―島津議員発言部分抜粋―
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○島津委員 日本共産党の島津幸広です。
水銀に関する水俣条約を担保する二つの法案について質問いたします。
水銀は、微量でも生物の体の中に蓄積、濃縮され、食物連鎖の中でさらに濃縮されます。水銀条約の目的は、「水銀及び水銀化合物の人為的な排出及び放出から人の健康及び環境を保護すること」とされています。
まず、望月大臣に基本的な認識についてお伺いしたいと思います。
今回審議する二つの法案も、この目的を国内で達成するために制定するものですね。
○望月国務大臣 先生おっしゃるとおりでございまして、我々は、この法案を出させていただくのにはそういった決意を持って、もちろん、水俣という大変な経験がございました、もう二度とこういったことが起こらないようにという気持ちを込めております。
我が国にとっても大変重要な条約でございまして、今のお話のように、人の健康それから環境を保護することを目的として、しっかりと対応するために規定をされているわけでございまして、この条約の的確な実施の確保に向けてしっかりと取り組んでいきたい、このように思います。
○島津委員 それでは、具体的なことをお伺いいたします。
まず、水銀による環境の汚染の防止に関する法律です。初めに、定義について伺いたいと思います。
水銀使用製品とは、具体的にどのようなものを指すんでしょうか。乾電池、蛍光管、体温計、血圧計などを想定していると思うんですけれども、ほかにはどんなものを想定しているんでしょうか。
○谷政府参考人 お答えさせていただきます。
本法案におきましては、水銀及び水銀化合物が意図的に使用されている製品を水銀使用製品と定義しております。
また、条約では、条約附属書A第一部に規定されております、先生御指摘の電池、蛍光ランプ、スイッチ、計測器等の水銀を使用した製品につきまして、適当な措置をとることにより、製品ごとに設定された段階的廃止期限で製造を許可しないことが求められております。
○島津委員 もうちょっと具体的に聞きたいと思ったんですが。
それでは、特定水銀使用製品、これは政令で定めるとしていますけれども、具体的にどのようなものを想定しているんでしょうか。
○谷政府参考人 お答え申させていただきます。
特定水銀使用製品は、先ほど申させていただきました条約附属書A第一部に規定されております電池、蛍光ランプ、スイッチ、計測器等の水銀を使用した製品の中から、政令で定め、製造に係る規制の対象とすることを目指しております製品を特定水銀使用製品としております。
○島津委員 だから、それを、例えば具体的にどういうものかというのをお答え願いたいと思ったんですけれども、時間がありませんので。
その上でお聞きしたいんです。
十七条で、法案では、例えば、市町村は、「その区域内における廃棄された水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」こうあります。この「適正に回収」、これは具体的にはどういうものを想定しているんでしょうか。
○鎌形政府参考人 お答え申し上げます。
法案の十七条にございます、適正に回収するということでございますが、可燃物に混入して焼却されたり、あるいは回収時に破砕によって廃棄物に含まれる水銀が飛散したり、そういったことにより環境汚染が生ずることのないように、管理された状態で回収方法をとるということを想定してございます。
○島津委員 わかりました。
乾電池、蛍光管あるいは血圧計、体温計など、いわゆる水銀含有廃棄物についての取り扱いは、今、これまでも議論がありましたけれども、全国各地の自治体でさまざまです。
大臣がお住まいの静岡市、私も住んでいるわけなんですけれども、静岡市ではこういう「ごみの出し方・分別ガイドブック」というものを出しているんです。これは各家庭に配って、恐らく大臣の御自宅にもあると思うんです。
この中で、では水銀の関係はどうなっているかということなんですけれども、「乾電池、ライター、水銀を使用している体温計や温度計等の出し方」ということで、不燃、粗大物を出すということで、これは見える袋に入れて出すんです。静岡市の場合は、不燃、粗大ごみというのは、市民が市役所に電話しまして、そして受け付けてもらって、月一回それで回収する仕組みになって、体温計などはそうやって出している。
