○島津委員 日本共産党の島津幸広です。
きょうは、これまでも議論がありましたけれども、地球温暖化対策の問題について質問いたします。
最初に、望月大臣にお伺いしたいと思います。
安倍首相は、今国会の施政方針演説でも、「世界の温暖化対策をリードする。」こう述べました。
きょう報告があった気候変動に関する閣僚級会議の報告でも、望月大臣の直接の言葉はありませんでしたが、温室効果ガス削減目標について、国際的に遜色のない野心的な目標の考えを首相が説明すると報告されました。
年末にはCOP21が開かれるわけです。政府のこの姿勢は変わりありませんね。確認です。
○望月国務大臣 我が国の目標は、今先生もおっしゃったように、国際的に遜色のない野心的なものとする、これはそういう気持ちでやっていく所存でございます。
また、COP21に向けて、全ての国が参加する、そしてまた、公平かつ、これはやはり実効が伴わなきゃなりません、数字だけではなく。そういう意味では、実効的な国際的枠組みの構築に向けた交渉に積極的に貢献していきたい、このように思っております。
この姿勢というのは、COP21まで変わることはありません。
○島津委員 それでは、具体的にお伺いしたいと思います。
今言われたように、政府が、国際的に遜色のない野心的な目標、こうして出てきたのが温室効果ガス削減目標案、二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%削減です。
二〇一三年を基準にしていますけれども、同じようにその年を基準にすると、EU、アメリカの削減目標がどうなるか。また、二〇〇五年、一九九〇年を基準にすると、日本、EU、アメリカの目標はそれぞれどうなるんでしょうか。
○梶原政府参考人 今おっしゃられたように、中央環境審議会及び産業構造審議会で私どもがお示しした約束草案の要綱案におきましては、二〇一三年度比、二〇三〇年で二六%、二〇〇五年度比で二五・四%でございます。
今お尋ねの米国及びEUの既に登録をしています数字を、それぞれ、二〇一三年度比、二〇〇五年比で数字を言うということでございますれば、EUの場合は、二〇〇五年比で三五%減、二〇一三年度比にいたしますと二四%減になります。
また、米国。米国の場合はもともと二〇二五年を目標年度としておりますので、若干目標年度が違いますけれども、二〇二五年度の目標年度そのままで二〇一三年度比を示しますと、マイナスの一八からマイナス二一%、一八%から二一%の減となります。そして、もともと、オリジナルの米国の二〇〇五年比、二〇二五年目標は、二六から二八の削減でございます。
○島津委員 資料で、先ほども資料ありましたけれども、同じ資料ですけれども、表があります。
二〇一三年は、東日本大震災もありまして、一時的に火力がふえ、過去二番目に温室効果ガスが排出量が多かった年になるわけですけれども、この年を基準にすると、確かに、数字は国際的に遜色のない野心的な目標に見えます。しかし、日本の目標案は、九〇年比だと一八%減、EUは四〇%の減です。アメリカは、こういう数字ですけれども、これを年換算で三〇年まで延ばしていくと、一九九〇年比では二三%から二七%という試算もあります。
ですから、野心的なということを言われますけれども、まるでトリックじゃないか、御都合主義じゃないかという批判が上がっているわけです。
これが、どうして国際的に遜色のない野心的な目標と言えるんでしょうか。大臣、どうでしょうか。
○望月国務大臣 これは、やはり、その国々の主張といいますか、そういったことで数字を出してくるわけでございまして、我々が二〇一三年と言っているのは、今後の削減目標というのが大事であって、今後、これからどういうふうにCO2を減らしていくかということになると、やはりなるべく直近の方がいいのではないかということです。
というのは、二〇〇五年と二〇一三年と比べても、〇・六%、一%以内ぐらいしか差がありません。ですから、そういう意味では、二〇一三年という数字の出し方、EUは一九九〇年、アメリカは二〇〇五年と、やはりさまざま考え方があると思います。
ただ、各国の目標の野心度という、先ほど話がありましたが、これを比較するのには、単に削減量や削減率だけではなくて、人口一人当たりの排出量やGDP当たり排出量などさまざまな指標を総合的に勘案することが必要だ、我々はこのように思っております。
我が国は、現在、GDP当たり排出量、一人当たり排出量ともに先進国の中で高水準にある。そういう我が国の削減目標は、それらをさらに改善していくものでありまして、他国に比べて野心的なものである、こんなふうに思っております。
