しまづ幸広(日本共産党元衆議院議員)-浜岡原発廃炉、静岡から政治を変えよう
国会質問

質問日:2016年 10月 19日 第192国会 内閣委員会

所信質疑ー海外FXを語る詐欺について・地方創生回廊についてー

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○島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 私は、まず、近年各地で大きな問題になっている海外FXの詐欺被害についてお聞きいたします。

 FXとは、円やドルなどの通貨を売買して利益を出す投資で、投資金額よりも多額の取引ができるレバレッジという仕組みで、少ない資金で大きな利益ができる、こういうふれ込みで、インターネット上でも投資の勧誘が盛んにやられています。

 金融庁にお聞きしますけれども、日本国内ではどのぐらいの人がこの海外FXの取引にかかわっているんでしょうか。

○西田政府参考人 お答えいたします。

 海外に所在する無登録業者が、国内の居住者に対しまして、いわゆる外国為替証拠金取引の勧誘等を行っている状況については、金融庁としても大変重要な問題だと考えております。

 海外に所在する無登録の外国為替証拠金取引業者を紹介するウエブサイトなんかを見ますと、何十万件ものアクセスがあるとも言われておりますので、関心を持つ投資家はかなり多いものと考えています。

 また、インターネットでも、海外に所在する外国為替証拠金取引業者への口座開設代行業者のウエブサイトも相当数見られますので、これについても多くの利用者がいるものと推測されます。

 ただ、先生から御質問の、どれくらいという点については、外国為替証拠金取引業者は、無登録ということがございますし、海外に所在することから、その利用者数を具体的に推計をするのはなかなか難しいという点については御理解をいただきたいと思います。

○島津委員 いずれにしても、相当な人数がかかわっていると推察されるんですけれども。

 警察庁にお聞きします。

 この被害の実態というのは、どのようにつかんでいるんでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えをいたします。

 FX投資名目で、海外の金融業者等を名乗る者が開設をした口座に金銭を送金するなどしたところ、これをだまし取られたということで都道府県警察に相談があった事案につきましては、警察庁では、本年五月末時点で六十三件を把握しております。

○島津委員 六十三件というお答えでしたけれども、国民生活センターの統計によりますと、このセンターへの相談件数は、二〇〇九年の三十四件から、二〇一三年には百三十二件とふえています。

 被害者の会からいろいろ話を聞いたんですけれども、ここだけでも九十七人の方が被害に遭って、その被害の総額が九億四千二百三十万円という額に上っているんです。これはほんの一グループだけの詐欺被害であって、氷山の一角なんです。北海道から沖縄まで、被害は全国に及んでいます。

 警察庁、改めて、手口というのは掌握しているんでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えをいたします。

 警察といたしましては、インターネット広告等で勧誘をまず行い、そしてFX取引の自動売買ソフトと称するソフトウエアを購入させた上で、別途、海外に開設をしてあります口座にFX投資名目で金銭を振り込ませるといった手口で金銭をだまし取るというものを把握しております。

○島津委員 私、ここに取引画面を持ってきたんですけれども、非常に細かく、短時間で自動ソフトで売買を繰り返して、さももうけが出ているように見せるんですけれども、収支が最初は黒字で、もうかっているように見せていくんですよね。

 ところが、安心しておいて、ある日突然、桁違いの赤字取引が画面にあらわれる。投資した残高がゼロになってしまう。慌てて問い合わせするんだけれども、もう音信不通になる、こういう状況なんです。

 主管大臣の松本国家公安委員長は、所信的挨拶で、特殊詐欺、ストーカー、配偶者からの暴力、児童虐待等の事案に対しては、被害の未然防止に向けた取り組み等を推進すると述べました。この特殊詐欺の中には海外のFXは入っていないというふうに聞いたんですけれども、しかし、だまされてお金が海外に出ていったら、取り返すのは大変難しくなるわけです。