ところが、蛍光管はどうなっているかといいますと、その他の不燃、粗大ごみということで、市の指定の袋、その中に、例えば傘だとか炊飯器だとか割れたガラスだとか、そういうものと一緒になって出している。ですから、出すと、パッカー車に入れてぐわっとかき回して破砕されてしまう、こういう状況になっているわけです。
それから、名古屋市にも伺ってきましたけれども、名古屋市も蛍光管はやはり運搬時にバリバリと割っていくという話でした。
一方、同じ静岡県でも富士市では、同じように、ごみの分け方分別帳というのを各市民に配っていて、割れていない蛍光管はということで、ただし書きもつけて、そして回収も割らないように持っていく、こういうふうになっているわけですけれども、こうした全国の状況、実情について、どのように掌握しているんでしょうか。
○鎌形政府参考人 市町村によります水銀添加廃製品の分別回収の状況ということでございますけれども、全体的な数字といたしましては、先ほど来出ておりますが、家庭から排出される体温計や蛍光灯等の水銀添加廃製品については、現時点で約七割の市町村で分別回収が行われているということでございます。
その分別回収のあり方でございますけれども、例えば蛍光灯、電池といった分別区分で定期的な回収を行ったり、あるいは小売店の店頭に回収ボックスを設置したり、そういったさまざまな、市町村の事情に応じた工夫により分別回収が行われているというふうなところまで把握してございます。
○島津委員 七割ということなんですけれども、七割というのは自治体の数なわけで、実際には、先ほど言ったように、名古屋だとか静岡市だとか、大きな都市も含まれているわけです。ですから、同じ蛍光管一つとってみても、やはり大都市の方がたくさん出るわけで、単純に七割というのが、蛍光管の七割が処理されているということではないわけですよね。
大臣に改めて聞きたいんですけれども、少量、微量とはいえ、有害な水銀が大気中に放出されている状況が、こういう形で残されているわけです。いわば野ざらしにされている。こういう状況についてどのように思われますか。
○望月国務大臣 まず今、静岡市、先生と我々の住んでいる町でございます。その御指摘がございました。私も早速ちょっと調べさせていただいたんですけれども、不燃、粗大ごみという区別でやはり収集している、パッカー車で収集する場合もある、そういうことでございますのは先生御指摘のとおりでございます。
こういった方法で、収集時に蛍光管が割れて水銀が放出される可能性があるということ、これは、やはり静岡市に限らず、今後はこのような収集方法を改善するべきである、私もこのように思います。非常にいい御指摘をいただきました。より適切な分別回収事例の紹介を、やはり我々の方からそういう町々にお知らせをして、そういう技術的な支援もしていきたい、このように思います。
それから、今の処理の問題でございます、環境問題でございますが。分別回収されていない自治体でございますが、水銀添加廃製品は、基本的には不燃物として取り扱われておりまして、管理型の最終処分場に埋め立てをされておるわけでございます。
管理型の最終処分場というのは、実は、遮水工で内部の水が地下水に漏れないようになっている構造になっておりまして、水銀に係る排水基準の設定等により適正な管理が行われているということになっております。そういった意味では、生活環境保全上の支障を起こすおそれはない、こんなふうに思っております。
それから、水銀添加廃製品が可燃物に混入した場合でございますが、廃棄物焼却施設において焼却されることになりますけれども、排ガスの処理工程では、水銀はばいじんに付着して除去されておりますので、大気中の水銀濃度は健康影響が生ずるレベルにはない、こんなふうに我々は思っております。そういったことが既に焼却場でなされておりますので、そういったことでは、レベル的には人に被害を与えるというようなことがない、このように認識をしております。
○島津委員 微量とはいえ、やはり蓄積されていくわけですから、非常に大事な問題だと思うんですけれども。
市町村では、いずれにしても、今回の条約それから法律に向けて新たな対策が求められるわけなんですけれども、やはり大きな課題として懸念されているのはコストの問題なんです。
