しまづ幸広(日本共産党元衆議院議員)-浜岡原発廃炉、静岡から政治を変えよう
国会質問

質問日:2015年 4月 8日 第189国会 外務委員会

緑の機構基金への拠出に関する質疑

―島津議員の発言部分抜粋―

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島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 地球温暖化対策は、待ったなしの課題です。本法案では、開発途上国の温室効果ガス削減と気候変動の影響への適応を支援する基金、緑の気候基金、GCFに対して、我が国が最大で十五億ドルを拠出することになります。

 地球温暖化に伴い、世界各地で激しい気候変動が引き起こされています。途上国が海面上昇や気象災害の増加といった気候変動に適応するために必要な費用は、毎年数百億ドルから数千億ドルと見積もられています。

 これまで、多くの途上国、とりわけ後開発途上国、島嶼国などから支援の要望が出され、GCFの早期稼働が期待されています。国連気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議、COP21で、先進国と途上国がそろって新たな枠組みの合意を進める上でも、今回のGCFでの途上国への支援は喫緊の課題であり、私たち日本共産党も本法案には賛成です。

 その上で、幾つかの問題について質問いたします。

 まず、前提として、地球温暖化対策と日本政府の取り組みについてお聞きします。

 安倍総理大臣は、COP21での新たな枠組みの合意に向けて、「日本は、全ての国が参加する公平で実効的な枠組みの実現を目指して積極的にリーダーシップを発揮してまいります。」と昨年十月二日の参議院本会議で述べています。また、岸田外務大臣も、ことし二月十二日の本会議で同様の答弁をしています。本日の答弁でも、再三表明しているところです。

 このスタンスはこれからも変わりありませんね。

岸田国務大臣 御指摘の点、これからも変わることはないと考えております。

 今、我が国において開催される太平洋・島サミットの準備を進める中にあっても、また、COP21に向けて国際社会の議論が高まっている様子を見る中にあっても、気候変動の重要性を改めて強く認識しております。

 安倍総理も、施政方針演説において、世界の温暖化対策をリードすることを目指して、COP21に向け、温室効果ガスの排出について、新しい削減目標と具体的な行動計画をできるだけ早期に策定すること、こうしたことを施政方針演説の中でも明らかに表明しています。

 我が国としまして、COP21に向けて、全ての国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みに合意できるよう、積極的に貢献してまいりたいと考えております。

島津委員 そういう姿勢なんですけれども、これまでも議論がありましたけれども、昨年十二月のペルーのリマで開催されたCOP20では、出席した望月環境大臣が、できるだけ早期に提出することを目指すと述べるにとどまって、温室効果ガス削減目標を提示できませんでした。これに本当に多くの国民が失望しているところです。リーダーシップを発揮すると言いながら、温室効果ガスの削減目標を示す見通しすら明らかにできない、この日本政府の消極的姿勢が浮き彫りになっています。

 昨年十二月のCOP20に先立って、世界の二大排出国である中国、アメリカ、そしてEUという主要国が削減目標を早々に示しました。それぞれの削減目標はどのようなものですか。

尾池政府参考人 お答えを申し上げます。

 EUは、二〇三〇年に一九九〇年比で四〇%削減、米国は、二〇二五年に二〇〇五年比で二六から二八%削減、その中で、できるだけ二八%に向けて最大限に努力をするという目標を提出してございます。

 中国は、約束草案という形では提出をしてございませんけれども、昨年十一月に発表されました気候変動に関する米中共同宣言におきまして、中国は二〇三〇年ごろにCO2排出量のピークを達成するということを表明してございます。

島津委員 潘基文国連事務総長は、COP20に際してのビジネスフォーラムでのスピーチで、特に主要経済国及び先進国については、各国が自主的に決定する約束草案を二〇一五年第一・四半期までに提出するよう求めると呼びかけました。この主要経済国、先進国には、当然、日本も入っています。