 こうしたことから考えると、海外FX詐欺も、所信的挨拶で述べた、被害の未然防止に向けた取り組み等を推進する対象になると思うんですけれども、どうでしょう。

○松本国務大臣 この特殊詐欺とは、電話をかけるなど対面をすることがなく被害者をだまして、預貯金口座への振り込みなどによりまして不特定多数の者から現金をだまし取る犯罪の総称を言っております。

 お尋ねの海外FX詐欺が特殊詐欺に含まれるかどうかにつきましては、具体的な手口により判断されますが、特殊詐欺に含まれるか否かにかかわらず、これら詐欺事件につきましては警察が捜査を進めることに変わりはないものと承知をしております。

 引き続き、海外FX詐欺について、関係機関とも連携をしつつ、被害の未然防止や捜査を進めるよう警察を指導してまいりたいと思います。

○島津委員 いずれにしても、未然防止に向けた取り組みを推進するということです。

 特殊詐欺も海外FX詐欺も、これらに共通しているのは、いかに取り返しがつかない被害を与えるかということです。退職金をつぎ込んだお金が返ってこない、毎日眠れない、この先どうしたらいいか、こういう話を幾らでも私、聞きました。しかし、現実には、その未然防止対策が不十分であるために、先ほど述べたように被害が続出しています。

 残念ながら、被害に遭った方は、警察署に当然被害を訴えます。ところが、これがスムーズに受け付けてもらえない実態があります。ある警察署に行ったら、ほかの署に行って相談せよと言われた、そこに行ったら、それは本庁に行ってくれと言われた、たらい回しにされた、こういう話も聞きました。こういう対応は正しいんでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えをいたします。

 犯罪の被害に遭われたとおっしゃる方は、まず所轄の警察署等に御相談いただくわけでございますけれども、今委員御指摘のような形で、そのように感じられる被害者の方がいらっしゃったということであれば、それは私ども真摯に受けとめたいというふうに考えております。

 その上で申し上げますれば、海外FX詐欺の被害者の方々に限らず、詐欺被害の申し出の対応に際しましては、被害者からの被害状況の詳細な聴取や証拠資料の提出等をお願いする場合がございまして、被害申告の受理までに時間を要するケースもあるところでございます。

 また、事案内容等によりましては、関係部署が連携をするために、何回かにわたって被害者の方々から十分な説明を受けるという必要のあるケースもございます。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、こうした被害者の方々にしっかりと御説明をするなど、被害者の方々のお申し出に対しまして、誠実に対応してまいりたいと思っております。

○島津委員 被害者の方は、だまされたことに気づいて、財産を失う、心に傷を負う、その上、警察に相談に行ったら、たらい回しにされる、本当に心が折れるということを伺いました。まあ、真摯に受けとめるということですから。

 また、同じ会社の詐欺に遭っているのに、被害届を受理されている人と受理されない人が出ているという話も聞きました。全国で、警察によって対応がばらばらになっている。なぜこんなことが起きるんでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えをいたします。

 同一の海外FX業者による詐欺でございましても、例えば勧誘の方法でありますとか、あるいは被害者の方と業者とのやりとりの状況が、個々の事案によって異なる場合がございます。被害届の受理に際しましては、こうしたことも踏まえまして、個別の事案ごとに判断をする必要がございます。これに応じまして対応が異なるということもあり得るということを御理解いただきたいと存じます。

 いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたとおり、警察といたしましては、こうした被害者の方々にしっかりと説明をするということなど、被害のお申し出に対しましては誠実に対応してまいりたいと考えております。

○島津委員 相談に来る人の、いろいろな証言が不十分だったり説明がうまくできないというのは多々あるわけです。しかし、被害に遭う方は、わかっていて遭うはずはないわけで、十分に説明できない人ももちろんいるわけで、ですから、立証するのは、やはり警察がきちんと力添えするべきだと思うんです。