蛍光管は資源としても有効利用できるわけなんです。しかし今、自治体によっては、私が行ってきたところも、静岡市も名古屋もそうなんですけれども、現在の回収ルートとは別に、水銀使用製品の回収ルートを新設する、蛍光管なんかのを新設していくということなので、当然コストがかかるわけです。伺った自治体の皆さんは、皆さん口をそろえてこのことを心配されていました。
静岡市は、実は以前は、縦長の蛍光管も、パッカー車の横に積むスペースがありまして、そこに積んで運んでいたそうなんです。ところが、行革でパッカー車が小さくなりまして、積む場所がなくなっちゃって、それでガラガラやっていくようになったということを伺ったんですけれども、コストの問題が非常に問題になっている。
名古屋市で聞きましたら、新たに水銀製品を分別収集するとなると、今現在やっているほかの分別のものをやめて、かわりに水銀にしなきゃいけないことも考えられるという、かなり財政的にも厳しい話を伺ってきたんです。
こういう新たに生まれるコストというのは、全て市町村の負担になるんでしょうか。
○鎌形政府参考人 一般廃棄物の処理につきましては、廃棄物処理法に基づきまして市町村が行うものとされてございます。家庭から排出される水銀添加廃製品の分別回収に係る費用につきましても市町村で御負担いただくということになります。
一方、環境省としては、水銀使用の規制が強化される中でリスク管理の重要性が高まっていくということで、水銀体温計などの退蔵品について短期間で集中的に回収できるように関係機関の協力を求めるといったことなどによりまして、市町村の負担のできる限りの軽減を図ってまいりたいと考えております。
○島津委員 国はお金は出さないということに聞いたんですけれども、法案では、「市町村は、その区域の経済的社会的諸条件に応じて、その区域内における廃棄された水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」こうしているわけです。
「経済的社会的諸条件に応じて、」こうただし書きがあるわけなんですけれども、そうしますと、その諸条件が整っていない市町村はどうすればいいのか。極論すれば、経済的、社会的諸条件が整っていない市町村では何もできない。そうなると、法律自体の実効性が問われるわけです。その場合、国としてどうするんでしょうか。
○鎌形政府参考人 法案の十七条では、「その区域の経済的社会的諸条件に応じて、」ということでございますけれども、いずれにしても市町村は、適正に回収する努力をいただくということでございます。
いずれにしても、本条文の案につきましては、市町村の適正な回収によって水銀による環境保全上の支障の防止をするという目的を達成するということが趣旨でございます。その意味で、各市町村がそれぞれの状況に応じてやっていただくということ、できる限り適正な回収の努力をしていただくということを求めていくということでございます。
○島津委員 実際に市町村が困っているわけですから、そこのところはよく耳を傾けていただきたいと思うんです。
それでは、一般家庭から出るものはそういうことで市町村がやっていくわけなんですけれども、事業所から出される水銀使用製品についてはどのようにカバーしていくというふうに考えているんでしょうか。
○鎌形政府参考人 水銀を含む産業廃棄物についての扱いということのお尋ねですが、これも廃棄物処理法におきまして、産業廃棄物につきましては排出事業者が処理責任を有するということとされてございます。その意味で、産業廃棄物として処理する際には、廃棄物処理法に基づきまして、排出事業者において適切に処理をする、そういうことが求められるということでございます。
○島津委員 排出事業者の責任ということなんですけれども、規模の大きい、体力のあるところはいいわけなんですけれども、中小零細だとか体力がないところ、これは市町村も同じなんですけれども、そういうところについては、お金がないから、体力がないから、適正処理はやはりコストがかかるわけです。
そうしますと、やはり不適切に処理するということにもなりかねないわけですけれども、そういう場合に対する支援といいますか、中小零細、そういうところは考えていないんでしょうか。
○鎌形政府参考人 いずれにいたしましても、廃棄物処理法の原則といたしましては、産業廃棄物につきましては排出事業者が処理責任を有するということでございますので、水銀につきましてもその原則で対応したいと思いますけれども、技術的な助言をするとかそういうことで、できるだけ円滑に処理が進むように支援してまいりたいと思います。
