しまづ幸広(日本共産党衆議院議員)-浜岡原発廃炉、静岡から政治を変えよう
国会質問

質問日:2016年 10月 28日 第192国会 本会議

パリ協定批准に関する質疑

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島津幸広君 私は、日本共産党を代表して、パリ協定について関係大臣に質問します。(拍手)

 パリ協定は、産業革命後の地球の平均気温の上昇を二度未満、さらに一・五度に抑える努力を行い、今世紀後半の温室効果ガスの排出を実質ゼロにするために、先進国も途上国も参加し、法的拘束力を持つ、これまでにない取り決めとなりました。深刻化する温暖化への危機感を共有した世界の脱炭素化の流れに逆らい、批准が大幅におくれた安倍政権の責任は極めて重大です。

 ことし四月には、国連本部においてパリ協定の署名式が行われ、日本を含む百七十五の国とEUが署名しました。各国が一斉にスタートラインに立っていたのに、なぜ日本は出おくれてしまったのですか。

 総理は、臨時国会の所信表明演説でパリ協定に一言も触れず、今国会の最重要課題にTPPを挙げました。人類の生存の脅威となる地球温暖化対策よりも、米国や多国籍企業の利益を図るTPPを優先させる、パリ協定を重視していない姿勢のあらわれではありませんか。

 現在、パリ協定は、温室効果ガス最大排出国である中国を初め、アメリカ、インド、EUなど八十三カ国が批准し、総排出量が約六一%となり、十一月四日に発効することとなっています。政府は慌てて、十月十一日に承認案を閣議決定し、国会に提出しました。なぜ、米中を初め各国が批准するまで国会に提出しなかったのですか。政府関係者から、読み違えた、こういう声が聞こえてきます。様子見をしていたのではありませんか。

 なぜこんなことになったのか。ことし四月の地球温暖化対策計画案へのパブリックコメントで、日本経団連は、パリ協定の締結については、アメリカが合意しながら離脱した京都議定書の教訓を踏まえ、各国の対応を慎重に見きわめる必要がある、こう述べています。日本の経済産業界からの主張に従って、世界第五位の排出国日本の責任と役割を果たせなかったのではありませんか。答弁を求めます。

 次に、パリ協定に基づく国内対策について聞きます。

 まず、温室効果ガスの削減目標です。

 産業革命後の地球の平均気温の上昇を二度未満に抑えるという目標は、現在批准している各国の排出削減目標を積み上げても到底及びません。その中で、世界五位の排出国日本の目標は、二〇三〇年度に一三年度比二六%削減という極めて不十分なものです。これで、五〇年までに八〇%削減するという長期目標と整合性がとれるのですか。COP22の決定に基づき、二〇二〇年までに削減目標を引き上げるべきではありませんか。

 安倍政権のエネルギー政策は、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電所に依存しています。現在、国内で新増設が予定されている石炭火力は四十八基、合計二千二百八十四・六万キロワットです。これを全て稼働すれば、排出量が約一割ふえます。山本環境大臣は、二十六日の参院外交防衛委員会で、石炭火力発電所を新増設するということは世界の潮流に反する、こう答弁しています。石炭火力発電所の新増設は直ちに中止すべきではないですか。

 安倍政権は、石炭火力とともに原発をベースロード電源と位置づけ、原発の再稼働を推進してきました。東電福島原発事故から五年半、いまだに事故原因の究明もされず、多くの被害者を苦しめながら、再稼働など許されません。ましてや、温暖化対策として再稼働を進めるなどもってのほかです。答弁を求めます。

 政府は、温室効果ガス排出量がふえているからと、家庭や事業所に大幅な削減を求めていますが、その大部分は電力由来です。日本の温室効果ガス総排出量の四割を占めているのが電力部門です。求める先が違うのではありませんか。石炭を初めとした化石燃料依存のエネルギー政策の転換こそ求めるべきです。

 パリ協定では、日本の提案で、石炭火力発電など国内企業の環境技術を海外へ提供する見返りに、削減分を日本側に算入する二国間クレジット制度が認められました。しかし、どんなに高効率の石炭火力発電でも、LNG発電の二倍の温室効果ガスを排出します。これでは世界の温暖化対策に逆行するものと言わざるを得ません。国内での削減こそ本腰を入れて取り組むべきではありませんか。

 国連食糧農業機関は、十七日、二〇一六年版世界食料農業白書を公表しました。これまでと変わらないやり方を続けるなら、気候変動で二〇五〇年には四千二百万人が新たに飢餓の危機に直面すると警告しています。政府は、昨年十一月、適応計画を閣議決定していますが、既に先進各国は適応計画を法制化しています。我が国も早急に法定計画に定め、温暖化による影響を最小限にする実効ある取り組みをすべきではありませんか。答弁を求めます。