 詐欺の手口は巧妙ですから、もちろん、投資に失敗したのか、それとも詐欺なのかというのは、判断は難しい面もあるんです。だけれども、共通点があるわけです。

 先ほど答弁ありましたように、実際に取引しなくても稼働しておくだけで取引する自動ソフト、EAを売りつける。それで、そのEAは国内では使えないと、海外口座に入金させる。一定のもうけを出して、演出して、さらに入金を促す。出金を申し出ても、まだポジションという売り買いの決済ができていないということで、できない、できないの一点張り。最後は、暴落したということで、お金が返ってこない。この時点でもう、連絡したら音信不通だ。手口は共通しているんですよ。

 ですから、いろいろな説明だ、証拠だ、手口だとあるんだけれども、そういうところできちんと訴えた方の思いを受けとめれば、ここでは受け付ける、ここでは受け付けないということはないと思うんです。たらい回し、あるいはこういうことの改善、少なくても、たらい回し的な改善、これはやめるべきだと思うんです。

 大臣、公安委員長として、ぜひこれはやめるように指示してほしいと思うんです。どうですか。

○松本国務大臣 御指摘の御心配について受けとめさせていただき、警察におきましては、被害者から相談を受けた場合には、聴取した具体的内容を踏まえて真摯に対応すべきものと思っております。

 不適切な対応がなされることがないようにしつつ、海外FX詐欺について、関係機関とも連携をしながら、被害の未然防止や捜査を進めるよう、警察を指導してまいりたいと思います。

○島津委員 ぜひ、被害者の心情に沿った迅速なことで、少なくとも、たらい回しはやめるということを指示していただきたいと思うんです。

 犯人は今でも詐欺を続けています。例えば、会社の名前を変えて詐欺を続ける。被害を受けた人にとっては本当に耐えがたいことです。まだ続いているのかと。

 海外FXだから、海外でネットを通じて日本人に対して詐欺を働いているわけで、投資資金が海外に流れていたとわかった時点で捜査を諦める刑事がほとんどだという話も聞きました。犯行グループも、そこにつけ込んで詐欺を拡大し続けているわけです。これをどうするのか。

 警察庁、どうするかという方策は、どうなんでしょう。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 現在、関係をする都道府県警察におきまして、国内の関係機関や海外の捜査当局とも連携の上、必要な捜査を行っております。

 引き続き、捜査を進めて、被疑者の検挙に努めてまいる所存でございます。

○島津委員 引き続き頑張るということなんですけれども、それで本当に未然に防げるのかということは見えてきません。被害者の皆さんが求めているのは、事件の解明、原因を究明し、手口や組織の全容を明らかにする、そして、それを押さえた上で防止対策になるわけです。

 被害の未然防止に向けた取り組みの推進の必要性というのは、先ほど大臣も認めていただきました。これまで以上に、この海外FXの詐欺、英知も集め、体制も見直して対応していくべきだと思うんですが、どうでしょう、警察庁。

○吉田政府参考人 被害の未然防止に関してのお尋ねでございますけれども、私どもは、必要な捜査を行いつつ、やはり捜査を通じて得たいろいろな情報等も含めまして、関係機関と連携をしながら、未然防止のために広報啓発等も、関係機関と連携をした上で進めてまいりたいと考えております。

○島津委員 引き続き頑張るというぐらいのメッセージにしか聞けませんけれども、ぜひきちんと、鋭意取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、金融庁にお伺いします。

 今でも金融庁のホームページでは、金融取引法の届け出をしていない無登録業者に注意をという警告を出しています。しかし、それで被害はなくなっていません。今まで以上の、今以上の対策が必要だと思うんですけれども、金融庁はどのような対策をとろうとしているんでしょうか。

○西田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、未然防止は大変重要な課題であると思います。金融庁としても本件は大変重要な問題だと認識しておりまして、さまざまな制約、限界はありますけれども、やはり投資家保護の観点から、できる限りの対応に努めていくことが重要であると思っています。

 今、具体的には、議員から御指摘ありました、例えば、無登録業者の存在を把握した場合にその業者に対して警告を発出するとか、その旨を金融庁のホームページで公表する。あわせて言えば、警察との情報共有を行ったり、必要に応じて海外当局との情報共有も行うなどの取り組みも行っています。