○島津委員 今いろいろお話がありましたけれども、一人当たりの排出量という話もありました。しかし、一人当たりの排出量を見ても、確かに、一九九〇年のときには日本はEUよりも少なくなっていました。しかし、日本はその後、横ばいです。むしろ今では一人当たり五%ふえている。一方、EUの方は努力を続けて、二〇〇五年にほぼ日本と並び、今では逆転しています。一人当たりの排出量は、二〇一二年で見ると、日本の十・五トンに対してEUは八・九三トン。一九九〇年比で二四%も削減しているんです。こういう努力のもとで、さらに削減するという目標を出してきているわけです。
世界をリードすると言うんですから、せめて同じぐらいにすべきじゃないんでしょうか。日本としての責任、そして能力を踏まえて見るなら、一九九〇年比で四〇%から五〇%の削減が必要という指摘もあります。日本の余りにも低い目標に、国内外から失望の声が上がっています。
この削減目標の背景には、エネルギーミックス、これも議論がありました、ベースロード電源で原発と石炭火力発電に大きく依存しようとしている問題があります。
石炭火力についてお聞きしたいと思います。
二〇一三年度の日本における温室効果ガスの排出量、これはどれだけか。前年に比べてどうなっているのか。数字だけで結構です。
○梶原政府参考人 二〇一三年度の温室効果ガスでございますが、十四億八百万トンでございます。二〇一二年度と比べて一・二%増加をしておるところでございます。
○島津委員 ふえているわけですけれども、その原因は何なんでしょうか。
○梶原政府参考人 二〇一二年度からの増加の主な要因でございますが、火力発電におきます石炭の消費量の増加、あるいは業務その他部門におきます電力並びに石油製品の消費量の増加などによりまして、エネルギー起源のCO2の排出量が増加したことが挙げられております。
○島津委員 火力発電が増加したという話がありました。先ほども見ましたように、確かに、東日本大震災を受けて、一時的には火力発電に頼らざるを得ない、こういう事情があります。しかし、これからは、温室効果ガスを大量に排出する火力発電というのは減らしていく必要があると思うんです。
経済産業省の一三年度のエネルギー需給実績、この中での一次エネルギーの国内供給、この中での天然ガスと石炭、それぞれ前年度比でどのようになっているんでしょうか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一三年度の一次エネルギー国内供給におきます、まず天然ガスの供給実績でございますけれども、原油換算で一億三千百万キロリットル、一次エネルギー国内供給全体に占める割合は二四%でございまして、前年比マイナス〇・四%となっております。
また、石炭につきましては、二〇一三年度の供給実績が、原油換算で一億三千六百万キロリットル、一次エネルギー全体に占める割合は二五%となっておりまして、前年度比プラス八・五%となっております。
○島津委員 ふえているわけですよね、石炭は。天然ガスは減っているけれども、ふえている。
それでは、現在の電源構成に占める天然ガスと石炭火力の割合、そして、二〇三〇年までのエネルギーミックスで天然ガスそれから石炭火力の割合、これはどのようになるんでしょうか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
まず、二〇一三年度の電源構成、現在の電源構成でございますけれども、一般電気事業用の発電電力量で見た場合によりますと、液化天然ガス火力の発電量は四千五十七億キロワットアワー、石炭火力につきましては二千八百四十五億キロワットアワーでございまして、それぞれ全体に占める比率で申し上げますと、液化天然ガス火力が約四三%、石炭火力が三〇%となっております。
それから、私どもでお示しをしておりますエネルギーミックスの骨子においてでございますけれども、二〇三〇年度の電源構成のうち、天然ガスの割合は二七%程度、石炭の割合は二六%程度となっております。
○島津委員 今お答えがあったように、天然ガスの使用は減っていますけれども、石炭は余り変わっていないということです。
最新型の施設でも二酸化炭素の排出量は、石炭火力は天然ガス発電の約二倍になるわけです。そういう石炭火力発電なんですけれども、そういう中で、今、国内で石炭火力発電の建設ラッシュが起きています。
経産省に伺います。
