいは対策そのもの、これを抜本的に見直す必要があると思うんですけれども、この点でのお考えはどうでしょうか。

○望月国務大臣 この八千ベクレルという基準でありますけれども、これは特別な処理をする方法をとることなく、周辺住民、作業者のいずれにとっても安全に処理することができる基準として設定したものでございます。

 この八千ベクレルでいきますと、今、作業者の基準が年一ミリシーベルト、それから最終処分場周辺住民は年に十マイクロシーベルト、そういうような基準に合致できるということで、これまで、ホームページ、パンフレット、会議や通知によって八千ベクレル・パー・キログラム以下の廃棄物の処理の安全性の周知を図ってまいりましたし、関係自治体、関係省庁と連携して、早期処理に向けて取り組んでまいりました。

 その結果もありまして、この八千ベクレル・パー・キログラム以下の廃棄物については、その処理に当たりまして、地域のを得るのに時間を費やしてまいりましたけれども、多くの市町村や廃棄物処理業者の努力によってその一時保管場所の数が相当減ってきておるなど、着実に処理が進んできているということが現状でございます。

 今後も、こういった取り組みをしっかりと通じまして、廃棄物の処理が一層進むように努力してまいりますので、今のところ基準を見直すというようなことは考えておりません。

○島津委員 現実に住民の皆さんの不安が高まって、処理は着実と言いますけれども、まだまだ終わっていないし、問題も多いし、時間もかかっているわけです。そういう点では、この八千というのが本当にいいのかということは改めて検討してもらいたいと思うんですけれども。

 今回の法案にありますように、県レベルでも災害廃棄物処理計画を作成しなきゃいけないということになるんですけれども、全国に先駆けて作成した静岡県に行って、話を聞いてきました。

 静岡県の場合は、やはり東海地震あるいは南海トラフの巨大地震に備えて急いでつくらなきゃいけないという思いがあって、行って話を聞く中で、いろいろ話がありました。もっと国が前面に出てほしいだとか、あるいは、仮置き場の問題をどうするかという、いろいろなことがあったんですけれども、そうした心配の中の一つに、やはり放射性物質に汚染された廃棄物の問題があるんです。

 大臣、御承知のように、静岡県には浜岡原発があります。東海地震の震源域の上に立っているという、世界でも例のない、世界一危険な原発と言われているわけです。ですから、県民の不安も非常に大きい。当然、東海地震や南海トラフ巨大地震が起きれば事故が起きることは十分想定されるわけです。そういうことで、放射性物質に汚染された廃棄物の処理をどうするかということは考えなきゃいけないんだけれども、国の対策がないからやはり静岡県の対策でも立てていないわけです。

 県の担当者も言っていました。国がやはり責任を持って示してもらいたい、そうしないとできないということがあったわけです。そういう声をよく受けとめていただいて、一刻も早くこの問題では混乱を生まないような、必要な法整備を行うべきと強く要求して、次の質問に移りたいと思います。

 国の代行制度についてお伺いします。

 東日本大震災の際、国が代行した自治体は四つだということが、先ほども答弁がありました。国が代行処理した内容はどんなものか。国は直接に処理事務を行うわけではないわけです。しかし、では、実際に処理事業を行ったのはどんなところがやったのかというのをお聞かせください。

○鎌形政府参考人 東日本大震災の災害廃棄物処理のための特別措置法に基づきまして、相馬市、新地町、広野町、南相馬市の四市町におきまして代行処理を行っているということでございます。

 要請を受けて代行処理をしているということでございますが、その代行処理の範囲は、市町で選別をした後の可燃性災害廃棄物の減容化、いわゆる焼却処理でございます、それと、当該減容化により生ずる焼却灰の最終処分ということでございます。

 可燃性災害廃棄物を減容化するための仮設処理施設の建設、運営、解体というのが今行われているところでございますが、いずれも民間事業者に発注して処理を行っているというところでございます。