 最後に、安倍政権は、深刻化する温暖化への危機感を共有し、パリ協定の合意と両立しないエネルギー基本計画を撤回すべきです。原発にも石炭火力にも依存しないエネルギー政策に転換すること、国際的にも立ちおくれている太陽光、風力などの再生可能エネルギーを四割に引き上げること、そして、世界五位の排出国日本としての野心的な削減目標で世界の温暖化対策に貢献することを強く求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) まず、パリ協定に関する政府の考え方についてお尋ねがありました。

 パリ協定は、歴史上初めて全ての国が参加する枠組みとして採択された公平な国際合意であり、我が国としては、一貫して、同協定の早期発効及び着実な実施が重要であるとの考えのもと、可能な限り迅速に作業、調整を行ってきました。

 そして、御指摘の総理の所信表明演説においては、パリ協定のもとで国際社会が解決を目指す地球温暖化対策問題について、世界が直面している困難な課題の一つとして挙げ、日本がこうした課題に取り組むことを通じて世界に貢献する決意を述べられたものと認識をしています。

 この審議の日程は、全般的な状況を踏まえ、国会で御判断いただくことでありますが、政府としましては、パリ協定、TPPそれぞれについて、一日も早い締結を目指し、全力を尽くしてまいります。

 次に、我が国によるパリ協定の締結作業についてお尋ねがありました。

 我が国はパリ協定を重視しており、速やかな締結が不可欠であるとの認識のもと、可能な限り迅速な作業、調整を行ってきました。

 まず、政府としましては、パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行いました。

 また、本年五月のG7伊勢志摩サミットにおいては、本年中のパリ協定の発効という目標を掲げるG7首脳宣言を議長国として取りまとめ、パリ協定の早期発効を目指す立場を積極的に示してきました。そして、この本年中の発効、本年中の締結を目標に、パリ協定の臨時国会での提出を目指し、同協定の国内実施の担保に係る検討を進めるなど、可能な限り迅速に作業、調整を行ってきました。

 この間、政府として、パリ協定の発効をめぐる各国の動向について注視してきましたが、例えば、当初、全加盟国が一括して締結することにより来年以降の締結を目指していたEUが、EU及び一部加盟国のみ先行して締結したこと等により、我が国を含む国際社会の当初の見通しよりも早期の発効に至ったこと、これは事実であります。

 こうした各国の動向はありましたが、政府としては、臨時国会の審議日程の見込み等を踏まえ、十月十一日に閣議決定を行ったところです。他国の対応を様子見していたとの御指摘は当たらないと考えます。

 政府としては、一日も早く国会の御承認をいただけるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。

 そして、気候変動対策に係る我が国の責任と役割についてお尋ねがありました。

 我が国はパリ協定を重視しており、速やかな締結が不可欠であるとの認識のもと、パリ協定の国内実施に係る検討作業等を署名後約半年で終えました。その上で、可能な限り迅速に準備、作業を行った結果として、パリ協定の締結について今国会にお諮りをしているものであります。

 なお、パリ協定を締結するに当たっての検討は政府内で行っており、産業界との調整等は特段行ってはおりません。

 全ての国による排出削減を趣旨とするパリ協定については、右を重視してきた産業界も早期締結を望んでいたものと承知をしております。

 気候変動を重視する我が国として、引き続き、気候変動交渉に積極的に臨み、国際社会において主導的な役割を果たしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣山本公一君登壇〕

国務大臣(山本公一君) パリ協定に関する政府の考え方についてお尋ねがございました。

 我が国はパリ協定を重視いたしておりまして、迅速な締結が不可欠と考えております。これは政府共通の認識であります。

 総理所信においては、パリ協定のもとで国際社会が解決を目指す地球温暖化問題について、世界が直面している困難の一つとして挙げ、日本が世界に貢献する決意を述べられたものと認識をいたしております。

 なお、政府としては、パリ協定、TPPそれぞれについて、一日も早い締結を目指して全力を尽くしていきます。

 我が国によるパリ協定の締結手続についてのお尋ねがございました。

 外務大臣の答弁にありましたとおり、政府としては、パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行いました。

 また、本年五月のG7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言を踏まえ、本年中の発効、本年中の締結を目標に、パリ協定の臨時国会での提出を目指し、同協定の国内実施の担保に係る検討を進める等、外務省等の関係省庁とともに、可能な限り迅速に作業、調整を行ってまいりました。

 政府としては、臨時国会の審議日程の見込み等を踏まえ、十月十一日に閣議決定を行ったところであります。他国の対応を様子見していたとの指摘は当たりません。

 政府としては、一日も早く国会の御承認をいただけるよう、全力を尽くしてまいります。

 経済産業界の主張とパリ協定の締結時期との関係についてお尋ねがございました。

 政府としては、パリ協定を昨年十二月の採択時から一貫して重視してまいりました。

 パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に署名を行い、同時に、パリ協定の国内実施の担保に係る検討を進める等、可能な限り迅速に準備作業を行ってきたところでございます。特定の団体の主張に従ったとの御指摘は当たりません。