石炭火力発電の新規建設計画、これがどれだけあるのか。発電施設の数と発電能力、そして、それが動くとどのぐらい二酸化炭素を排出するのか、教えてください。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
私どもで把握しておりますものは、一般電気事業者の供給計画に記載されているもの、あるいは環境影響評価手続が進められているものというものでございますけれども、この案件のうち、石炭火力発電所の新設計画は七件、合計で約六百四十万キロワットの設備になります。震災後の計画に限りますと、四件の三百八十万キロワットでございます。
このほかに、高効率の石炭ガス化燃料電池複合発電の実証プラント、こういう研究開発の実証プラントの計画がございまして、これが二件で百万キロワットの計画がございます。
このほか、リプレースあるいは燃料転換の計画が五件で四百六十万キロワットございますけれども、リプレース前後の単純な容量の比較ですと、百万キロワットの増加ということになります。
これは現時点での計画でございますので、将来の状況によって変更があり得べしということだと認識をしております。
それから、御下問のCO2の排出量でございますけれども、これは、個々の設備の発電効率それから稼働率によって影響を受けますので、また、新規の高効率の発電設備が導入される一方で、古い、効率の悪い発電設備が休廃止されるということでございますので、全体としてCO2がどの程度増加するということを具体的に数字としてお示しすることはちょっと困難かと考えております。
○島津委員 今お答えがありましたけれども、それ以外に、いわゆる環境アセスにかからない小規模な建設があると思うんです。
これは環境省に伺いたいと思うんです。
そうした環境アセスが必要のない小規模施設の建設計画、これはつかんでいるんでしょうか。つかんでいるんでしたら、どのぐらいになっているのかを教えてください。
○小林政府参考人 環境影響評価法の対象規模未満、これは二種事業の規模未満ということで、出力十一・二五万キロワット未満、こういうことだと思いますが、この石炭火力発電所の建設計画につきまして、私どもとしては、事業者が計画について公表しているもので把握をしておりますが、その限りでは十件あるというように把握しているところでございます。
○島津委員 今あったように、出力が十一・二五万キロワット以下というのは必要がないということで、これは本当にひどいんです。
例えば、大臣の地元の静岡県の富士市でも日本製紙が石炭火力の建設を計画しているんですけれども、規模は十万です。北海道でやはり日本製紙が計画しているのは十一・二万、ぎりぎりで、こういうのがたくさんあるんです。
今、公表されているものという話があったんですけれども、こういうものが各地にまだまだあるわけなんですけれども、削減目標を立てても、こうした石炭火力発電が各地で、小さいとはいえ、たくさんつくられてくる、これで本当に温室効果ガスの削減に責任が持てるんでしょうか。どうでしょう。
○小林政府参考人 小規模な火力についていろいろな計画が出ている、こういうことがございます。
これにつきまして、環境省におきましては、今、小規模火力発電所における環境保全対策の先進事例を整理し取りまとめたガイドライン、これを昨年十月に公表いたしました。セミナーも開きまして、事業者あるいは地方公共団体に周知も図っております。
また、このガイドラインの活用状況を把握するために、専門家によりますフォローアップ検討会も実施をしておりまして、その検討結果も踏まえまして、今後、ガイドラインの内容を充実させるとともに、また、さらなる対応、これにつきましても総合的に検討していく予定としているところでございます。
○島津委員 政府が知らないところでどんどん建てられていくという事態では、やはり責任が持てないと思うんです。
環境NPOの気候ネットワークの調べでは、これはすごくふえているんです、今わかっているだけでも四十三基、合計で二千百二十万キロワット、全て動き出すと、試算では、年間で一億二千七百万トンの二酸化炭素を排出する、この数というのは、一九九〇年の一〇%となります。
石炭火力発電の施設をつくると四十年ぐらいまで稼働するわけです、二酸化炭素を排出し続ける。四十年というと、二〇五五年ですよ。二〇五〇年に八〇%削減、こういう目標が本当にできるんでしょうか。