○島津委員 いずれにしても、しっかり支援していただきたいと思うんです。
次に、事業者の責務について伺いたいと思います、製品製造の。
事業者の責務としては、水銀等の使用に関する表示と情報を提供する努力義務が示されています。つまり、市民、消費者が分別するのにわかりやすいように水銀含有の表示をするというふうに理解しているわけなんですけれども、どのように情報提供を行うのがいいというふうに考えているんでしょうか。
○北島政府参考人 お答えいたします。
水俣条約におきましては、水銀使用製品の水銀含有に関する情報提供は求められておりませんが、正確な情報を消費者に伝達することで、廃棄する際に当該製品に水銀等が使用されていることを認識できるようにすることが重要だと考えております。また、この情報の伝達は、消費者が製品を選択する際にも効果があると考えております。
このため、本法案におきましては、条約の要請より踏み込んだ措置として、水銀使用製品の製造や輸入を行う事業者が水銀等の使用に関する表示を行うことなどにより、消費者が適切に分別排出するために必要な情報を消費者へ提供する努力義務を規定しております。
なお、情報提供とは、製品本体への表示だけでなく、製品ごとの特性も踏まえ、製品の包装、製品に添付される書類等によることも想定しております。また、事業者向けの水銀使用製品につきましては、製品カタログ、製品を紹介するウエブサイト等によることも想定しております。具体的な情報提供の方法につきましては、今後検討してまいります。
○島津委員 今聞いていましても、事業者の責務としては、率直に言って軽過ぎると言わざるを得ません。
この製品には水銀を使っていると表示するだけでメーカーの責任が本当に果たせるんでしょうか。水銀が持つ人体への悪影響を考えると、例えばメーカーに対して、使用済み商品の回収、あるいは販売店回収に協力してもらう、こういうことなんかも積極的に求めていくべきだと思うんです。
ましてや、水銀使用製品は粗大、不燃ごみとして廃棄できなくなるのが明確になる以上、今後は処理まで見据えての製造、拡大生産者責任を徹底すべきだと思うんですが、どうでしょうか。
○鎌形政府参考人 水銀の廃棄物に関しましては、廃棄物処理法に基づいての対応ということになります。条約の履行に伴いまして廃棄物になってくるものが多くなってくるということも想定されますが、いずれにしても、廃棄物処理法に基づき、排出事業者の責任でまずは処理いただくということが原則になるということだと考えております。
○島津委員 なかなか納得いく答弁じゃありませんけれども。
これまで見てきたように、市町村も非常に厳しい財政状況の中で、さまざまな苦労や努力や工夫が必要になります。事業者の責任も曖昧。
では、国の責務、これはどうでしょうか。法案では、国の責務について、「技術的な助言その他の措置」、こうあります。これは具体的にはどういうことを意味しているんでしょうか。具体的にお答えください。
○北島政府参考人 技術的助言につきましては、市町村に対して、分別回収に関する先進的な取り組み事例や、水銀が飛散しやすい蛍光管や体温計等の回収時における留意点などをガイドライン等で示すことなどを考えております。
その他の措置につきましては、水銀の使用に関する表示等の事業者が行う情報提供に関するガイドラインを作成し、事業者に求められる具体的な取り組みの内容を明らかにすることなどを考えております。その中で、対象範囲や消費者にとってわかりやすい表示のあり方等についても盛り込んでいきたいと考えております。
○島津委員 国の責任、今お答えがあったんですけれども、それだけだとやはりいろいろな問題が出てくると思うんです。とりわけ、自治体にとっては取り組みの温度差が出てくることはもう明らかだと思うんです。適正回収が徹底されないままになってしまわないのか、非常に危惧します。条約に基づいた取り組みは全国で足並みがそろうようにすべきだと思うんです。
財源がネックだということなんですけれども、例えば静岡市は、こういうことで毎年毎年市民に出し方で徹底しているんです。例えば蛍光管一つとってみましても、蛍光管の中に水銀が入っているということを知っている市民というのは本当に少ないんです。今回、行政の担当者も初めて伺って驚いたということも聞いたんです。そういうところから始めなきゃいけないということでは、この果たす役割というのは大きいと思うんです。