 削減目標の引き上げについてお尋ねがございました。

 二〇三〇年度目標及びその達成に向けた対策、施策等を盛り込んだ地球温暖化対策計画を本年五月に閣議決定しました。我が国としては、まず、この二〇三〇年度目標の着実な達成に向けて全力で取り組んでまいります。

 本計画における対策、施策の実施状況については、毎年厳格に点検を行うとともに、少なくとも三年ごとに必要に応じて見直すとしており、こうしたプロセスを通じて、実効性ある取り組みを進めてまいります。

 石炭火力発電についてお尋ねがございました。

 CO2排出量の多い石炭火力発電の新増設が制約なく進むと、国の削減目標等の達成が危ぶまれます。このため、本年二月の環境、経産両大臣の合意に基づき、政策的対応等を行うとともに、毎年度、その進捗状況をレビューすることといたしております。

 また、両省の合意以降、石炭火力発電の環境アセスメントにおいて、事業者が省エネ法の発電効率指標を達成できないと判断した場合は、事業の見直しを検討すること等を含む環境大臣意見を述べております。

 これらの取り組みを通じて、石炭火力発電の問題にもしっかりと取り組んでまいります。

 化石燃料依存のエネルギー政策の転換についてお尋ねがございました。

 我が国の中期目標の達成に向け、家庭部門や電力部門を初め、あらゆる部門において取り組みを進めていくことが重要であります。

 環境省としましては、徹底した省エネを進めるとともに、再エネの最大限導入を初めとしたエネルギーの低炭素化を進めていくことが重要と考えており、全力で取り組んでまいります。

 国内での削減対策についてお尋ねがございました。

 我が国では、二〇三〇年度目標及びその達成に向けた対策、施策等を盛り込んだ地球温暖化対策計画を本年五月に閣議決定いたしました。我が国としては、まず、この二〇三〇年度目標の着実な達成に向けて、国内での削減に全力で取り組んでまいります。

 なお、すぐれた低炭素技術の普及を通じて世界の排出削減を実現することは、相手国のみならず、我が国も含めた双方の低炭素成長に貢献することができるものと考えております。

 最後に、適応計画の法制化についてお尋ねがございました。

 まずは、政府として、適応計画に基づき取り組みを推進していくことが重要であると考えております。

 適応策の法制化については、適応計画の実施状況や課題を把握しながら、引き続き検討をしてまいりたいと思います。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 島津幸広議員にお答えをいたします。

 石炭火力の新増設は直ちに中止すべきではないかとのお尋ねがありました。

 まず、全ての面において完璧なエネルギーはない中で、スリーEプラスS、すなわち、安定供給、経済効率、環境適合、安全のバランスがとれた電源構成を構築することが重要です。

 石炭火力は、他の電力と比較してCO2を多く排出するという環境面での課題があるものの、安定供給や経済性の観点からすぐれており、一定の割合での活用を図っていくことが不可欠です。

 このため、経済産業省としては、環境省とも連携しながら、省エネ法により、発電事業者に対して発電効率の向上を、高度化法により、小売事業者に対して販売電力の低炭素化を求めることにより石炭火力の抱える課題を補いつつ、活用してまいります。

 次に、原発の再稼働についてお尋ねがありました。

 原発は、運転時に温室効果ガスを排出しないゼロエミッションの電源であり、温暖化対策を実現する上で重要な手段の一つであると考えています。さらに、温暖化対策のみならず、安定供給の確保や電力コストの引き下げを実現するためにも重要です。

 もちろん、安全性の確保が最優先であります。そのため、エネルギー基本計画において閣議決定された、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の一貫した方針に基づいて取り組みを進めてまいります。

 次に、二国間クレジット制度により、海外で石炭火力発電を高効率化し、日本の排出削減量にカウントするのではなく、国内の排出削減に取り組むべきとのお尋ねがありました。

 パリ協定では、全ての国、地域に削減努力が求められており、このため、我が国企業が有するすぐれたエネルギー・環境分野の技術を積極的に海外展開し、世界全体での削減に取り組むことが必要です。政府としても、二国間クレジット制度等を活用しつつ、企業のそうした取り組みを後押しし、世界全体での削減に貢献してまいります。

 石炭については、経済性やエネルギー安全保障の観点から、エネルギー資源として選択せざるを得ない国も多く、こうした国にとっては、可能な限り高効率な石炭火力を導入することこそが実効的な気候変動対策であると考えています。

 国内の排出削減については、二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%削減するという野心的で国際的に遜色のない目標を昨年七月に国連に提出しています。この目標の達成に向け、地球温暖化対策計画に基づき、必要な対策を着実に進めてまいります。(拍手)

質問の映像へのリンク

https://youtu.be/_qSkEA8pkmw

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