 また、国内の主要な外国為替証拠金取引業者に対しても、海外に所在する無登録の外国為替証拠金取引業者との取引に関する注意喚起というものを各社のホームページに掲載するようにも依頼しているところであります。

 さらに、インターネット広告会社に対しましても、海外に所在する無登録業者の広告掲載を控えるようお願いするとともに、クレジットカード会社に対しても、クレジットカードによる海外に所在する無登録業者への入金について顧客への注意喚起を図るよう、それぞれ各業界団体を通じて協力要請を行ったところであります。

 金融庁といたしましては、先ほども申し上げたように、本件は大変重要な問題と認識しております。今後とも引き続き、投資家保護の観点から、関係機関とも連携しながら、さらなる方策の検討も含めまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

○島津委員 被害者の方から、こういう話を聞きました。

 海外FXで送金するんですけれども、ある銀行に行ったら、窓口で、これは怪しい口座だということで判断されたのか、送金ができなかったそうです。ところが、同じ日にゆうちょ銀行に行ったら、送金できたそうです。それで詐欺に遭って損失をするわけなんですけれども。こんなことが起きているわけです。

 今いろいろお話がありましたけれども、国内の詐欺に使われて凍結された口座の情報というのは今、金融機関が共有していると思うんですけれども、同様に、海外口座で詐欺に使われているおそれのある口座の共有だとか情報だとかは今行われていないわけで、こういうところはすぐにでもやっていただけるんでしょうね。

○西田政府参考人 先生今御指摘ありましたように、国内金融機関にある口座については、不正利用されていると疑われる預金口座の情報が、警察から業界団体を通じて、各金融機関に情報共有されているものと承知しています。各金融機関においては、これらの情報を活用して、口座の不正利用の防止に向けて取り組んでいると思っています。

 一方、先生御指摘の、海外金融機関に設けられている口座につきましては、これまで金融機関との間で情報共有されていなかったものと私どもも承知しております。当局や業界団体といった関係者の間でもこうした問題意識は共有しているところでございますので、今後、情報共有、活用のあり方等について、関係者と鋭意検討していきたいと考えております。

○島津委員 ぜひ早急にやっていただきたいと思うんです。

 そもそも、いろいろ努力はされていると思うんですけれども、金融庁の無届け業者に対する対応が甘いと思わざるを得ないんです。

 一例として、きょう資料をお配りしました。

 これはインターネットのサイトの印刷なんです。公式サイトはここからとあるんですけれども、これを見て取引の画面に進んでいくわけですけれども、ここから手を出していく。しかし、この画面の前に、詐欺業者に御注意というものがあるんです。それで、こうこうこうで、こういう詐欺があった、こういう手口があった、そしてここに誘導して、安全ですよ、こういうインターネット上の画面になるんです。

 詐欺業者に御注意、優良業者を紹介します、こう誘導しているんですけれども、この業者というのは無届け業者なんです。こういう状況というのは好ましいんでしょうか。

○西田政府参考人 お答えいたします。

 インターネット上に先生御指摘のような広告が掲載されていることは、金融庁としても承知しております。

 このため、金融庁のホームページにおいても、金融庁なり財務局が警告書を発出していない海外業者も無登録営業を行っていることがあり得るといった注意喚起を行っておりますし、さらに、金融庁のホームページでは、例えば、具体例として、日本国内のレバレッジ規制をはるかに上回る高いレバレッジを宣伝文句としてFX取引の勧誘を行っている例があるといった点についても紹介するなどの取り組みを行っているところであります。

 いずれにしろ、投資家保護の観点から、さらなる注意喚起のあり方につきましても、何ができるかについて引き続き検討していきたいと考えております。

○島津委員 今もお話があったんですけれども、同じ出資金でもレバレッジが高いほど多額な取引ができるんです。国内では最大二十五倍、倍率みたいなもので、この二十五倍は国内レバレッジの最大の数字なんですけれども、海外ではそれ以上の倍率、きょうお配りした資料でも八百八十八倍というのがあるわけです。射幸心をあおっているわけです。そして、そうした勧誘の中に、詐欺を働くグループが架空の証券会社のホームページ、このような、これがそうかとはあれですけれども、架空の証券会社がこのような類いのホームページをつくって紛れ込む、そして被害が続いているわけです。この対策をどうするのか。