欧米では石炭火力発電所の原則禁止に踏み出して、アメリカやイギリスでは新設できない。石炭大国の中国でさえ、先ほどもありましたけれども、削減を進めている。これが世界の潮流なんです。エネルギーミックスの提言というのは、こうした世界の潮流に逆らって、日本は石炭火力発電を使い続ける、こういうメッセージになるんです。
午前中の議論の中で、この石炭火力について、検討する、心配、憂慮する、こういう発言があって、対応を積極的に指示するということがありました。しかし、高効率かどうか見ていくとも言われましたけれども、高効率でもLNGの二倍です。いろいろ言われたんだけれども、石炭火力を減らしていくとは言われませんでした。心配、憂慮、こう言うんだったら、石炭火力を減らす方向にかじを切るべきなんじゃないんでしょうか。大臣、どうでしょう。
○望月国務大臣 まさにこの石炭火力発電所、温暖化対策の観点から、アメリカやEU、そういったところでも、非常に厳しく、検討、導入する動きがあるということを、我々もバイ会談等で実は各大臣からそんな話も聞いております。
我が国の削減目標を確実に達成できるように、電力業界に対して温暖化対策の枠組みの構築を促すことが一昨年四月の関係大臣会合によって決まっております。
しかし、今さまざま、小さな火力発電所はどうなるかということでございまして、このことについてもやはりしっかりと問題視をしていきたいと思っております。
まだ枠組みは構築されていない一方でございますけれども、この新増築の計画が相次いでいることに私も実は懸念を持っておりまして、環境省としては、今までと違って、業界任せではなく、積極的に環境省の方で検討、協力するように、私の方から事務方に厳しく指示をしておりまして、今後そういうことをしながら、ここら辺についてはしっかりと目配りをしていきたいな、こんなふうに思っております。
○島津委員 減らしていくという答弁はありません。
大臣の地元の静岡新聞、五月十九日付で「核心核論」という社説を論じる囲みがあるんです。静岡新聞というのは、大臣御存じのように、地方紙といっても県内のシェアが約半分という、発行部数も七十四万と非常に影響力のある新聞です。
そこで、石炭火力発電については依存度の低減が急務だ、こういう記事が載ったわけです。その中ではこう言っているんです。
「多くの先進国が削減を目指している電源」、石炭がね。「発展途上国への建設資金援助も含め、石炭に前向きな日本の姿勢は世界の流れに逆行している。」こう書いている。ここでも指摘されていますけれども、日本の気候資金援助に石炭火力発電建設が含まれていることで、国際的にも大きな批判を浴びています。そして、石炭発電の輸出は現地でも矛盾を広げ、現地の住民の皆さんが反対しているというところもあります。
さきに議論した水銀条約に関しても、一昨年十月に熊本市で開かれた外交会議で、途上国の環境汚染対策のために日本は三年間で二十億ドルのODAによる支援の実施を表明しましたけれども、この中にも石炭火力発電所の建設が含まれています。こうした世界の流れからの逆行はやめるべきです。輸出も含めて検討していくということが必要だと思うんですけれども、大臣、最後に、どうでしょう。
○望月国務大臣 石炭火力発電所をふやさないということは、発展途上国においてもそうしていかなくてはならないということでございます。
ただ、現在使われている火力発電所、発展途上国を見ますと、非常に効率が悪くて、CO2が大変出ている。それからまた、PM二・五とは言いませんけれども、さまざま、NOx、SOxとか、考えられないような古い機材の中でそういったものが出ている。そういったものをつくりかえるということは、我が国の高効率の火力発電所をODAとかさまざまな面で援助していくということは、これは世界のCO2の削減、あるいはまた、さまざまなことに関して寄与するものと思っております。
石炭火力発電所の援助をしないということになると、そういうようなものがまたこれからもアジアの国々、発展途上国の国々で使われるということになりますので、これはまた考え方はいろいろあると思いますけれども、我々は、JCMといって、二国間協定でそういった国に、なるべくCO2の削減を目指すということでこれからも行動していきたいな、こんなふうに思っております。
○島津委員 時間が来たので終わりますけれども、高効率とはいえ、天然ガスの二倍なんです。それから、日本が輸出しているということなんですけれども、一概に高効率とは言えないという調査もあるんです。
ですから、石炭火力に依存しないで、日本がリーダーシップをとるように強く求めて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。