○島津委員 東日本大震災では、今お答えがあったんですけれども、そういう中でも仙台市では、地元建設業界の協力を得ながら、燃やすもの、リサイクルするものと収集を区別して、それぞれの担当者がそうしたものを区別して集めて、それぞれ仮置き場に運ぶ、そして、そのことをやった結果、仮置き場からのその後の処理も早い、そして、地元の雇用や仕事にもつながったということをお聞きしてきました。これに対して、石巻市などほとんどの市町村は、県に委託し、県が四つにエリアを分けて、ゼネコンが中心になったJVに処理を発注する。

 この県のJVへの一括処理というのは、環境省、適切な方法だったというふうに今思っているんでしょうか。

○福山大臣政務官 東日本大震災の際、岩手県と宮城県では、複数市町から地方自治法上の事務委託を受け、迅速に処理を行うなどの観点から一定の処理ブロックを設定し、この処理ブロックごとに、公募型プロポーザル方式により、災害廃棄物の処理に関する業務を一括して発注しました。

 その結果、ゼネコンを中心とする共同企業体、いわゆるJVがこれを受注し、処理を実施いたしました。

 東日本大震災では、共同企業体に処理を一括して発注したことにより、多岐にわたる業務を一元化して委託し、管理できたことなどによる業務の効率化などのメリットがあり、円滑かつ迅速な災害廃棄物の処理が可能となったと考えております。

 また、ことし二月の有識者などからの提言においても、共同企業体などの適切な能力を有する事業者の活用が、迅速な処理を確保するための有効な方策の一つとして位置づけられており、今後の対策においても、災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理のための一助になるものと考えております。

○島津委員 メリットが紹介され、有効だったという御答弁だったんですけれども、しかし、デメリット、問題もあるんです。

 このJVは、廃棄物処理のノウハウ、とりわけゼネコンにあるわけではなくて、実際にはやはり県内の産廃業者の協力や再委託で処理が進んだんです。

 宮城県では、県内の産廃業者は、全て県内業者でというのは難しい面もあったけれども、市町との協議で対応可能なところもあったはずだと。宮城県は、四ブロックという区にしてしまったため、そういうことでJVになるわけですけれども、その時点でもう、四ブロックにくくった時点で地元産廃業者、地元業者が入る余地がなくなった、こういうふうに言っています。

 処理方法の面でも、分別せずに仮置き場に持っていってその後仕分けして処理するということで、分別して一時置き場へ持っていくところよりも処理時間がかかる、処理費用も高くなるという問題もあります。

 こういう問題があったという認識はないんですか。

○鎌形政府参考人 いずれにしても、迅速な処理を確保するために共同事業体の活用が有効であった、こういう認識であるわけでございます。

 今おっしゃったような課題につきましては、今までのところ私どもは把握してございませんけれども、そういった課題があれば、今後、適切な処理がなされるように対応していきたいというふうに考えております。

○島津委員 ぜひ、よくつかんでいただきたいと思うんですけれども。

 いろいろな問題がありますけれども、ゼネコン中心のJVによらない処理をしたところ、例えば、宮城県では東松島市というのがあるんです。ここは、市でほとんど独自処理をすることにして、地元の業者を活用しました。そして、被災者を雇用して手選別を行う、こういうことで雇用の確保にも努力した。その結果、総額の処理コストも、県内では最も低くなる、県平均の半分以下になったというんです。量ももちろんあるかもしれませんけれども。

 また、宮城県では、焼却処理の割合が高いほど処理コストが高くなるというふうに総括しているんです。焼却する関係費のうち、七割が仮設焼却炉の建設と解体の施設費、三割が処理費なんですけれども、ゼネコンに、事実上JVということですけれども、丸投げしたゼネコン中心のJV、これが二十六基焼却炉を設置したんですけれども、これが過大投資だったという指摘もあるんです。

 瓦れき処理は、ゼネコンが分担して受注して暴利をむさぼった、こんな声もあります。こうした問題もしっかり認識して、これからの対策、対応に生かしていかなければならないと思うんです。

 次に、自治体で全て処理できない場合、国が代行することも必要になると思います。しかし、その際、国の方針を一律に押しつけるようなことになってはいけないと思うんです、処理の仕方も含めて。地元自治体や住民の意向を踏まえず考え方を押しつけることになると、要らぬ混乱や対立を生む、処理がおくれる原因にもなります。