 この二〇一五年第一・四半期というのはことし三月末までということですけれども、これに応えて、日本は、出そうとそもそも努力したんでしょうか、だけれども間に合わなかったのか。その辺のところをお聞かせください。

田中政府参考人 御説明を申し上げます。

 委員御指摘のように、昨年末のリマにおけるCOP20において、そもそも約束草案をつくる上で必要な情報ですとか外延などが明らかになったところでございます。

 我が国におきましては、COP20に先立つ昨年十月から、中央環境審議会と産業構造審議会に合同専門家会合をつくりまして、そこで議論を行っているところでございます。これまで六回会合を開催いたしまして、各種の政策について御議論をいただきましたし、そういう意味で、潘基文総長の呼びかけにも応えて、検討を加速化しているということでございます。

島津委員 再三聞いても、できるだけ早くとしか言いません。削減目標をいつまでに示すかさえ明言できない日本政府の責任は、非常に重たいと言わざるを得ません。原発の比率をどのぐらいにするか、いわゆるエネルギーミックスの見通しが確立していないことなどを削減目標が定まらない口実にするのは、国際的には通用しないと言っておきたいと思います。

 国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCは、地球の平均気温の上昇を、産業革命後、二度未満に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに二〇一〇年比で四〇から七〇%削減する必要があると指摘しています。これは間違いありませんね。

田中政府参考人 御説明申し上げます。

 委員御指摘の気候変動に関する政府間パネル、IPCCでございますけれども、その時々の気候変動とその影響及び関連する政策に関しまして包括的な評価を行うことを目的としている国際的な組織でございます。

 IPCC自体が、特定の政策ですとか特定の数字ですとか、これについて提言を行うということではございませんが、各国の政策決定において適切な、そういう科学的な知見を提供してきております。

 昨年公表されましたIPCCの第五次評価報告書でございますけれども、将来の世界の平均気温や温室効果ガス濃度などについてさまざまなシナリオがございますけれども、こういったシナリオについての評価を行っております。

 例えば、二一〇〇年に温室効果ガス濃度が二酸化炭素換算で約四五〇ppmまたはそれ以下となる排出シナリオですと、工業化以前の水準に対する気温上昇を二十一世紀にわたって二度未満に維持できる可能性が高いというようなこと、それから、こうしたシナリオですけれども、世界全体の人為起源の温室効果ガス排出量が二〇五〇年までに二〇一〇年と比べて四〇から七〇%削減されるという特徴があるというふうなことを客観的に示しているところでございます。

島津委員 ところが、そういう指摘があるわけですけれども、日本政府の対応はどうか。

 一九九七年に締結された京都議定書では、日本は、二〇〇八年から五年間で温室効果ガスを一九九〇年比で六%削減することを約束してきました。しかし、その後、京都議定書から離脱し、二〇一三年に暫定的に示した目標は、二〇二〇年までに二〇〇五年比で三・八%削減するというものですが、これは国際基準になっている一九九〇年比では逆に三・一%の増加になることから、国際的に批判を浴びています。

 気候変動に関する国際会議の会期中、世界各国の環境保護団体でつくる気候行動ネットワーク、これが化石賞という賞を各国に与えています。日本もこの化石賞というのをもらったことがあるんでしょうか。

尾池政府参考人 我が国が化石賞を受賞したことはございます。

島津委員 この化石賞というのは、前向きな取り組みを見せない国に対して贈られる不名誉な賞です。日本は、産油国と並んで、この化石賞の常連国になっています。京都議定書の基準年となった一九九〇年比で、排出量を減らすのではなく、三・一%もふやすという日本の目標に、気候行動ネットワークは、通常の化石賞では不十分だ、こう言って、日本に特別化石賞を与えました。何とも情けない話ではありませんか。