 先ほど、金融庁のホームページ等々、いろいろな話があったんですけれども、これだけではやはり不十分だと思うんです。怪しい海外FXに誘導されない対策、いろいろ難しいんですけれども、例えば、インターネットで検索した際に、検索結果の前にいろいろ広告が出ますよね。この広告のところに、目立つように、詐欺に対する注意の喚起の警告を出す、こういうことなんかができるんじゃないか。インターネット上でのキャンペーンをもっと行うべきじゃないかと思うんですけれども、どうでしょう。

○西田政府参考人 お答えいたします。

 海外に所在する無届け業者による被害を未然に防ぐためには、やはりできるだけ多くの方々の目に触れる形で注意喚起を行っていくことは効果的であると考えています。

 これまでも、金融庁のホームページも使いまして、警告書を発出した海外に所在する無登録業者の名称を掲載するほか、国内の主要な外国為替証拠金取引業者のホームページにおける注意喚起の掲載も依頼したところであります。

 引き続き、今後とも、投資者保護の観点から、より効果的な注意喚起の方策については検討してまいりたいと考えているところでございます。

○島津委員 ちょっと時間がもうありませんから、いずれにしても、これ以上被害が拡大しないよう必要な防止対策を求めて、次の質問に移ります。

 石原大臣、お待たせしました。

 石原大臣は、所信的挨拶で、未来への投資を実現する経済対策を着実に実施すると強調しました。その経済対策、多岐にわたっているんですけれども、その中で、地方創生回廊をつくり上げることで成長の果実が全国津々浦々に行き渡る環境の整備を図る、こう明記されています。安倍首相も、地方創生回廊をつくると言いました。これは先ほど岡田議員の質疑にもあったんですけれども。

 いずれにしても、地方創生回廊、幹線鉄道ネットワークや高速道路網、国内交通ネットワークなど高速交通網を活用し、三大都市圏を初めとする大都市と地方、また地方と地方を結び、人の流れを拡大することによって各地域を活性化し、地方創生につなげていく、こういう説明をされていたわけです。

 成長の果実がこれで全国津々浦々に行き渡る、こう言っているんですけれども、改めて、なぜそうなのかというのをちょっと簡潔に、石原大臣。

○石原国務大臣 委員御指摘の、未来への投資を実現する経済対策におきまして、ただいま委員が御開陳されましたものが入っております。すなわち、地方創生回廊とは、都市と地方、地方と地方を結びつける交通インフラを回廊のように整備して、それによって豊かさを全国に広げていくという発想と認識をしております。

 このため、経済対策の中で、大都市圏環状道路の物流ネットワークの強化や、リニアと整備新幹線、あるいは高速道路、鉄道、さまざまなものをくっつけまして一つの経済圏にする、その発想のもとで、豊かさを地方に伝播していきたいという発想でございます。

○島津委員 では、そうした計画に対する日本経済への効果、これをどのように試算しているんでしょうか。

○石原国務大臣 この発想は、これまでは、先ほども御答弁させていただきましたように、都市圏の中に限られて環状道路を整備するとかバイパスを各町で整備するみたいなことで、個々のBバイCによって算出をしておりました。

 今回は、この規模が、都市圏が、リニアでいうならば三大都市圏、さらにそれに整備新幹線が加わりますと他のところまで波及をいたしますので、マクロ経済の分析というものは現在まだ行われておりません。

○島津委員 計算もない、根拠も怪しい、スローガンで言っているようなものなんですね。大変無責任だと思うんです。

 交通で結んで活気を、人をということなんですけれども、私の地元静岡県は、新幹線が開通して半世紀以上になっています。先ほど石原大臣も夢の超特急の話をされたんですけれども。ところが、この静岡県は、新幹線が通っているんだけれども、人口の流出が非常に多い。全国で五番目に多い県になっているんです。新幹線を整備することでアベノミクスの果実が行き渡るというなら、なぜ静岡県は人口流出で苦労しているのか。