 ですから、国が代行してやっていく場合には、必要な力をかすし、支援も惜しまない、こういう姿勢を明確にしつつ、地元の意向を最大限尊重して処理に当たるということが大切だと思うんです。

 この点での大臣の見解をお聞かせください。

○望月国務大臣 これは、先生の御指摘のように、被害の規模やそれからまた態様がさまざまでございます。量や状況も極めて多様でございます。そういったことから、代行処理を含む国による支援は、被災自治体の状況を踏まえて柔軟に行われる必要がある、このように思います。

 そのため、代行処理の要件としては、被災自治体と災害廃棄物の状況を十分にしんしゃくして柔軟に対応すべく、そこは幾つかございますけれども、わかりやすく言うと、これは定量的ではなくて定性的、要するに、量でここで何トンだからどうだということではなくて、いわゆるその地域の事情、実情を踏まえて、定性的な要件を定めたところでございまして、そういったことをしっかりと考えていかなきゃならない。

 それからまた、大規模災害時には、国みずから被災地、地域全体についての災害廃棄物の要処理量を衛星写真等によってまず把握する、そういうようなことも、被災自治体からの要請を待たずに、我々が必要に応じて国による代行処理の準備を進めていく、そういうこと等もしております。

 以上の取り組みによって、国による代行処理が被災地域の状況を踏まえ柔軟に実施されるように、先生の御指摘も踏まえまして、努力してまいりたい、このように思います。

○島津委員 先ほども指摘したように、宮城県でJVの問題等々あるわけです。そういう点では、ぜひ、地元の意向を踏まえて、柔軟という言葉でしたけれども、国も意欲、責任を持って、しっかりやっていただきたいと思います。

 次に、財政支援の問題です。

 これまでも議論がありましたけれども、今回の法案では、措置を講ずるように努めるという努力規定にとどまっているわけですけれども、これに対して、先ほどの議論でも、努力規定にとどまっているとはいえども、支援する対象を明確にしたなどの答弁があったわけです。しかし、どの程度国が支援するかというのは、やはり明確になっていないわけです。

 また、自治体がみずから処理する場合の負担についても、今回の改正では触れられていないため、現状の補助金の上限二分の一のままとなってしまいます。南海トラフ巨大地震のような大規模災害が発生して、特措法ができるまで自治体の負担がどこまでになるか決まらない、これでは、財政的な不安があることによって、廃棄物処理の初動が鈍るということも懸念されます。

 迅速、適正な処理を進めていくためにも、財政面でも国がきちんと責任を果たすということを明確にする必要があると思うんです。これはもう答弁がありましたけれども、改めて大臣、決意をお聞かせください。

○望月国務大臣 これはやはり、財政的な問題は、中小の市町村にとっては非常に厳しい状況であるし、大切なことでございまして、国が被災市町村からの要請を受けて災害廃棄物の処理を代行することとなった場合には、まずは国がその費用を全て負担して、その後、本来市町村が負担すべき額について市町村に適切な御負担をいただく、そういうことになっております。

 これはやはり、実際に災害の規模とか被災状況等を鑑みて、全体的な見地から別途特別立法がなされることを踏まえまして制度設計をしていることでございます。やはり、地震とかさまざまな災害によって地域地域違いますので、これは別途特別立法がなされるということでございまして、これも、例えば、災害復旧工事に係る国による代行措置についても同様の制度設計がなされていることを踏まえたものでございます。

 どちらにいたしましても、将来の大規模な災害発生時には、支援策同様、適切な財政支援が行われるように努めてまいる所存であります。

○島津委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うんですけれども。

 次に、東日本大震災の際に、事前の備えで、仙台市では、先ほどちょっと紹介しましたけれども、事前に協定を地元業者と結んであって、スムーズな処理につながったというふうに聞いています。また、東松島市でも、宮城北部地震の教訓に学んで、日ごろから、仮設置き場のつくり方だとか、あるいは地元業者との細かな連携を行って対応できたということを聞いています。そういう点では、地元業者と震災後にスムーズに連携できるような備えというのは非常に大切だというふうに考えています。