 通告しませんでしたけれども、外務大臣、日本が国際舞台でさらしているこのような事態をどのように思われますか。

岸田国務大臣 化石賞の受賞の経緯について詳細に申し上げることは控えたいと存じますが、こうした環境あるいは気候変動の議論、大変重要な議論であり、今日までさまざまな努力が続けられてきました。そして、この分野をめぐる環境自体が刻々と変化をしています。

 今現状の中で、そして本年、COP21を迎える大切な年に当たって、ぜひ、未来に向けて、日本としてのしっかりとした貢献を示していきたいと思っています。

島津委員 積極的にリーダーシップを発揮するという言葉にふさわしい、野心的な、それこそ世界をリードする積極的な削減目標を早く決めて早く出す、それでこそ世界の行動をリードする役割を果たすと思います。

 いろいろ、いつ出すかという議論がありましたけれども、COP21の議長国フランスのオランド大統領は、削減目標、欧州で合意が得られずにどうして大量排出国である中国やアメリカを説得できるのか、こう言って、四〇%というEUの目標合意を訴えています。そして、合意したわけです。そして、これまで後ろ向きだった二大排出国の中国、アメリカも、先ほどあったように、不十分さを残すとはいえ、目標を明らかにしました。これは、COP21での合意づくりへの前向きの姿勢を明らかにしたことは間違いないと思います。

 日本も、合意づくりに貢献するために、せめて、いつまでに出すのかということを明らかにすべきではありませんか。これも議論がありましたけれども、改めてどうでしょう。

田中政府参考人 我が国の二〇二〇年以降の削減目標でございますけれども、種々のCOPの決定、それから各国の動向、将来枠組みに関する国際的な議論の状況、こうしたこととあわせて、国内でのエネルギー政策、エネルギーミックスに関する検討状況、こうしたことを踏まえまして、できるだけ早く取りまとめるということを目指して、現在、関係府省庁で検討を深めているところでございまして、これをさらに深めていきたいというふうに思っております。

島津委員 何度聞いても同じような答えなんですけれども。

 期待の裏返しという議論がありました。期待に応えて、削減目標は、積極的にリーダーシップを発揮する、これにふさわしい、野心的な数値になると思うんですけれども、そのように作業していると思いますが、どうでしょう。

岸田国務大臣 削減目標については、今現在、既に目標を提出する国もあります、まだ提出していない国もあります。提出した中身について、いろいろな評価もあります。この中にありまして、ぜひ、我が国としまして、責任ある削減目標をしっかり策定するべく、しっかりと努力を続けていきたいと存じます。

 そして、この削減目標も含めて、COP21成功に向けて、さまざまな努力が求められます。さまざまな課題にしっかり取り組むことによって、全体としてCOP21成功に向けての議論全体をリードできるよう、努力を続けていきたいと考えています。

島津委員 ぜひ、ふさわしい、野心的な数値を出していただきたいと思います。

 次に、今回の法案で、我が国は緑の気候基金に最大で十五億ドル、円換算で、いろいろレートの問題はありますけれども、およそ一千五百四十億円、この拠出をすることになります。

 米国に次ぐ二番目という表明額なんですけれども、これは国によって対象期間が異なります。日本の場合は四年間でこの金額なんですけれども、二年という国もありますから単純な比較はできないわけなんですけれども、いずれにしても百二億ドル。

 これは、これまでもお答えがありましたけれども、改めて、この拠出されたお金はどのように使われるのか。プロジェクトの内容など、具体的にもう一度お答えください。

薗浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 拠出された資金についてでございますけれども、GCFの理事会の決定におきまして、開発途上締約国の温室効果ガス削減、いわゆる緩和の部分に五〇%、そして、気候変動の影響への対処、いわゆる適応分野ですけれども、こちらに五〇%の割合で配分をされることになっております。

 具体的な案件としましては、緩和の部分に関しては、例えば太陽光発電また風力発電の導入等の案件、そして、適応の分野に関しては、いわゆる島嶼国における護岸工事また洪水対策等が想定をされております。