 また、静岡県の駅の中に掛川駅という新幹線の駅があるんです。これは要請してつくった駅なんですけれども、つくったはいいけれども、本当に乗降が少なくて、駅前なんかは物すごく寂れているんですよね。日曜日なんかは、お昼御飯を食べようと思っても、駅前で食べる場所を探すのに一苦労。人がふえるということじゃなくて、ますます寂れていく。余談的な話ですけれども、掛川駅の新幹線のホームは、車両の前と後ろは屋根がない。だから、雨の日なんかは車内放送で前と後ろの方は中寄りにという放送が流れるぐらい、こんなひどい状況なんです。

 政府は、地方創生回廊の名のもとで、リニア中央新幹線の全線開業を最大八年間前倒しして、財政投融資を三兆円も投入する、こうしているわけです。しかし、静岡県の例にもあるように、それで本当に成長の果実が全国津々浦々に行き渡るということになるか、非常に疑問なんです。大臣、本当にそれで人が集まり、創出されるようになるんでしょうか。

○石原国務大臣 冒頭、委員お地元の静岡の話をされましたが、静岡はやはり東西に大変長い県で、伊豆、あるいは中部、また西部において人口流動は大分違うと思います。西部地域の方はやはり名古屋圏との関係から、かなり人が多くなってきていると考えておりますし、そんなことを考え合わせますと、やはり交通網がつながることによって人の行き来が多くなる。

 人の行き来が多くなる、これはもちろん観光、インバウンドということも含めてでございますが、流動するということは経済にとって非常にプラスであるということは、マクロの世界から話ができる点ではないかと認識をしているところでございます。

○島津委員 マクロの世界ということですけれども、やはり現実は、静岡県の例にあるように、そうなっているわけです。

 結局、未来への投資と言うんですけれども、未来への浪費じゃないか。本来の地方創生というのは、地方が特殊性を生かして自立していく、そして、その地方の中で経済の好循環を生み出す、こういう経験もたくさん各地で生まれているわけです。

 日本の経済再生にとって地方創生が重要な位置を占めるというのは、私たちも異論はありません。しかし、いかに新幹線が通っているか、高速道路が通っているか、つまり、いかに首都圏に時間的に近いか、こればかりを重視するような発想では、自立した地方創生というのは望めないわけです。

 幹線道路ネットワークが整備されれば人が集まる、これは空論じゃないんでしょうか。どうでしょう、大臣、改めて。

○石原国務大臣 幹線道路の整備については、BバイC、ベネフィットとコストにあわせまして、社会的な外部評価、こういうものを小泉内閣のときから入れさせて建設をさせていただいております。

 すなわち、この道路をつくることによって基幹病院への到達率が、一つの例を出させていただきますと、十五分短縮される、三十分短縮される、それによって急患患者の延命率が何%回復される、こういうような社会的な影響というものも勘案して、今、道路というものは地域の高規格道路も含めて整備をさせていただいておりますので、無駄な投資というようなものは行われなくて、地域の方が喜ばれ、また、そこに暮らす方々が、病院が自分の町になくても他の病院まで行けるというような、道路の持つこの意味というものは大変大きいものがあります。ですから、各地域からの御要望というものは後を絶たないのではないかと思っております。

 しかし、委員御指摘のとおり、無駄なものをつくってはいけないということは肝に銘じていかなければならないという点においては、考えは一緒でございます。

○島津委員 私たちも、今言われたようなところまで否定しているつもりはないんです。今大臣が最後におっしゃったように、無駄はきちんとやはり見ていかなきゃいけない。リニア中央新幹線などは、環境も破壊し、住環境も破壊する、最大の無駄だというふうに思うんです。

 いずれにしても、経済対策というのは、浮き草のような対策じゃなくて、地に足のついた経済対策に転換する、このことが必要だということを求めて、質問を終わります。

 

質問の映像へのリンク

https://youtu.be/za-fjNLG6YA

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