ところが、名古屋市に行きましたら、名古屋は人口も世帯も多いもので、いたし方ないなと思ったんですけれども、何年か前に一回出した後、お金がかかるものですからこれはその後は出していないというんですよ。市のホームページで見ていただきたいと。それから、転入があった場合には、こういうきちんとしたものじゃなくて、簡易版をお渡しするというんです。
何年か前に出したものを見せていただいたんですけれども、本当に事細かくなっているんですね、あいうえお順になって。例えば、体温計のたのところを見ると、これは何ページを見なさいということになって、事細かく書いてあるんです。ところが、お金がないからそういうものが市民のところに行かない、こういう問題が実際にあるわけなんですよ。
ですから、改めて大臣に伺いたいんですけれども、本当にこの条約に基づいて、国内担保法で水銀の排出を少なくしていく、健康を守る、環境を守る、こういう立場からやっていくんだったら、やはり国がきちんと財源も含めて援助すべきじゃないかと思うんですけれども、大臣のお考え、決意を伺いたいと思うんです。
○望月国務大臣 各町によって、さまざまな、市民に対する伝達というか、そういったものが、予算的なこととかさまざまな問題で、やはりこれは首長だとかそういう皆さんの方針によるのかなと思いますが、どこが大切かということで、やはり予算の追加だとか、いろいろあると思います。でも、それはさまざまな、町の事情、大きい、小さいもございますし、財政事情もございます。
ただ、我々としては、この条約を通させていただいて、上乗せ規制ではないんですけれども、日本の国は、やはりそういった経験を生かして、できる限り皆さんにこういったことを徹底していきたいなと思います。
ただ、今後、予算とかそういうものにつきましては、やはり、財政当局といろいろ話し合いもしていかなきゃならないものもございますので、今的確には、そういったものについて御返事はできませんけれども、さまざまな面で、我々は、各市町村の御指導だとか、それから我々が知り得た技術開発とかそういったものをお知らせしていきたい、そういう努力を怠らないようにしていきたい、このように思います。
○島津委員 財政的な支援も含めて検討していくということでよろしいですね。
次に、大気汚染防止法の一部改正について伺いたいと思います。
国際条約は、いろいろな国の合意ですから、全ての国が合意できる内容とすると、進んだ内容、厳しい内容ということよりも、全ての国ができることということになっていくわけです。しかし、条文では、先進的な取り組みを各国が行うことは妨げていないわけです。
水俣病を体験した日本は、水銀の規制でやはり世界をリードする、まず大臣の答弁でありましたけれども、この役割を果たす必要があるわけです。最低限の取り組みじゃなくて、より条約の目的に資するような取り組みを行うべきだと思います。
通告してありませんが、この点での大臣のお考え、決意をお聞かせください。
○望月国務大臣 もちろんです。これは条約でございますので、各国横並びで、どこの国もこういう条約に入っていただいて、そして、二度とあの水俣のような、この水俣という名前をつけていただいておりますので、こういったことがないように、我々の国の経験を生かして、この条約をなるべく早く締結できるように、各国に入っていただく、そういうことをしていくわけであります。
なおかつ、我が国としては、それぞれ、さまざまな状況、状態がございますので、そういったものに対して、できるところから、上乗せといいますか、そういったものでさまざまな施策をしていきたいなということでございますが、それは、これから環境審議会だとかさまざまなところで、いろいろな学識やさまざまな先生方の御意見を伺って、そういう中で、我々はそういったものを積み重ねていきたいな、こんなふうに思っております。
○島津委員 時間がありませんので、幾つか聞きたかったことがあるんですけれども、鉄鋼関係の話です。
これまでも議論がありましたように、条約の五つの施設に入っていないということですから、日本は、外さずに自主規制ということなんですけれども、鉄鋼業界を規制対象にしようという話は、全く議論の中では出てこなかったんでしょうか。
○三好政府参考人 お答え申し上げます。