 いずれにしても、このGCFが認証する実施機関からの申請に基づいて、理事会において選定をされるものと考えております。

島津委員 昨年十二月のリマでのCOP20の会場で、日本がインドネシアに建設する石炭火力発電所への支援として拠出した約十億ドルが、温暖化対策を目的とする基金から出ていた、このように批判されました。緑の気候基金の事務局長も、資金が限られている中で、気候変動にどれだけよい影響を与えるかで優先順位を決める、こういう表現で、日本が輸出拡大を狙う高効率の石炭火力発電への投資に否定的な考えを表明しています。

 このインドネシアへの石炭火力発電の支援というのは本当なんでしょうか。

三田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、インドネシア、バタン、こちらにおきまして石炭火力発電所の計画がございまして、これにつきまして、現在、国際協力銀行におきまして融資を検討しているところでございます。

島津委員 このCOP20で、日本の気候資金援助にインドネシアの石炭火力発電所建設が含まれた、これが報道されて、事務局長が懸念を表明する。国際的にも大きな反響を呼んでいます。この件でも化石賞を受けているわけです。

 石炭火力発電所は、どんなに高効率でも、天然ガスの発電に比べれば、キロワット当たり二倍のCO2を排出します。アメリカは、国内の石炭火力発電所の規制とともに、公的資金供与による途上国への支援で石炭火力発電はしないことを決めました。イギリスなども同様です。各国のエネルギー開発などの融資を行う世界銀行も、石炭火力発電所への融資制限方針を決定し、再生可能エネルギーにかじを切っています。

 日本の政府出資一〇〇%の国際協力銀行があります。海外での石炭火力事業への投資を行ってきましたけれども、二〇〇三年から二〇一四年までに、どの国に何件の石炭火力発電所建設を、融資して、手がけているのでしょうか。

三田政府参考人 お答え申し上げます。

 国際協力銀行の石炭火力発電所に関する支援でございますが、把握できる限りの情報といたしまして、二〇〇三年から二〇一四年十二月までの間、インド、インドネシア、ベトナム等の石炭火力発電関連事業向けに、二十五件の融資等の承諾実績がございます。

島津委員 それでは、その発電総量はどれだけになるんでしょうか。

三田政府参考人 これらのプロジェクトの総発電容量は、合計で約二十五ギガワットでございます。

島津委員 時間がなかったものですから事前にレクを受けられなかったものですから、私、独自に調べたんですけれども、「環境・持続社会」研究センターというところの試算では、二十一件で二十ギガワット、それ以上だという話なんですけれども。この二十一件に限ってみても、石炭火力発電の推定年間CO2の排出量は約一・二億トン、日本国内の年間CO2排出量の約一割に当たります。国内の石炭火力発電所排出量の半分以上。

 JBICは、海外の石炭火力融資制限を発表していない世界最大の金融機関になっています。こうして日本は、海外での石炭火力発電所建設を促進する役割を果たしてきました。

 このJBICが融資を予定しているインドネシアのバタンで、石炭火力発電所建設に反対する運動が起きています。これは御承知ですか。

三田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございましたインドネシアにおける石炭火力発電所につきましては、用地取得につきまして、現在までに八割以上の取得を終えているところでございますが、残りの二割弱につきまして用地買収に応じない住民がおり、デモなどの反対運動も行われている、このように承知しております。

島津委員 バタンでは、石炭火力発電所の建設計画が、住民や、環境に与える深刻な影響を訴える環境NGOの皆さんや、豊かな農地、漁場を奪われる住民の皆さんが力を合わせて運動を進め、推進派による脅迫や暴力をはね返して、四年間にわたって計画をとめてきています。