 しかし一方で、東日本大震災のときには、瓦れき処理は、直営は迅速にできたんですけれども、先ほども言ったように、委託された場合は遅かったという場合もあります。

 なぜそうなるかということになりますと、委託された業者はやはり契約にないことはやらないわけです。こういう話はいろいろ聞いています。契約というのはやはりそういうものなんですよね。災害の起きたときに、自治体の職員みたく何でも対応できるわけじゃないわけです。もちろん、民間業者にできる限りの協力はお願いしなければなりません。しかし、すき間なく契約を交わすということはやはりなかなか大変で、無理もあるわけです。

 そういう点では、災害が起きたときの自治体職員の役割というのは非常に大きいものがあると思います。確認ですけれども、この御認識は、こういうことでよろしいですね。

○望月国務大臣 御指摘のとおり、自治体は、平時から、生活ごみや、し尿処理のための施設や体制があるわけでございまして、ノウハウも蓄積されていることから、平時はもとより、大規模災害が発生した場合においても、廃棄物処理における自治体職員の皆さんの役割は非常に大きいと思います。

 そして、職員の皆さん、まさに職員になるときに、全体の奉仕者としてというような心構えがやはりございますので、非常にそういったときには、ふだんの、日ごろの訓練、さまざまなことを通じて、これは大変我々にとってもありがたいことでございまして、大規模災害時にその能力や役割が遺憾なく発揮されますように、国としてもそういったことに関しましては支援をしていきたい、このように思います。

○島津委員 そういう役割があるわけなんですけれども、しかし、現実には、行革等で職員が減らされているという状況があります。とりわけ、清掃だとか廃棄物処理、こういう問題については、民間委託が進んで非常に職員が減っている、こういう実態があります。

 国がつくる基本方針、県がつくる処理計画に基づいて、市町村も計画をつくることになるんですけれども、今言ったように、民間委託が進んで現場の職員が減らされている。こういう状況では、計画を立てても、それを実行できるだけの体制が現場ではとれない、こういうことも心配になるわけです。

 東海地方のある自治体に行って聞きましたら、今、清掃業務、民間と直営を半々にする方針でずっとやっていたんだそうです。半々だということだから、この地域は民間、この地域は直営ということに当然なるんですけれども、そうしますと、地域によっては、全部民間になっちゃって職員がいない、対応できない、これからどうしようかということで心配されていた話を聞いたんですけれども、そういう心配もある。

 それから、公務員というのは配置転換があって、事務やマニュアルなどの引き継ぎが当然あります。しかし、実際の体験などを通じた継承はやはり完全とはいきません。東日本の現場を見ていない職員、担当者もやはりまだまだいらっしゃいます。行革で、こういうことで減っている。

 大規模災害が起きたら、大量の廃棄物処理の先頭に立てる職員の増員と育成が必要だと思うんですけれども、この点ではどんな対策を考えられているんでしょうか。

○小里副大臣 まず、平時からノウハウを身につけた職員をしっかり確保することが重要になると考えております。

 そのため、平時、災害時ともに、地域の生活環境の保全と公衆衛生の向上を図るための人材の育成を目指しておりまして、例えば、適切な研修プログラムのあり方、大規模災害も想定した災害廃棄物処理の訓練の実施方法について検討して、今年度から順次実施していくこととしているところでございます。

 あわせまして、平時から、災害廃棄物処理を経験したことのある自治体の職員をリスト化しておきまして、災害発生時には被災自治体に対して他の自治体からこれを派遣する、そういった災害廃棄物の処理計画の策定や処理フローの検討等が行えるようにするといった人材ネットワークの構築も進めることとしているところでございます。

○島津委員 時間が来ましたから終わりますけれども、研修だとか派遣だとかというような話があったんですけれども、人員そのものをふやしていくということに目を向けることがやはり必要だと思うんです。そういう点では、ぜひ環境省も力を入れて自治体を応援していただきたいと思います。

 南海トラフ巨大地震、首都直下地震など、いつ来るかわからないこうした大規模災害に備えるために、災害廃棄物処理でも原発事故を想定した万全の備えを進めていく、そして、国民の命と環境を守る実効性のある法整備、これを引き続き進めていくことを求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

 

質問の映像へのリンク

https://youtu.be/NEblcBPqNfo

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