まず、条約交渉時点におきましても、鉄鋼関係の施設を条約の対象施設とするかどうかというのは、国際的にも議論がございました。
また、我が国でも、先ほど御答弁申し上げました、中央環境審議会でこの条約の担保措置を検討する過程におきまして、条約で求められている五施設に加えまして、この鉄鋼製造施設を規制対象に加えるべきかどうか、あるいはどのような取り組みを求めていくかということにつきましても、中央環境審議会で議論されたところでございます。
○島津委員 鉄鋼連盟は、中央環境審議会のメンバーにも入っています。一緒に審議しているわけなんですけれども、その審議の際に、昨年九月ですけれども、鉄鋼製造施設における水銀排出抑制に関する意見書というのを出しています。その中で、日本で規制対象にすると、大規模な設備投資の影響が大きい、つまりコストがかかる、こう言って、国際競争の観点から公平性を欠くなどとして、自主的な取り組みを業界として要望しているわけです。
今回、規制、確かに条約では入っていませんけれども、日本においては大気への排出量が二五%と多いわけです。こういう中であえて自主規制というのは、やはり業界の圧力があったからなんでしょうか。
○三好政府参考人 先ほど私、中央環境審議会で審議したというふうに申し上げましたけれども、水銀大気排出対策小委員会では、法律、工学、医学、地方行政等の専門家のほか、消費者や事業団体からの有識者によって構成されておりまして、御指摘の鉄鋼連盟からの意見書のほか、水銀の大気排出に関連する業界団体からのヒアリング等も踏まえて御議論いただきましたところでございます。
先ほど申し上げましたとおり、水俣条約上排出規制が求められている五種類の施設に加えまして、この鉄鋼関連施設を条約の規制対象と同程度の排出をしている施設としてどのように対処していくかということにつきましても、中央環境審議会で大いに議論されたところでございますけれども、水俣病経験国といたしまして、規制対象は条約の排出規制が求められている五種類とするものの、条約の趣旨を積極的に捉えるという観点から、鉄鋼施設のように、我が国において条約対象施設と同等に水銀を相当程度排出している施設につきましては、条約対象施設に準じた排出抑制の取り組みを求めることが適当とする旨の答申を取りまとめていただきまして、それを法案にも反映させていただいたところでございます。
○島津委員 私は、今回の問題で自治体等に調査に伺ったんですけれども、ある自治体の担当者から、なぜ鉄鋼製造は排出規制の対象の施設に入っていないのですかという質問を受けました。これはやはり、多くの国民の皆さんの中にある率直な疑問だと思うんです。自分で基準値を決めて測定した値を公表する、この方法で本当に削減が進む保証があるんでしょうか。せめて基準値は環境省が決めてはどうでしょうか。
○三好政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げましたとおり、今回の法案では、事業者がみずから管理基準を設定することを求めております。こうした管理基準の内容を含めまして、自主的取り組みの実施状況につきましては、その定期的な公表を義務づけることとしておりまして、国民の皆様の厳しいチェックのもとに置かれることから、実質的にはしっかりとした自主的取り組みを行うことが担保されると考えております。
加えまして、必要な排出抑制措置が講じられるように、国といたしましても、審議会等におきまして、自主的取り組みの状況について定期的に把握、評価を行っていくこととしておりまして、排出抑制が適切に進められるものと考えているところでございます。
○島津委員 時間が来ましたので終わりますけれども、最初に確認しましたけれども、条約の目的は、人の健康と環境を水銀から守ることです。そのために人為的な水銀の排出をできる限り抑制する、このためのものなわけです。
排出された水銀はなくなることはなくて、世界を循環し、食物連鎖の中に入り込みます。その総量を世界で協力して減らそうとしていくという大きな大きな目的があるわけです。日本は、できる限りその貢献をしていく、大臣繰り返し答弁ありましたけれども、この分野でも世界をリードしていくべきだと思うんです。
条約よりも一歩二歩進んだ規制、そして技術革新を求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。