 昨年秋には、バタンの現地の住民の方が来日して、外務省やJBICに直接中止を要請しています。このときに、外務省はどのような対応、返事をしたんでしょうか。

滝崎政府参考人 お答えいたします。

 抗議を受けたというのは、外務省ではなくて財務省ではないかと思いますので、財務省の方から答弁はさせていただきます。

三田政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省は、昨年九月十日に、本プロジェクトに反対する住民より要請書を受領いたしました。

 これを受けまして、財務省といたしましては、所管官庁として、国際協力銀行が、同行が定める環境社会配慮確認のためのガイドライン、これにのっとりまして、引き続き、現地住民の声を聞きつつ適切に環境社会配慮の確認を行うよう、監督をしております。

島津委員 そういう対応だったそうですが、ことしの三月二十四日付で、バタン・コミュニティーがJBICに対して、融資拒否の意思を示すレター、要請書が送られてきました。このレターの最後には、このように訴えているんです。

 私たちバタンのコミュニティーは、例えば、ハイブリッドソーラーや風力、バイオマス施設、ソーラー配電網、エネルギー効率機器など、再生可能エネルギーが私たちの村や県で計画されるのであれば、歓迎する用意があります。また、インドネシアで私たちが持つすばらしい地熱や、その他の潜在性の高い再生可能エネルギーに対して、貴行が融資支援をすることを歓迎します。私たちは、バタン石炭火力発電所への投資よりも、そうした投資が私たちのコミュニティーや国にずっと多くの恩恵をもたらすと考えます。

 こういう訴えです。

 この訴えに応えて、環境温暖化を促進し、現地の方にも歓迎されない石炭火力発電ではなくて、温暖化対策にもストレートにつながり、現地の方からも歓迎される再生可能エネルギーの支援に切りかえるべきじゃないんでしょうか。

三田政府参考人 お答え申し上げます。

 本プロジェクトにつきましては、インドネシア側におきまして、急速に増加する電力需要に対応すべく、さまざまな発電方式や燃料の比較検討がなされた結果、高効率な石炭火力発電を推進する、そのような結論になった、このように理解しております。

 我が国といたしましては、本プロジェクトにおいても、国際協力銀行が適切に環境社会配慮の確認を行うよう、監督していく所存でございます。

島津委員 国の要請があったそうですけれども、日本のスタンスとして、やはり石炭火力じゃなくて再生可能エネルギーという方向にぜひかじを切っていただきたいと思います。

 それでは、緑の気候基金では、基金を使って行う事業を理事会で決めるわけなんですけれども、コンセンサスが得られない場合の意思決定の手続というのはどのようになっているんでしょうか。

薗浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 現時点においては、理事会の決定はコンセンサスにより行われることになっておりまして、基本的に、それが得られない限り、事業が支援対象として理事会で決定されることはないというふうに私どもは認識をしております。

 いずれにしても、得られない場合のルールについては、現在理事会において議論をされているところでございますので、この議論の推移を見守っていきたいと考えております。

島津委員 国際環境NGOなどは、石炭火力発電を初め化石燃料系事業を投資対象から外す要望を出しています。世界の動きからも逆行する石炭火力も投資対象にすべきなどと日本が主張すれば、世界の笑い物になってしまいます。まさかそんなことはこの理事会で主張しないでしょうね。

薗浦大臣政務官 同基金において、案件の選定基準において、特定の技術に対する是非というのは示されておりません。理事会の決定にはコンセンサスが必要とされているところでございますので、我が国としては、今後、基準に沿った適切な支援案件が採択されるように努めてまいりたいと考えております。

島津委員 ですから、日本としても、温暖化対策に逆行する石炭火力発電を途上国の支援から外すよう主張すべきだと思います。

 繰り返しますけれども、確認しますけれども、緑の気候基金では、日本が拠出した資金が途上国で石炭火力発電に使われることはないですね、ないようにしますよね。

薗浦大臣政務官 繰り返しで大変恐縮ですけれども、この基金における基準については、どれがよくてどれがだめだという選定基準というのは、技術に対する是非が示されておりませんので、いずれにしても、さまざまな御意見を参考にしながら、我が国として、適切な案件が採択されるように努めてまいりたいと思っております。

島津委員 繰り返しますけれども、たとえ高効率でも、キロワット当たりLNGの二倍のCO2を排出する石炭火力発電所の新設、この支援を気候支援資金に含める先進国は日本のみと言っていい状況です。気候変動の科学からも大きく乖離していることを改めて指摘したいし、緑の気候基金でも、その姿勢を、これから石炭火力は含めないという姿勢を貫いていただきたいと思います。

 次に、資金の投入先や透明性、事業の詳細に関する情報公開、これはどのようになっているんでしょうか。

薗浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 基金の情報公開ポリシーに従いまして、可能な限り、理事会の文書及び決定というものをホームページ上で公開することになっております。

 また、理事会の議論については、いわゆる市民団体の方々、また、民間企業の方々の中で登録をされたオブザーバー機関からの参加者も傍聴することが可能になっております。また、これらの団体の代表については、理事会において発言をすることも可能になっておりまして、発言権が与えられる仕組みになっております。

 我が国といたしましては、理事会の協議及び決定が理事国及び締約国を初めとする多様なステークホルダーにとって透明性のあるものになるよう、これからも対応してまいりたいと考えております。

島津委員 理事会の議論の際に、市民参加の保障という点でオブザーバーとしての参加ということなんですけれども、そうすると、発言権はないということですね。

薗浦大臣政務官 済みません。このいわゆるオブザーバー機関の参加者も、傍聴が可能になっているとともに、理事会での発言権も与えられております。

島津委員 いずれにしても、議論がオープンに行われ、基金の活用先、事業内容などに環境団体を初めとした市民の声が反映されるよう、日本としても力を尽くすよう求めます。

 緑の気候基金の事務局は、四月末までに各国の契約金額の半分の調達を目指しています。そのためにも日本の迅速な手続が不可欠です。

 地球温暖化は、将来の話ではなく、熱波、熱中症、デング熱など、また、台風の巨大化、集中豪雨、土砂災害など、あるいは農漁業への影響など、今生きている私たちがその影響を目にするところまで来ています。

 気候変動に関する政府間パネルのジム・スキー共同議長は、EUが決めた四〇%削減目標についても、二〇五〇年までに世界の平均気温上昇を二度未満に抑えるとしたCOPの最終目標から見ると、二〇三〇年までに四〇%削減では少な過ぎるし遅過ぎる、このように指摘しています。仮に三〇年までの目標を達成しても、その後の二十年間はさらに三倍のペースで削減する必要がある、こういう見通しも述べています。

 温室効果ガスの削減のためには、省エネなど低エネルギー社会への転換や、温室効果ガスを排出しない太陽光など再生可能エネルギーの活用が不可欠です。日本はこの面でもおくれています。

 日本にまず求められるのは、原発依存への固執をやめることです。一旦事故が起これば、取り返しがつかなくなるだけでなく、建設そのものに莫大なエネルギーを必要とし、省エネや再生エネルギーの取り組みも妨げます。IPCCの報告書も、原発は各種の障壁とリスクが存在すると指摘しています。

 福島第一原発の事故で大量の放射性物質を漏れ出させ、環境を破壊してもなお原発に固執するのであれば、日本政府の異常さを証明するだけです。原発ゼロを実現し、原発も温暖化もない世界の実現に貢献すべきです。

 本法案を契機に、世界第五位の温室効果ガス排出国である日本が、文字どおり積極的にリーダーシップを発揮する、この決意を改めて大臣に最後にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、ことし、国際社会にとって環境、気候変動問題が大変重要な課題の一つとして、ますます注目が集まっております。

 我が国としましても、しっかり責任を果たすよう努力をしていきたいと考えます。

島津委員 終わります。ありがとうございました。

質問の映像へのリンク

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